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ルックバックするわよ~

オタクがすなる振り返りnoteといふものを、女もみむとてするなり。

俺の中じゃもうマーーーーーーージでぶっちぎりインターネットがつまらなかった年が2022年で、というかリアルでもロクなことなかったんだけど、そのリアルのつまらなさを以てしてもネットのおもんなさが勝ってた。その分趣味にはかなりハマり込んで気の向くままに深堀できたように思う。ツイッターで一ミリも触れてないのも含めて振り返るぞ!!!!!!!!!!!!!!!

浅ましい化物が可愛くデフォルメされてて使いやすい。ぼっちざろっくの人気ってキャプツイート需要もデカい気がする。

ヘンタイ・プリズン

ここ五年のエロゲで一番面白い。エロゲってジジイがボリューム層のコンテンツだから思い出が美化されてレジェンドの作品しか語られないがちで、だからここ数年萌えゲー抜きゲーが人気でシナリオが面白いのなんか出てないだろみたいな戯言を当然のようにカマされるんですけど、寝言はこれやってから言え。

系統で言えばなんなんだろ、馬鹿コメディと燃え展開が平行して続くとこに焦点を当てたらタカヒロ作品とかアぺイリア?ぬきたしの頃からそうだったけど、シナリオのノリはアク強めながら脱出ストーリーはかなり王道の面白さがあって、なおかつノベルゲームとしてのレベルが高い。BGMの差し込み所、ルートによって変わるキャラの立ち位置、終盤にかけて収束していく情報、エロに対する倫理、価値、そのテーマの切り込み方とエンタメを崩さない折り込み方。全部完璧。

名シナリオって言われてるエロゲでも、なんだかんだ話の立ち上がりが遅いだとか、展開先行で割とキャラ造形が雑だったり、なんならそれまでの話ぶっちぎって急に思想の話に飛ぶみたいなのも多いじゃん。一つめはマヴラヴと未来にキスを、二つめは殻ノ少女と未来にキスを、三つめは未来にキスをの話をしています。そういうのがあまりないように構成をキチっとしようって雰囲気が冬茜トムが人気になり始めた辺りから漂い始めてる気がする。新しい作品なんて言ったけど、薄幸っぽくてか弱いメインヒロインがいるのもなんだかんだデカかったです。関係ないけどまともになにかに打ち込んだことのない人生だから美少女と何かを成し遂げる話読んでると高揚と苦みが綯い交ぜになってグシャグシャになる。なりませんか?ならないですか……。

さよなら絵梨

これ二部のアサが着てる制服と全く同じだよな

2022年完成度最高漫画。凄い映画的だとか構成が~とかキャラの質感が~とかって色々な方面から語られてるけど俺が思うにタツキってなんか、今一番インターネットしてる漫画家なような気がするな。ユーモアセンスがインターネットっぽい。妙に解像度が高い人間のいや~なあるある感をズラしてユーモアに仕立てる、社会的意義みたいなハイソサエティーさをブチ蹴って最悪にする、そういう悪趣味だったり自意識の葛藤の中から一筋の優しさが光ってる。タツキの漫画からにじみ出る繊細で優しい感性って「ヌクモリティ」って感じなんだよな。読ませる展開になってきた後に釣り宣言していや~釣られたわつって終わる、好きだった良スレの味わい。俺は正直今の藤本タツキの囃し立てられ方はあんまり好きじゃなくって、せっかくダサいツイッターの使い方もしない貴重な人間なのに、その、つまらない人間が大量に群がるさまを見てるようでやだな。嫌です。今のチェンソーマン二部を見るに作品に関してあんまり心配はしてないけど、藤本タツキの才能が嫌な消費の仕方をされないでほしいなと思います。

正反対な君と僕 

2022年最萌漫画。なにかが良いって基本デフォルメが絶妙に可愛くなくて良い。ギャルが出る漫画で一番ギャル。可愛さ控えめ細かい日常描写の女成分マシマシ、キメ部分はリアル頭身でカッチリ可愛い。ツイッター漫画は胸焼けしやすいけど、適度に読みやすいラブコメは見たい乙女心にちょうどフィットしてた。

