記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

高橋渉監督『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』

 「今日は良い夢を見た!」と思って目覚めた時って、「次もまた良い夢を見られるかも」と次に寝るのがちょっと楽しみになりますよね?

 でも、悪夢を見て目覚めた時はその逆…。

 この映画のヒロインは、悪夢ばかり見てしまう女の子。


 ※注意
 結末までは明かしませんが、以下のレビューには一部ネタバレを含みます。




 <あらすじ>

 サキちゃんという5歳くらいの女の子がいます。

 サキちゃんのパパとママは夢を研究している科学者でした。

 サキちゃんが今よりずっと幼かった頃、悲しい事故が起こってしまいました。

 パパとママの実験が失敗した最悪のタイミングで、偶然サキちゃんが実験室に入って来てしまったのです。

 ママはサキちゃんを庇って爆発に巻き込まれ、死亡。

 サキちゃんは「わたしが実験室に入るなんておバカなことをしたせいでママが死んだ。きっとママはわたしを恨んでる…」と心に深い傷を負いました。

 サキちゃんはそれからずっと、怪物に襲われる悪夢に苦しむようになりました。

 ママが生前にくれたバクのぬいぐるみを大事に抱えていても、いつも悪夢は襲ってきます。

 バクは悪夢を食べてくれるという伝説の生き物なのに…。

 パパはサキちゃんを不憫に思い、もう悪夢を見ないで済む装置を開発。

 その装置を動かすためには、近くに住む人たちの楽しい夢を見る力「ユメルギー」が必要。

 ユメルギーを吸われた人たちは楽しい夢を見られなくなり、悪夢に苦しむことになります。

 パパは「娘を守るためなら何だってする」という考えなので、他人がどうなろうと知ったことではないのです。

 人々のユメルギーを吸い尽くす度に、サキちゃんとパパは新しい街へ引っ越し続けます。

 そうすればやがてみんなのユメルギーは復活し、みんなの夢は元通り。

 サキちゃんは自分とパパがなぜすぐあちこち引っ越さないといけないのか、誰のせいでみんなが怖い夢を見て苦しんでいるのかよく分かっています。

 だから、サキちゃんは友達を作ろうとしません。

 パパに愛されてはいるけれど孤独なサキちゃんは、まるで笑うことを自分に禁じて罰を与えているかのように、暗く沈んだ表情で過ごしてきました。

 そんなサキちゃんが春日部に引っ越してきて、ふたば幼稚園に通うようになったことで、サキちゃんの人生は一変しました。

 かすかべには野原一家やかすかべ防衛隊のみんながいるからです。

 どんなにサキちゃんが拒絶しても、かすかべ防衛隊のみんなはとってもフレンドリー。

 「友達になろうよ!」

 「サキちゃんもかすかべ防衛隊に入ろうよ!」

 と誘ってくれます。

 特にしんちゃんの無邪気な人懐っこさは凄い!

 しんちゃんの笑顔は、次第にサキちゃんの警戒心を解いていきます。

 パパは「友達なんていらない」と反対したけれど、サキちゃんとかすかべ防衛隊のみんなは自然と打ち解けて友達になっていきます。

 しかし、やがて、かすかべの人々が悪夢を見るようになったのはサキちゃん親子のせいだ、ということがバレてしまいます。

 かすかべ防衛隊のみんなの雰囲気は悪くなったのですが…、しんちゃんがサキちゃんを見捨てることはありませんでした。

 「もうみんなを巻き込みたくない。でもパパが悲しむのもイヤ…」と悩むサキちゃんを、しんちゃんは支え続け、やがて素晴らしい作戦を提案します。




 以上があらすじです。

 続きがどうなるのかは、是非観て確かめてください。






 『クレヨンしんちゃん』を観る子どもの中には、きっと親を亡くした子どももいるでしょう。

 その中には、もしかしたら様々な理由で「自分のせいでパパやママが死んでしまった」と罪悪感を抱えて悪夢にうなされている子もいるかもしれません。

 この映画はそうした子どもに赦しのヒントを与える作品だ、とわたしは感じました。

 自分で自分を赦すためのヒント。

 また、子どもだけでなく、過去の辛い体験から心に傷を抱えて自分自身を責め続けている大人も沢山いますので、老若男女問わずおすすめしたい映画です。

 シリアスなシーンが多めですが、随所に笑えるシーンが散りばめられているため、観ていて暗い気分にはなりません。

 観る度にあたたかい気持ちでいっぱいになれます。

 みんなの優しさが詰まっているから。




 このレビューを最後まで読んでくださったあなたが、どうか今日も明日も明後日もずーっと、幸せな夢を見られますように!

 もし悪夢を見たとしても、しんちゃんや、かすかべ防衛隊のみんなや、野原一家みたいに、沢山の愛で包んでくれる人があなたのそばにいてくれますように!

この記事が参加している募集

映画感想文

いつもスキ・フォロー・コメント・サポートをありがとうございます😄 とても嬉しくて、記事投稿の励みになっています✨ 皆さまから頂いた貴重なサポートは、本の購入費用に充てさせていただいています📖