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Netflix版「三体」は流石の脚色〜舞台は中国からイギリスへ

中国テンセント版に続いて、3月から配信されたNetflix版の「三体」。この二つのドラマ化は、まったく違うアプローチだった。

原作となった小説「三体」については、こちらの記事を参照して欲しい。そして、テンセント版のドラマは今年の1月に記事にした。

今回の主題はNetflix版である。

WOWOWおよびU-NEXTで配信されているテンセント版は、基本的に原作に忠実である。それ故、原作を読むだけではイメージしづらい点を補完することができる。全30話で、「三体」三部作の第一部をカバーするというオーソドックスな構成でもある。

一方のNetflix版は、原作を大胆に脚色している。中国がメインの舞台となる原作に対して、こちらはロンドンである。主要登場人物も、多様化している。そのことを決して否定しているわけではなく、“原作“を知らずに観るグローバルな視聴者層が、あまり抵抗感なくドラマの世界に入ることができる、そんな工夫を感じるのである。

第一部の主人公は、物理学者の葉文潔(イェ・ウェンジェ)と、ナノマテリアル開発者の汪淼(ワン・ミャオ)、そして警官・史強(シー・チアン)であり、この三つの視点が「三体」を構成していく。しかし、Netflix版はこの構造自体を変えている。

さらに、ドラマのテンポを大幅に加速している。前述の通り、テンセント版全30話に対して、Netflix版は全8話である。

さらに、原作第一部およびテンセント版のクライマックスは、パナマ運河における大作戦だが、Netflix版においては、なんと第5話でこの場面に到達してしまう。これだけでも、Netflix版は原作をベースにした、新しい「三体」になっていることが分かるだろう。

さらに、このことは何を示しているかと言えば、Netflix版は原作の第二部「黒暗森林」まで取り込んでいるということである。

したがって、この二つのドラマ化を比較して、どちらが上・下という議論は意味がなく、「三体」というとてつもないSF小説から、二つの違った映像作品が生まれ、小説・テンセント版・Netflix版という、まさしく“三体“が楽しめるということである。

問題は、いつシーズン2がリリースされるか。テンセント版は2025年から撮影開始らしい(そんなポストをネット上で見つけた)。Netflixは、今のところシーズン2についての公式コメントを出していない。

早く続きが観たい!



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