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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

最近の記事

ラジオネタをもう一つ〜NHK「ヤマザキマリラジオ」に萩尾望都登場

ヤマザキマリととり・みきの「プリニウス」(新潮社)が、第28回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。おめでとうございます!  そのヤマザキマリが萩尾望都をゲストに迎えたNHK「ヤマザキマリラジオ」が5月2日に放送され、5月9日までradiko・NHKラジル★ラジルで配信されています。 この二人の対談が2時間近く聴くことができる番組、様々なトピックに会話が飛び跳ねていきます。 なお、以前にも書いた“萩尾望都クエスト“(入手可能な全作品を時系列に再読・初読という、個人的なプ

    • 「村上RADIO」特別編、まだradikoで聴けますよ(あと数日)〜小澤征爾さんの遺した音楽を追って

      月1で放送されている「村上RADIO」(TOKYO FM/JFN38局ネット)ですが、4月は2回の放送。4月29日、“昭和の日“の祝日は、特別編として“小澤征爾さんの遺した音楽を追って“と題して、2月に他界された小澤征爾さんの追悼番組が放送されました。 村上さんは、「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(新潮文庫)というインタビュー本を上梓されていますが、お二人の親交を通じたエピソードも挟みながら、小澤征爾さんの録音を時系列で紹介するという構成になっています。 HPに内

      • Netflix版「三体」は流石の脚色〜舞台は中国からイギリスへ

        中国テンセント版に続いて、3月から配信されたNetflix版の「三体」。この二つのドラマ化は、まったく違うアプローチだった。 原作となった小説「三体」については、こちらの記事を参照して欲しい。そして、テンセント版のドラマは今年の1月に記事にした。 今回の主題はNetflix版である。 WOWOWおよびU-NEXTで配信されているテンセント版は、基本的に原作に忠実である。それ故、原作を読むだけではイメージしづらい点を補完することができる。全30話で、「三体」三部作の第一部

        • 「帰って来た 橋本治展」〜GWに神奈川近代文学館へ

          GWである。遠出することもなく、おとなしくしている。2日に1回はジムに行き、ウォーキングする。かつてはエアロビクスのレッスンに参加していたのだが、都合の良い時間のものがなくなり、単に歩いているだけである。 4月29日、祝日スケジュールで臨時レッスンが午前中にあり、本当に久方ぶりに参加してみた。ついていけるか不安だったが、結構体が覚えていて、なんとかこなした。一風呂浴び、自由が丘から東横線で元町・中華街駅に向かった。目的地は神奈川近代文学館である。 駅を降りエスカレーターで

        ラジオネタをもう一つ〜NHK「ヤマザキマリラジオ」に萩尾望都登場

        • 「村上RADIO」特別編、まだradikoで聴けますよ(あと数日)〜小澤征爾さんの遺した音楽を追って

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          二つの「砂の器」から感じる“腕力“〜橋本忍が生み出した松本清張の代表作

          春日太一著「鬼の筆〜戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」(文藝春秋)については、すでに書いた。読む前に見た橋本作品についても記録した。 本書を読んだ後、再見した作品がある。「砂の器」(1974年松竹/橋本プロ)である。橋本忍はデビュー作「羅生門」(1950年大映)以来、数々の名作を脚本家として送り出したが、そのキャリアの頂点と言えるのが「砂の器」である。少なくとも、「鬼の筆」を読むとそう感じる。 改めて観ると、本当に面白い映画である。ミステリー小説を原作とする映画にあり

          二つの「砂の器」から感じる“腕力“〜橋本忍が生み出した松本清張の代表作

          「思い出横丁」、私は一択で「ささもと」〜ますます国際的に

          大学に入った年、新宿 西口の「思い出横丁」に連れて行かれ、初めてホッピーなるものを飲んだ。その“思い出“もはるか遠くになった頃、「思い出横丁」に出入りするようになった。鰻串の「カブト」、食事を取るなら「つるかめ食堂」、そして「ささもと」。 今では「ささもと」一択。とは言え、コロナ禍以降、すっかりご無沙汰していた。春になり、コートも脱ぎ、ついにジャケットも必要なくなった今こそ、「ささもと」再訪の時と「思い出横丁」に向かった。 時間は18時過ぎ、空席があることを祈りつつ、たど

