見出し画像

「思い出横丁」、私は一択で「ささもと」〜ますます国際的に

大学に入った年、新宿 西口の「思い出横丁」に連れて行かれ、初めてホッピーなるものを飲んだ。その“思い出“もはるか遠くになった頃、「思い出横丁」に出入りするようになった。鰻串の「カブト」、食事を取るなら「つるかめ食堂」、そして「ささもと」

今では「ささもと」一択。とは言え、コロナ禍以降、すっかりご無沙汰していた。春になり、コートも脱ぎ、ついにジャケットも必要なくなった今こそ、「ささもと」再訪の時と「思い出横丁」に向かった。

時間は18時過ぎ、空席があることを祈りつつ、たどり着いた。幸運にも、入口(と言ったってドアなどないけれど)の特等席が一つ空いていた。

なぜ“特等席“か。使い込まれた焼き場の目の前で、丁寧な仕事が間近で見られる。目の前には、タレの入った壺がカウンター内に格納されており、焼き場の左側には煮込み鍋が見える。他のお客さんが頼む串を見ながら、注文を考えることができる。

その代償として、煙をモロに浴びる。逆転の発想では、帰宅後も余韻を楽しめる。加えて、夏場は暑い! したがって、「ささもと」に行くベストシーズンは、上着を着ていない春や初秋である。

ホッピーはないのでビールの小瓶を注文、「煮込みからでいいですか?」にYesと答えると、まずは煮込み串が2本。コロナ前は、小さなおしぼりが出され、「指先だけね」と言われたが、流石に紙おしぼりに変わった。

もつ焼きに移行するが、この店の焼き物は、部位によって塩・タレを店側が選択。それだけではなく、レバーはネギをかけて醤油を垂らす、タンは味噌を塗ると、細かくアレンジされる。野菜が美味いのも特色で、プチトマトや、エノキだけは煮込み鍋にしばらく入れてから焼かれる。

どんな部位があるのか、特にメニューはない(食べログ等ネットで詳しくわかるが)。焼き場と2階の間は伝声管でつながっており、時折「ナンコツ(豚の喉)少し降ろして」などと指示が飛ぶ。到着する串で、部位の姿を知ることができる。日本酒3杯目に入った頃にキャベツを頼む。これは煮込むだけで、〆にピッタリである。

客層には大きな変化があった。以前も、ちらほら日本人ではない客がいたが、この日は半分以上がノンジャパニーズ。アジア系・欧米系、色々。「思い出横丁」全体としても、観光客と思わしき人で結構な混雑である。

私の隣に座ったアジア系のカップルにどこから来たのか尋ねると、ニューヨークから来たとのこと。東京に1週間滞在しているそうだ。

私が「この店は、インターネットで見つけたの?」と聞くと、「No。『思い出横丁』に来たくて、歩き回った結果、この店が一番繁盛していたから」「全て完璧で大満足」と応えてくれた。

ご存知ない方に言っておくが、この「ささもと」という店は、日本人でも入店には勇気のいる酒場だと思う。まして外国人にとってはと思うが、日本食の浸透もここまで来たかという感じである。店主は、入ってくる非日本人と思われる人には、「ノー、チキン。ポーク&ビーフ。OK?」と確認しているが、皆平気の様子である。

なお、この店には看板はない。行かれる方は、「思い出横丁」のサイトで場所を確認して訪れることをお勧めする


この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?