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【読了】坂本龍一/著

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』坂本龍一 著 (新潮社)

坂本龍一さんが、一度は快癒したガンの転移を告げられたのは、2020年12月。

医師からは「何もしなければ余命は半年ですね」

その日が来る前に言葉にして残しておきたいとの思いから月間『新潮』の連載が始まります。(2022.07.〜2023.02.)

盟友の鈴木正文さんが綴られた「著者に代わってのあとがき」が付け加えられています。

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
坂本龍一 著
新潮社 (2023.06.20.)

【ガンと生きる】

「ぼくはあと何回、満月を見るだろうか」
映画『シェルタリング・スカイ』(1990)の台詞に出てくる。p.9
と云う書き出しで始まります。

音楽は時間芸術だと言われます。
時間と云う直線の上に作品の始点があり、終点に向かって進んでいく。
「生」の限定性に直面した今、これまでとは違った角度から考え直す必要があるのではないかと感じています。p.20

序盤の pp.24〜27. 突然の破壊活動 の中で「既成概念」を壊すのではなく、歳を重ねるごとに強くなるフォーマルなものが気に食わないのです。と   記されています。

【母へのレクイエム】

『箏とオーケストラのための協奏曲』
冬(still) 春(return) 
夏(firmament) 秋(autumn)
「静止と胎動」「芽吹きと誕生」
「成長」「黄昏•闇•死」 
pp.64.〜66.

【YouTube】

【自然には敵わない】

2011年(平成23)3月11日 午後2時46分に発生した東日本大震災の記録からチャリティの活動記録が記されています。
東日本大震災 p.73〜
被災地での無力感 p.75〜

【旅とクリエイション】

アイスランド p.101〜
アラブ首長国連邦 (UAE) p.104〜
ワシントンD.C. スミソニアン博物 p.108〜
ヴェネツィア国際映画祭 p.110〜
YCAM 能楽堂 p.113〜
石川県立音楽堂 p.118〜
奈良県 談山神社 p.120〜
札幌国際芸術際 p.122〜

【初めての挫折】

老眼を感じ取った日 p.131
野口整体とマクロビ p.131〜
仕事への復帰 p.148〜

【さらなる大きな山へ】

映画『怒り』の音楽 p.165〜
『async』p.170〜
『CODA』p.180〜

【新たな才能との出会い】

ガンの再発 pp.226〜228.

【未来に遺すもの】

Ars longa, vita brevis.
芸術は永く、人生は短し。

【読後感】

必ずやってくる「死」について、それまでに どう生きるか?考える切っ掛けをつくってくれる本だと思います。
単なる闘病記ではなく、言葉の1つ1つが心にしみると同時に、坂本龍一さんの常にクリエイティブな精神が読み取れます。

【新潮社公式サイト】

読了:2024.04.28.
Note:2024.04.29.

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