          「思い出横丁」、私は一択で「ささもと」〜ますます国際的に

          父と息子のつらい物語〜「アイアンクロー」フリッツ・フォン・エリックの“鉄の爪“

          小学生の頃、プロレスに夢中になった。「プロレス入門」という本を買い、隅から隅まで何度も読んだ。当時の外国人レスラーの多くにはニックネームがつけられていた。 “鉄人“ルー・テーズ、“人間発電所“ブルーノ・サンマルチノ、“アラビアの怪人“ザ・シークなど、子供心に興奮をかき立てる異名が並んだ。“荒法師“ジン・キニスキーなどという、意味不明のものもあったが。 そして、“鉄の爪〜アイアン・クロー“フリッツ・フォン・エリックである。得意技は、“ブレーン・クロー“あるいは“脳天締め“と

          父と息子のつらい物語〜「アイアンクロー」フリッツ・フォン・エリックの“鉄の爪“

          私自身は消化不良だったけれど〜「オッペンハイマー」は映画館で体験すべき

          ようやくという感じで「オッペンハイマー」を観た。既に多くの映画評があふれているので、私ごときが付け加えることはないのだが、備忘録的な感想を。 まずは映画館で体験すべき作品だと思う。その辺りはクリストファー・ノーラン監督もかなり意識したのだと思う。核兵器の威力・恐ろしさを、あの画面、そして音響が、一種のモチーフとして働きかけてくる。 オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)と精神科医で共産主義者のジーン・タトロック(フローレンス・ピュー)のシーンなど、ノーラン的な映像表現も

          私自身は消化不良だったけれど〜「オッペンハイマー」は映画館で体験すべき

          まさに眼福を得る〜「四月大歌舞伎」玉三郎と仁左衛門

          「四月大歌舞伎」夜の部は、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の共演「於染久松色読販」(おそめひさまつうきなのよみうり)。 “お染の七役“として知られる演目で、一人の女形がお染・久松を始め、早替わりも駆使しながら七役をこなす。橋本治著「大江戸歌舞伎はこんなもの」(ちくま文庫)によると、かつて歌舞伎の世界において男女は区別されていた。もっとも、すべて男性で演じられるので、立役と女方という意味ではあるが。 女方は現実的には座頭につくことができず、立役の役割が「見得」を切るということならば

          まさに眼福を得る〜「四月大歌舞伎」玉三郎と仁左衛門

          エジンバラからロンドンの旅(おまけ)〜雑感いろいろ

          (承前) 東京にいると、インバウンド観光客の増加を肌身で感じますが、エジンバラ・ロンドンも相当な数の観光客がいました。イースター休暇明けではありましたが、まだ学校は春休みだったせいもあるのでしょう。国内からの旅行客も多くいたでしょうが、海外からイギリスに短期的に訪れた人は2023年で4千万人程度のようです。同年の訪日外国人旅行者数は2500万人程度とされています。 週末だったせいもあり、エジンバラ城は当日券では入場できなかったようです。私の訪れたロンドンのウエストミンスタ

          エジンバラからロンドンの旅(おまけ)〜雑感いろいろ

          エジンバラからロンドンの旅(その10)〜我々はなにを食べたか

          (承前) エジンバラ・ロンドンの旅行記、最終回は私たちが何を食べたかを記録します。どの店も満足いくクオリティだったので、お勧めできます。旅行に行かれる方は、参考にしてください。予約は必須ですが、今はオンラインでできます。 3人以上で食べていますが、我々は一人一皿〜前菜・メインという注文の仕方はせずに、基本的に皿をシェアするスタイルです。3人だと前菜2皿、メイン1〜2皿(普通の方よりは少食です)、ワインは結構な量(昼から3人で1本はデフォルト)という感じです。逆に言うと、シ

