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凡人 安全地帯の歴史16

僕の安全地帯と玉置さんの備忘録。
いろいろあって、だいぶ久しぶりの更新になってしまいました。
去年の11月以来ですね。
玉置さんの久しぶりのバンドツアーの最終日に行ける事になって、ファン仲間の皆様と会えたのもいい思い出です。

またこちらもぼちぼちと書いていきたいと思いますので、よかったらお付き合い下さい。

前回の続き、2000年を迎えた頃の事です。

玉置さんのツアーにも安全地帯のメンバーが加わり、安全地帯時代の名曲をセルフ・カバーしたアルバム「ワインレッドの心」を出したり、メンバーとの関係もだいぶ修復されて、もうそろそろ安全地帯が復活か?という噂もあった頃です。

実際そうなる予定だったみたいです。
しかしそうはならなかった。

安全地帯名義のアルバムのレコーディングも実際していて、メンバーの録音も終わり完成間近という所まできていた。

ただ玉置さんが気に入らず、撮り直しになる事に。
ドラム、ベースを玉置さん自身の演奏に差し替えられ、安全地帯名義ではなく、玉置さんソロ名義で発表された。

「ニセモノ」



なぜタイトルがニセモノか?
というのは、安全地帯のアルバムのニセモノという事だかららしい。

玉置さんの音楽への妥協なき姿勢が、心を掴む作品になっているのはよく分かる。
武沢さんのいない状態で、安全地帯名義のアルバムを出すのをためらったのかもしれない。
でもせっかく修復してきた安全地帯メンバーとの関係が、これでまた険悪な感じになり1年以上連絡無しの状態になってしまったらしい。

玉置さんは
「音楽から離れて別の仕事をしてるメンバーもいるので。そっちを辞めさせてまた呼び戻すほどのものかどうか?」
というちょっとシビアな話もしています。

個人的には、数年前からツアーで一緒に周っていたし、カバーアルバムも一緒に録音してるし、あのアルバムは良くて何故このアルバムはボツだったのか?
そんなに急に腕が落ちたのか?
その辺は、ちょっと分からない所です。

さて肝心のアルバムですが、素晴らしい出来で、個人的にも好きな作品です。
須藤さんがプロデュースで復帰されたからか、JUNKLAND的な感じというか。
安全地帯というよりも、自由に作ったソロ作品というのが似合う作風。

一曲目の、凡人〜古今東西〜ターンテーブルの流れは、一気にこのアルバムの世界に持っていかれます。

凡人を聴いた時、ちょっとだけ安心というか嬉しかったんです。
軽井沢に移住してから、声を張る歌い方をしてなかったというか。
優しいんだけど、大人しい歌い方が多くなって。

個人的には、本当に多彩な歌が歌える稀代の天才シンガーだと思ってますから、この時期はちょっと一辺倒だった気がしてて。

このアルバムでは、ロックも感じられてちょっと安心というか、嬉しかったな。


香港の超人気俳優のアンディ・ラウさんに提供した曲のセルフ・カバー。昭和歌謡っぽさがいい意味で懐かしい。


シングルカットした、aiboというタイトルも、本当は相棒というタイトルだったのが、玉置さんが相撲に見えるという謎の理由で変更になったらしい。


常夜灯という曲の中に
「悲しいくらいでちょうどいい」
「淋しいくらいでちょうどいい」
という歌詞が出てきます。

結婚をして、田舎に移住し、のんびり好きな音楽だけやって、精神的にも落ち着いた時期にしてはだいぶ後ろ向きな、というかネガティブな心境が綴られてます。

この頃の玉置さんは、テレビに出てもやけに丁寧というか、以前のハジけた感じとは別人というか。

「まともな人間になりたい」
と言っていたのを何度かテレビで耳にしました。

幸せそうだし、笑っているけど、どこか寂し気というか。

俺は凡人なんだ、この辺で満足なんだ。
そうだ満足しないといけないんだ。
まともな人間になるんだ。
と自分に言い聞かせ、どこか狂っているのかもしれないというのを、抑えて抑えて生きていたのかもしれない。

華やかな東京での生活に疲れ、田舎に引っ込んでみたものの、でもやっぱり何か満足しない。
満足しないのは、自分がまともじゃないからだ。
早くまともにならなければという、そんな葛藤が僕は感じます。

「黙って、騙されていようよ」
ちょっと諦めにも似た、もう俺はいいよっていう気持ち。
でもやっぱり、何か。
芸術家としての何か。
反比例する思いが、心にずっとあったのかな。

そういう葛藤を感じるアルバムです。
またもギクシャクしてしまった、安全地帯メンバーとの関係は、再度集まるまで2年かかってしまいます。

しかし今度は、ずっと離れていたギターの武沢さんが、須藤さんの提案で玉置さんのツアーに加わる事になります。

次回は、アルバム「♠スペード」を書いていこうと思ってます。

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