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【競馬の新常識】「大外は本当に不利なのか1」~距離ロスの観点から~#1

割引あり

こんばんは。
「競馬の新常識」のコーナーです。

今回は
大外は本当に不利なのか

です。
何回かに分けて、
「大外は不利」
という固定概念を疑ってみましょう。

早速ですが、競馬において大外は不利なのか、という問いに対して、あなたはどう答えますか?
恐らく9割くらいの人が「不利」と応えるでしょう。
距離のロスがあるし、陸上競技みたいに外側が前に出てるわけじゃないからですね。

では具体的にどれくらいの距離ロスがあるのか、という問いに対して、正確に答えられる人は何人いるでしょうか。
とりあえず計算してみましょう。

例えば、日本ダービーやジャパンカップが行われる
府中2400m。
ここにおいて、大外を回るのと最内を回るとのとでどれくらいの距離ロスがあるのか計算してみましょう。

直線において内を走ろうが外を走ろうが走る距離は一緒ですので、考えるのはコーナーの部分です。
東京競馬場Aコースの芝コース1周は2083.1mで直線距離が525.9mです。
府中2400mレースではコースを1周しますから、1周分走る間にコーナーを走る距離は、向こう正面とスタンド前の直線が平行だと仮定すると

1周の距離-直線距離×2

ですから
2083.1-525.9×2=1031.3

つまり約1031m、コーナーを走っていることになります。
ここからは想像力を働かせねばなりません。
東京競馬場をイメージしていただいて、その直線をカット。残ったコーナー部分をぎゅーーーっと引っ付けます。
そうすると円ができると思います。
その円部分を走るときに大外を走る「距離ロス」が生まれるわけですね。
いけますかね。ちょっと難しいかもですけど、頑張ってください。

では、大外の馬が具体的にどれくらい距離をロスしているのかについてみてみましょう。
最内の馬は先ほどの1031m走るとして、
大外の馬はその2m外をず―――っと走るとしましょうか。

この時、大外の馬が走る距離は円周率をπとして

(最内の馬が走る円の直径+2(外の馬が走るロス)×2)×π
(1031÷π+4)×π
になります。

ちょっとこれを計算するのはめんどくさいので、分配法則で簡略化すると
(1031÷π+4)×π=1031+4π
1031というのは最内の馬が走る距離ですから
1031+4π(m)大外の馬が走るとすると、
その距離ロスは
4π(m)ということになります。

4π(m)

πというのは円周率ですから
3.14159265358979323846264338327950288419…
なので4πは

12.56637061435…

大体12.6mということになります。

12.6m

こう聞くと大きいような気がしますが、2400mのなかで12.6mといえば
0.5%です。
うん。
0.5%だけ。

「でもコンマ1秒を争う世界では…!!」
というのが聞こえてきます。
うん、わかる。

では
ここで問いましょう。
なぜ距離ロスがあると不利なのでしょうか。

もちろんいろんな答えがあると思いますが、おそらく一番大きいのは
他の馬より長く走ることによるスタミナのロス。
ではないでしょうか。

そうなると、大外の馬は最内の馬より0.5%スタミナを多く使っているから、相対的に不利であると言えそう。特に距離延長の馬にはきついかも…

「やっぱ大外って不利じゃん!」

…ここで終わってしまっては「新常識」でもなんでもない。
ここからぶっ壊していきましょう。常識を。

競走馬が他にスタミナを消費する要素って何がありますかね。
騎手、風、掛かり…

あと、馬場。

そう、馬場があるんですよね。
つまり…

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