          エジンバラからロンドンの旅(その10)〜我々はなにを食べたか

          エジンバラからロンドンの旅(その9)〜ミュージカル「Hadestown」@Lyric Theatre

          (承前) プライオリティとしては、オペラの次はコンサートなのですが、あいにく滞在中に行きたくなる公演はなし。連日、各所でクラシック・コンサートが催されているロンドンでは珍しいことです。 次に探したのはミュージカル。私はクラシックなブロードウェイ・ミュージカルを好むので、目についたのが「ハロー・ドーリー!」。しかし、このリバイバルは7月から。もう一つは、こちらもかつて映画化された「Guys and Dolls(野郎どもと女たち)」。こちらは劇場がタワー・ブリッジのたもとなの

          エジンバラからロンドンの旅(その9)〜ミュージカル「Hadestown」@Lyric Theatre

          エジンバラからロンドンの旅(その8)〜私の居場所ロイヤル・オペラで「カルメン」

          (承前) ロンドンに来たからには劇場街ウエスト・エンドに行きたい。特に、ロイヤル・オペラ・ハウス。ただ、観たい演目に当たるかどうかは運次第。今回の滞在時の予定を観るとビゼーのオペラ「カルメン」の上演がある。早々にチケットを取っていました。ちなみに、値段は演目によって変わりますが、「カルメン」の場合、天井桟敷立見の£13(2500円程度)から、£245(47000円程度)まで、かなり細かく分かれています。私が取ったのは平土間席(Stall)の後方サイド席で£172でした。ロイ

          エジンバラからロンドンの旅(その8)〜私の居場所ロイヤル・オペラで「カルメン」

          エジンバラからロンドンの旅(その7)〜私のお気に入りナショナル・ギャラリー

          (承前) 久方ぶりのロンドン、是非行きたいと思っていた場所の一つがトラファルガー広場に位置するナショナル・ギャラリー。私のお気に入りの美術館です。正面玄関前で振り返ると、目の前にトラファルガー広場、「遂にロンドンに来た!」28年前に赴任し時のことを思い出します。 欧州にはルーブル始め、各地に素晴らしい美術館がありますが、ナショナル・ギャラリーほど、適度にコンパクトで、ルネッサンス期から印象派までの西洋美術史を概観できる施設はないと思います。しかも、今でも無料! 通常の開

          エジンバラからロンドンの旅(その7)〜私のお気に入りナショナル・ギャラリー

          エジンバラからロンドンの旅(その6)〜ウェストミンスター寺院で戴冠式を体感する

          (承前) 今回の旅で、訪れようと思った場所の一つが、ロンドンのウエストミンスター寺院(Westminster Abbey)でした。 昨年、イギリスではチャールズ国王の戴冠式が執り行われました。その会場となったのが、このウエストミンスター寺院。1066年から君主はここで戴冠し、多くのイギリス国王・女王や著名人が埋葬されています。 チャールズ国王の戴冠式では、今般結婚した次女がオーケストラの一員としてバイオリンを演奏、そのことは昨年記事にもしました。ウエストミンスター寺院を

          エジンバラからロンドンの旅(その6)〜ウェストミンスター寺院で戴冠式を体感する

          エジンバラからロンドンの旅(その5)〜エジンバラの観光名所ホリールード宮殿

          (承前) 次女の結婚式・結婚披露パーティーも無事終了、ロンドンに向けて飛び立つー予定でしたがBAからフライトがキャンセルされ、夜の便に変更した旨の連絡が入りました。おかげでエジンバラ観光の時間ができました。 私は家族と観光で訪れたことがある上、出張で何度も来ていますが、義妹は初めて。エジンバラは世界遺産に登録されている街で、旧市街のメイン・ストリートであるロイヤル・マイルからエジンバラ城にかけての街並み、聖ジャイルズ教会、新市街の方には詩人のウォルター・スコットを記念した

          エジンバラからロンドンの旅(その5)〜エジンバラの観光名所ホリールード宮殿