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AI思考喪失:知識と思考力の在り方が変わる時代

近年、デジタル端末の普及やオンラインサービスの充実が進み、私たちの生活に欠かせないものとなっています。このデジタル化の波により、「デジタル記憶喪失」という現象が生まれました。

デジタル記憶喪失とは、デジタル端末の普及やオンラインサービスの充実により、ある種の情報を忘れ去ってしまう、という傾向を指す語である。

weblioより

これは、いろいろ覚えておかなくても、いざとなったら検索すればいいよね、という「記憶の外部化」により、記憶喪失のように感じる現象です。

そして今、AIの普及によって「AI思考喪失」とも呼ぶべき状況が生まれています。

ここでいう「AI思考喪失」とは、AI技術の進化と普及によって、人々が自分の思考力や判断力を失ってしまうことを指します。

自分ではなにも考えず、なにか考えたいときにはAIに頼めばいいよね、という「思考の外部化」ということですね。

AIが私たちの代わりに問題解決や意思決定を行うようになると、人々は自分で考えることが少なくなり、思考力や判断力が衰えてしまう恐れがあります。

実際、私もこうしたライティングにAIを活用するようになって、まずはAIに考えてもらって、そのアウトラインを眺めながら自分の考えを整理するようになりました。

これまで:「思考」 → 「執筆」
今:AIによる「思考」 → 「修正」 → 「執筆」

AIによる思考プロセスの変化

という感じで、「自分が思考している」という実感が少なくなっています。

これまでは、ネットに情報があるので何かあればそのときに検索すればいいというように「記憶の外部化」が行われてきましたが、現在は何かあればAIに考えてもらえばいいという「思考の外部化」が起こっていると感じます。

最近では、「セカンドブレイン」とも呼ばれるAIアシストツールも多く提供されています。

Rewind AI は、見たもの、聞いたもの、言ったことを記録して検索できるようにします。画面、マイク、スピーカーを 2 秒ごとにキャプチャして、データをテキストと音声に変換して検索可能にします。たとえば、Rewind を使用して、見たドキュメント、聞いた曲、または言ったフレーズを検索できます。また、Rewind を使用して、画面上のテキストや画像を検索することもできます。

Lindyはスケジュールやメール、タスクなどの管理をサポートしてくれます。

こうしたツールをもっと多くの人が使うようになり、思考の外部化が進むと、どうなるのでしょうか。

例えば、自動運転技術が進化し、AIが運転を担当するようになると、運転に関する技術や知識が失われてしまう可能性があります。また、AIが投資判断を行うことで、個人投資家の投資に対する知識や判断力が低下することも考えられます。

このような状況を避けるためには、AI技術と適切なバランスで共存し、私たち自身の思考力や判断力を維持・向上させる努力が求められます。AIを情報源や助けとして利用しながらも、自分で考え、意思決定を行うことが重要です。

具体的には、情報収集や分析にAIを活用しつつ、最終的な判断は自分で行うようにすることが効果的です。また、日常生活や仕事の中で、定期的にAIを使わずに問題解決を試みることで、思考力や判断力を鍛えることができます。

教育の場においても、AI技術の活用とともに、子どもたちに批判的思考力や独創性を育む教育が求められます。AIが発展した未来においても、私たちが自分の思考力や判断力を失わずに済むよう、早い段階から意識的な取り組みを行うことが重要です。教育現場でのディベートやプロジェクトベースの学習を通じて、子どもたちが自ら考え、意見を形成する力を身につけることができるでしょう。

AIを活用しつつ自分の思考能力を育てる、そういった取り組みが今後必要になってくると感じています。

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