こういうショックの積み重ねで生きてる。

それでも僕は君が好き

別に去年の漫画でもなんでもないけど去年読みました。出てくる女全員と最終的には別れるラブコメの漫画。維新が原作やってるりすかの画風が凄い好みで読み始めた。

つくしが好きすぎるんだけど、ヒロイン側が魅力的な落差でただでさえ気になる芹澤のヤバさが更に磨きがかかって見えちゃったな。俺は別れ方がキツ過ぎて許したけど。欠点とも美点とも取れそうな性格の差異だったり、別れた後ですら勘違いして手痛い恥かくような展開から超些細な言い方でイラっとくる瞬間、気づかない所で大事にされてた想いみたいな、ただそこにあるリアル感がとにかく良かった。付き合ってるサムスンに見合うとこで就活して失敗しまくる芹澤と、元カレに結婚しようって言われたけど芹澤が好き……でも就職待って自然に結婚の話になるまで待ったら何歳になるんだ?ってとこの不安のズレ方とかな。おい、話し合えってマジで。

気になる展開も多々あるけど、そこ含めて人生ままならないのかなあみたいな後味の悪さがGood。駄目主人公を見るのが無理なら無理。ここまでリアル感だのなんだの、俺に恋愛経験がないから全部嘘です。俺の人生って全部嘘なんかなあ。

水星の魔女

こういうのやってるからウテナっぽいって言われるんだよ

義務ガンダム。ヴヴヴの時より面白いじゃんっつってるヤツ、言っとくけどヴヴヴもこれくらいの時期は全然面白かったからな。

学園モノやってるからかな、体感鉄血の時より若めの感性で作られてるのがGood。いい意味で悪い意味でも演出がアニメアニメしてる。アニメノリ見飽きたやつにはキツそうだけど、最近そういやこういうの見てなかったな〜って感じで俺は楽しい。

富野監督には悪いけど社会問題をフィーチャーして己のメッセージをどれだけ世界観に、話に入れ込めるかより、アレだけ嫌がってた自分の父親と同じことを無意識に他人にしてしまうとか、そういう血の業が細かい所作に現れてしまうみたいなドラマを丁寧に見せてくれる方が嬉しいんだよな。一応Gレコも劇場版は構成の力+台詞をワンポイント付け足すだけで一応行動に筋が通るようになってる。それでもまだやりたいことが先行してるように感じてて、やりたいことやるにしても過去綺麗に一本線通して終わらせたシリーズを掘り返してるからか、枷になってることも多いんじゃねえかなあとかっていらぬお世話が直近の富野ガンダムには頭をよぎりがちで。富野にも既存のシリーズしか企画が通りにくいみたいな事情があるにせよ、「ガンダム」が呪いになっちゃってて窮屈そうな宇宙世紀系列(∀、Gレコ含む)より、その呪いを楽しんで再解釈してみたり、あるいは外れてみたりするアナザーのが見てる側も素直に楽しみやすいのかなって改めて思わされるわね〜。

ただもう強化人間枠を雑にぶっ殺すのやめん?

三体Ⅰ

もうちょっと小説読むつもりだったのになあ。去年の二月とかに小説のオススメとか聞いたんですけど、三分の一とかしか読めてません。できる限り人から勧められたものは見たいんだよな。俺は人に勧めたけどあんまり届かなかったな、良いものなのになっていう寂しさを知ってるから。まあ別に俺の勝手な欲はどうでもいいんですけど、伝え方も下手だしね。でもせめて、自分から聞いたものくらいは全て読みたいな~という気持ちくらい持ってます。で、去年読んだ小説の中で一番面白かったやつです。これが。

初っ端の文革中に一人の女性が撃ち殺されるシーンから始まるんだけど、まずここだけでも筆力が凄い。何か強い思想を持って戦う人たちの異様な熱気、乾いた空気感、冷たい鉄の感触まで、細かい描写力が三体星人が侵略してくるまでの重たい雰囲気を支えてる。

SFの楽しさってアイデアの楽しさなんだよな。こういう技術があったら誰が喜んで誰が困るだろう、とか現実にないこういう現象があった場合どういう作用があるだろう、とか。三体だったらこういう星に住んでる人類がいた場合生活形式はどうだろう、ホントに存続してられるのか?地球人との感覚のズレは?現実的で科学的な尺度から夢物語を考えたら思った以上に良くない結果になったぞ、みたいな想像の楽しさ。アイデア一つとっても一本話書き上げれそうなそれが惜しみなく詰め込まれてる。まだ三巻中の一巻しか読めてませんが、今一番続きを楽しみにしてます。

