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桜井海『おじさまと猫』

 妻を亡くし、子どもたちが巣立ち、一人暮らしをしていたおじさまが、ペットショップで猫と出会うところから始まる漫画。

 この猫はお客さんから「ブッサイク」などと馬鹿にされ、売れ残り続けた結果、子猫時代をとうに過ぎて大きくなってしまったため、「もう諦めた…どうせ私なんて誰も欲しがらにゃい…」と絶望していました。

 そんな寂しい猫と、寂しいおじさまが出会います。

 自分を選んでくれる人が現れたことが信じられず、猫は「返品にゃんか嫌だ! 期待にゃんかさせないでくれ!」と激しく動揺します。

 おじさまが猫を家に連れて帰っても、猫はまだガタガタ震えていました。

 「こんな猫いらない」と言われたらどうしよう、と。

 でも猫は気づきます。

 広い家なのに、家族がいないということに。

 猫は「あなたは独りぼっちにゃの? 誰も…撫でてくれる人がいにゃいの? 私がいるにゃ…」とおじさまに寄り添います。

 おじさまは猫に「ふくまる」と名前をつけました。

 おじさまはふくまるのことが大好き。

 ふくまるもおじさまのことが大好き。

 ふくまるは猫なので勿論言葉は話せないけれど、心の中でおじさまのことを「パパさん」と呼ぶようになりました。

 パパさんとふくまるは同じベッドで眠ります。
 
 時折ふくまるが目を覚まして、パパさんが居なくなっていないか不安でパパさんの体に触れて、「パパさんがいる。夢じゃにゃいにゃ…。安心したらまた眠くにゃってきたにゃ」とホッとして眠ります。

 パパさんも、隣で眠っているふくまるを愛おしそうに撫でます。

 このふたりの様子があまりに愛情に満ち溢れていて、読んでいるとこっちまで幸せで幸せでたまらなくなって、もうこのまま時が止まれば良いのにという気持ちになってきて…、ページをめくる度に涙がこみ上げてきます。

 人って、幸せな時も涙が出るんですね…!

 続きを読みたいのに、涙が邪魔してなかなか読み進めることが出来ません。

 電車の中で読んでいたら涙が止まらなくなったので、降りる予定のない駅に一旦降りて休憩して、もう大丈夫だろうと思ってページをめくったらまた涙が出ました。

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