水木しげる『ゲゲゲ家族の肖像』

　短編漫画集。

　漫画『朧車』『夢先案内猫』『姥捨株式会社』『突撃！悪魔くん』、水木先生の娘さんたちへのインタビュー『ゲゲゲの姉妹が明かす水木家のヒミツ』、水木先生のコラム『借金やら、倒産で……』『人生と努力』が収録されています。

ゲゲゲ家族の肖像 (トクマコミックス)

　※注意
　以下の文には、結末までは明かしませんがネタバレを含みます。

　わたしが特に好きなのは『朧車』。

　水木家の皆さんとおばけたちが家族ぐるみで交流を深めていくという、なんとも夢溢れる作品です。

　水木先生が鬼太郎とねずみ男に偶然出会い、

　水木先生
　「じつはわたし長い間あなた方のことをかいてめしを食っていたものです」

　鬼太郎
　「おかしいな」

　ねずみ男
　「だれか妖怪にきかないかぎり」

　鬼太郎
　「われわれのことを知る人はいないはずだが……」

　（P12から引用）

　といった会話を通して自然と親しくなります。

　この奇妙なご縁によって、鬼太郎とねずみ男は水木家に居候し始めます。

　それを機に、なんと水木家は怪奇現象の中心地となってしまいます！

　おばけたちが次々に訪れて、やがて水木家はおばけの国会議事堂に！

　水木家と人間社会は行き来不能。

　人間よりもおばけと話す機会が増えたことで、ついに水木先生は奥様に、

　「おまえはだまってきょうからお岩スタイルにしろ　おれはおばけらしい名前にきょうから改名する」

（P53から引用）

　と決意表明します。

　おばけも凄いけれど、人間の適応能力も凄いですね…！

　新し過ぎる生活様式に馴染んでいる…！