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「高額の農産物が美味しいとは限らない」農婦のモヤモヤ

私は桃とプルーンを栽培し、畑で直売所を開いて販売しています。
「売る」時期は、果物が熟したとき。
そして私が ”美味しい” と思ったとき。

農業をやっていない(栽培していない)人から考えたら
美味しいときに収穫するのは当たり前
と思うかもしれませんが、
実際は
「熟したとき」と「美味しいとき」
には少しズレがあります。


農家はいつ収穫を決めている?


農産物は生産している品種によって
収穫する目安の日があります。

生産するものによって違いますが
・開花~~日後
・果実が着色したら
(例えば、黄色から赤に)
・果実の~~の部分の色が抜けたら
(例えば、緑色が透き通ってくる)
・枝先の果実に糖度がのったら
(その枝をすべて収穫できる)

など、いろいろな「判断基準」があります。

この「判断基準」が
”収穫する” ひとつの目安になります。

この「判断基準」が曲者というかなんというか・・・。
「熟している」とは限らないのです。

さらに
糖度は数字で判断できますが
色などでの判断は
「美味しさ」とはイコールではありません。


高額の農産物が美味しいとは限らない

栽培している野菜や果物に
真摯に向き合っている農家さんなら
「判断基準」があっても
天候などの状況に左右されますから
実際に食べてみて
最終的に収穫するかどうかを
決めると思うのです。

でも実際は
「熟しているか?」を確かめず
「美味しいかどうか?」の味見をせず
高値で売れるときに売る

農家さんがいます。

「高値で売れるときに売る」とは?

農産物は市場での取引価格というものがあります。
その取引価格は変動し
値段が上がったり下がったりします。

台風などの自然災害で作物が採れないと値段が上がり
たくさんできすぎてしまう生産過剰で値段が下がる。

これは一般的な市場での変動です。

今は農産物直売所が増えて
出荷している農家が自分で価格を決めることができます。

「直売所」というと
新鮮で美味しいというイメージを持つ人が多いと思います。

この「直売所」の客層や購入状況を分析すれば
「高値販売」が可能なのです。

地元住民が多く通う直売所ではなく
★旅行者、観光バスが立ち寄る直売所
★週末や連休
を狙えば
通常価格の倍でも売れます。

美味しくなくても。高額で売れます。

理由は
・お土産にはお金を払う
・旅行中はお財布のひもがゆるい
・高い方が良い品というお客様層
・今回だけだから買いましょうという気持ち
が働きます。
購買者心理ですね。

高値販売が悪いわけではない、生き方の問題

「高く売れるときに売る」
これはけっして悪いことではないと思います。

生産の苦労は同じですから
高く売れたら嬉しいです。

農家のほとんどが低所得層と言われているのは
高く値段をつけられないことも
理由なんですよね。
だから「高く売る」スキル
みたいなのはとても大切。

でもねぇ
熟していないかもしれなくて
味見もしていなくて
その時「高く売れるから売っちゃう」

そんな農家さんがいることに
私はモヤモヤするのです。

購入した人は
「その味」で次に購入するかを決めます。

それがあまり美味しいと思えなかったら
他の生産者にも影響が出るということなのです。

自分だけ良ければいい
という考えでは
農業全体
農家の質が上がらない。

私が職人気質すぎるのかもしれません。

でもこれは仕事の仕方というより
生き方の問題なのです。

農業を通して
農家としてどう生きるか?

農業はとても好きな仕事なので
農業に携わる人が増えたらいいし
稼げる人になって欲しい。

売るコト、作るコト
どちらも考え続けたいと思います。



地域の直売所に出荷したとき
目を引く方法も載っていますのでヒントしてみてください。

くるみさわしずえの著書
農園をファンでいっぱいにする3つの法則


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