見出し画像

「子育て」のピークは二回ある。後の方が、むしろ本番なのである。

「子育て」について、昔私の兄が、まだ子どもが1~2歳の頃、私に言ったことがある。
『 (子育て)大変だね。子どもが手がかからなくなるのは、まだだいぶ先の方だったと思う 』と。
これはつまり、しょっちゅう病気をしたり、何でも親が手取り足取りして育てる期間こそが「子育てのピーク」というような表現であった。

事実、子どもが成長するに従い、日常のいろいろなことが、自分でできるようになり、また親から物理的に離れて行動・生活するようになる。

私は中学教師であったが、義務教育が終了する卒業期には「巣立ち」という言葉を機会あるごとに、よく使ったと記憶している。

同時に「子育て」も一段落したということから、「子育ても一応、終わりに近づいた。少なくとも最終章に入った」と捉えられることも多いだろう。


しかし、もう一度、野生の鳥や動物たちの「巣立ち」がどういうものであるかを知ってほしい。

鳥や動物たちの「巣立ち」の後には、実は「独り立ち~子わかれ」という期間がある。

ハヤブサという鳥を例にあげると、雛として誕生してから「巣立ち」までは、わずか2か月あまり
それに対し、巣立ちした後の「独り立ち~子別れ」という期間は4か月にも及ぶ
巣立ちしたものの、まだ自力では生きていけない若鳥は、元の巣から70~80mほど離れた岩場で親鳥が運んでくれる餌を待ち、食べさせてもらう。
この間、若鳥は親鳥の飛び方や狩りの方法、餌の調理の仕方など、生きていくための技術を学ぶ。

冬の訪れが近づくといよいよ最後の親鳥の仕事である「子わかれ」を迎える。

親鳥は太い鳴き声を発しながら、若鳥を追いかけ続ける。十分に身体も大きくなり、成長した若鳥は、我が子とは言え、「新しい成鳥」として扱うのだ。
このまま同じ場所で、共存しても十分な餌が捕れないことを本能的に知っているからである。
はじめのうち、子どもは追い出されても、すぐに戻ってくる。
それでも親鳥は、「子育ての最後の仕事」とばかり、何日も同じことをくり返し、やがて子を追い出す。これが「子わかれ(子ばなれ)」なのである。

追い出された若鳥は、海を渡り新しいなわばりを探す旅に出る。しかし、それは容易ではない。
旅の途中で獲物を捕り損なったり、カラスの集団攻撃を受けたりして、多くの若鳥は死んでしまうこともある。

ハヤブサの世界とは言え、人間の教育に通ずるところも多いと感じられるだろう。

「若鳥」の時期は、人間の「思春期、青年期」である。
男親、女親に限らず、子育てをする人は、「子育てのピーク」は、むしろこの時期にこそ本当のピークがあると考えるべきなのである。

そして中学や高校、専門学校、大学などで「教師」と呼ばれている人は、この「独り立ち~子わかれ」の時期をサポートするガイドという役割を認識すべきだと私は考えている。


※「チップ」は有難く拝受させて頂きます。もし、この記事が多少でも役に立った、或いは「よかったので、多少でもお心づけを」と思われましたら、どうぞよろしくお願いいたします。贈って頂いたお金は1円たりとも無駄にせず大切に使わせて頂きます。