DADA 「mine」

怖すぎ

音楽開拓枠。圧倒的な世間が認めるオシャレミュージック感が苦手でHIPHOP通ってなかったんだけど、ブラメタとかグラウンドコア周辺の過剰に演出された鬱感にも飽きてきてて、そういうときにスッと入ってきた一枚。他の音楽ジャンルより詞に自己言及度合いが強くて、イカツイ見た目でナイーブなリズムの乗り方と詞を歌い上げるHIPHOPの側面に気づいてから一気に掘る気力が出た。Lil Nas Xとかな~んも知らずに初っ端から見たらクソこえーもん。デュランデュランとかデヴィットボウイみたいなその当時のファッションリーダー的なのはともかく、まだ現役バリバリファッションリーダーとしてのHIPHOPにはまだ馴染めてないんだけど、まあゆっくり掘り進めて馴染ませていこうかな。そう思えるくらいにはHIPHOPを触り程度に知った一年でした。でもラッパーの下ネタの使い方は今のとこ好きじゃありません、ギャハギャハしてて……。メロコア好きからする圧倒的なイジられ陽キャ臭に近い怖さある。下ネタの使い方から感じる陰キャ臭と陽キャ臭ってあるよな。

ジュエリーハーツアカデミア

構成がキモな作家なだけに最後が惜しすぎる!!!!!!!いや面白かったよ、マークスとヴェオ戦でいやこれ以上このエロゲに面白さってあんのってなった後にエピソードχの全貌が段々明かされてきて、からのギメルだよ。愛した人の夢で生き方を縛られた男が、主人公側の理想を心で否定することなく、あの日心に誓ったことをもって戦うワケ。つまんねー訳ねーじゃん。それで終わってくれよ~~~~~~~。全部が全部解決してハッピーエンドですにする為に無理に物語を延長しないでくれ。頼む。

Syrup16g

俺は今年聞いた曲ランキグンをツイートして人から承認をもらう奴とは違うヅラしてたんだけど、気になって見たらSyrup16gが順位の大半を埋めてて流石に"欲求"に負けた。そういう一年。

別に2022の要素は特にありませんが(新盤は出したけど)、年柄年中人生のどのタイミングで聞いても響く曲だらけ。

音楽に乗せる言葉って、人間の心の方向性でしかないと思うんだよな。会話するときに言葉の意味だけを受け取ってる人間っていないじゃん。そいつの目の動きから、口角から、声色から、流れる空気から、身体の五感で心の機微を受け取る。その機微の方向性を形にする為の指針。だからその言葉と言葉の間にある機微が音をもって自然に入り込んでくる曲が俺は名曲だと思う。Syrupから、っつーか五十嵐隆からは凄く伝わってくるのは多角的な思考の果ての虚しさで、虚しさからくる怒りだったり感傷だったり祈りだったりがとにかく奔流みたいに入り込んでくる。もう好きすぎてこれ以上言葉にできない。お前がもし何をしても何を見ても何を聞いても何を言っても虚しい気持ちになったなら、多分人生でそういう機会は何度もあるから、その中の一回だけでいいから、Syrup16gを聞いてほしいなって思います。飾り気のない暗さと元気のなさが取り柄の良いバンドです。本当に。

ぼっち・ざ・ろっく

明日ちゃんと迷ったけど、記憶がまだ新鮮だし今年のCloverWorks大賞はこっちにしよかな。後藤ひとりのキャラ付けとかはともかく、グズグズしてる陰キャがバンドを通じてライブハウスに客呼ぶのに苦労したりそもそも支払いにほとんど持ってかれたりみたいな実情をポップに見れたのは凄い良かったね。ロックバンドってもう導線がないのかして、オタクもあんまり手出さなくなってきてる印象があるよな。オタクとの親和性なんかいくらでもあるんだけど、ヒットチャートに上がってくるのがどうしても「そっち」寄りの客向けの曲になるから感性にあう曲を見つけられないのもデカいのかな。

ロケーションの細かさもそうだけど、何よりステージに立ってライブするのを最後に持ってこない構成大好き。あくまで生活が中心の物語だから、内面の話を終えたらそこで物語は一旦終わりなんだよな。煌めきはそこに付随してくるもので、それを最初に見せてサクっと次に行くあの感じ。部活アニメでもアイドルアニメでもなく日常アニメの塩梅で全てが進行してたのが良かったね。

終わり

はよ出せ

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