『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』試写会
私は、彼女の作品を、ただの一度も読んだことがない。「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズの絵は見覚えがあった。『魔女の宅急便』を知ってはいるけれど、ジブリアニメのオリジナル脚本だと思っていたくらいだ。母になるまで話が続いていたなんて思いもしなかった。
角野栄子さんは本当にカラフルな魔女で、「書くこと」という角野さんオリジナルの魔法を駆使し、子どもたちに「楽しい」を与え続けてきた。そしてご本人も本当に楽しそうに日々を生きている。
そういう暮らしからしか生み出せない物語を、書いてきたのだろう。そういう物語を生み出すための暮らしを続けてきている、とも言えそうだ。
映画の中でとくに印象的だったのは、角野さんのデビュー作『ルイジンニョ少年』のモデルになったルイジンニョさんご本人の言葉。
ネタバレしたくないので、細かくは書けないけど、一部を持ち帰るという発想があまりにも素晴らしくて、胸に響いた。
角野栄子さんのファンにはたまらない構成なんだろう。彼女のご自宅やプライベートな姿を垣間見られる。さまざまファッションに身を包むのを眺めるのは楽しい。新しく建設された美術館の内部を見られるのも嬉しいだろう。
だから仕方ないのかもしれない。
角野栄子さんが、いかにして魅力あふれる「カラフルな魔女」になったのか、全然わからなかったとしても。だからなのか、映画を見終わったあと、角野栄子さんの本を読んでみたいと思えなかったとしても。
私のように、彼女を知らない人に向けて作られていない作品だから。
それでも、映画の中に登場する書籍のひとつ『イコ トラベリング 1948-』は、
私小説みたいな紹介のされ方だったので気になりました。
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