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薬師寺ロミの推理処方せん

タイトル:薬師寺ロミの推理処方せん
著者:平野俊彦

図書館のお勧めコーナーから選んだ1冊。
医療系ミステリーはいろいろあるけれど、「薬剤師」という設定が面白そうなので手に取ってみました。

大病院で起きるミステリーかと思えば、主人公は調剤薬局に務める薬剤師、薬師寺ロミ。
「処方された薬」と「カウンター越しの会話」の中で、患者さんや病状への違和感を捉えていきます。

物語は6つのエピソード(この本では「処方」)で成り立ち、
調剤薬局の中の出来事と
エピソードごとの出来事が同時に流れて、

「今どきの学生は…」
と言ってしまいそうな登場人物もいて
薬局も会社も似てるなと
思わせる場面もあり
お仕事小説としても参考になることが多かったです。

なので、私がこの本から得たことは

  • 日々の仕事を右から左に流すルーチンワークにしない。

  • 目の前の人に目を向ける。

  • 疑問を持つ。

  • 質問することに躊躇せず明らかにする。

  • 大志を抱く。

そしてこの物語を通して、
「医師のほうが薬剤師よりレベルが上」
みたいな、
私の中にあるヒエラルキーを壊してくれる内容でした。

薬の名前や作用がわからない私でも、薬の掛け合わせでおきる突発的な病気(症状)が面白いと思ったので、現在薬学部に在学している方は理解が深いはずなので、興奮しながら読めるかも?

また、「以前の飲み残しを飲まない」とか、「似た症状でも自分の薬を人にあげてはいけない」と知っていたけれど、この本のおかげで、現実に起きるかもしれないこととして危険が理解できました。

著者である平野俊彦氏は、
東京薬科大学卒業後薬剤師となり、薬学博士号を取得。
東京薬科大学薬学部臨床薬理学教授を経て、
現在は東京薬科大学名誉教授。
(著書のプロフィールから引用)

主人公が実務実習中の学生に
「医薬トリビア」として
クイズのように考えさせる手法は
著者が教授という経験をされていたからかな?
と勝手な想像。

この「医薬トリビア」が随所に盛り込まれることで
医薬知識のない私たちにも
興味を持たせる伏線になっていると感じました。

医療系のお話が好きな方、
医学薬学に興味のある方、
いつもとは違う推理力を使ってみたい方にお勧めです。


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