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【イベントレポ】「伝説の古生物学習まんが」を語りつくす!第2部


「まんが 伝説の化石ハンター」シリーズ最新刊『まぼろしのくびながりゅう』(理論社)の発売を記念し、5月19日にオンライントークイベントが開催されました。
監修を務めた国立科学博物館の木村由莉先生、作者であるまんが家の吉川豊先生、そして声優界きっての恐竜好きであり旧シリーズからの大ファンである新田恵海さんによる古生物愛溢れるトークの模様を、第1部・第2部に分けてお届けします。

第1部:木村由莉先生が明かす復刊版の監修秘話 & 吉川豊先生に聞くまんが誕生秘話>を読む

イベント告知時の画像です


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第2部:人気声優・新田恵海さんが語る!伝説の古生物学習まんがの魅力



時空を超えて“推し“を感じたい

ーーここからは進行を木村先生にバトンタッチし、ゲストに恐竜検定3級保持者の人気声優・新田恵海さんをお招きして、恐竜好き同士で存分に語り合ってもらいたいと思います。では木村先生、新田さん、よろしくお願いします。

新田恵海(以降、新田):おはようごザウルス〜、恐竜大好き声優の新田恵海です。よろしくお願いします。

木村由莉(以降、木村):よろしくお願いします。最初に、なぜこのイベントが実現したかというのをご説明したいんですけど、去年(2022年)の夏に科博で開催した「化石ハンター展」に、なんと、えみつん(編集註:新田恵海さんの愛称)が来てくださったんですよね。それで、「私、こんな本を監修したので読んでください」って『きょうりゅうのたまごをさがせ』の改訂版をお渡ししたら、「もう読んでます、小学生のときに」って。これはガチのファンだなって。それでイベントをするときにぜひ来てもらいたいなと思ってお声がけしたら本当に来てくださって。ありがとうございます。

新田:こちらこそ、ありがとうございます。私は小さい頃から恐竜はもちろん、古生物全般が大好きで。実際に古生物学者として活躍されている由莉先生は憧れの存在なんです。そんな由莉先生と仲良くさせていただけるなんて、この人生、本当に悔いがないです。

木村:子供の頃に「まんが 化石動物記」シリーズの愛読者だったということですけど、今回改めて読んでみて、いかがですか?

新田:今回復刊されて、もう一度当時を思い出しながら読んでいたんですけど、大人になっていろいろわかるようになった今読むと、このまんがのすごさがよりわかるというか。物語が立体的に、現実のものとして伝わってきて、改めてワクワクしながら読ませていただきました。

木村:恐竜好きになったのはいつ頃からなんですか?

新田:小さいときは動物が大好きだったんですけど、小学校に上がるくらいのときにちょうど恐竜ブームがあったんですよ。NHKの教育テレビ(現:Eテレ)で『恐竜惑星』というアニメや『恐竜家族』というアメリカのテレビドラマが放送されていたり、あと『ジュラシック・パーク』の1作目が公開されたのもその頃で。それまで自分の中で恐竜って、怪獣とかと区別のつかないぼんやりしたイメージだったんですけど、恐竜はこの地球に生きていた生き物なんだ!って、恐竜像というものがすごくリアルになって、そこから大好きになりました。

木村:怪獣っぽいカッコ良さと、もともと好きだった動物が結びついて、大好きになったという感じなんですか?

新田:そうですね。架空のものではなく、実際に生きていたもので、でも今は会えないわけじゃないですか。そこにロマンを感じたというか。すごくワクワクしたんですよね。

木村:私、えみつんの言葉ですごい感動した言葉があって。「かつて、この地球上にいて、わたしが今歩いている同じ場所で、もしかしたら足跡を重ねているかもしれない」(『月刊コミックバンチ』2023年5月号巻頭カラー特別企画より)って、この言葉、覚えてますか?

新田:はい、覚えてます。

木村:時空間を超えて、生き物として恐竜を見てるこのフレーズがすごく好きで。恐竜学者になって化石を見つけてやるっていう類の恐竜好きじゃなく、恐竜のファン。それもただのファンじゃなくて、推し。

新田:そうですね。時空を超えて推しを感じる、みたいな。


「恐竜好き」を言い続けたら仕事になった

木村:私は小さい頃から恐竜が好きだったんですけど、中学生、高校生になるにつれて周りに合わせるようになって、恐竜が好きなことを隠すようになった時期があったんです。背伸びして「CanCam」を読んでみたり。
えみつんは、小学生の頃に恐竜に出会って、大好きなまま大人になったんですか?

新田:図鑑に夢中になっていたのは小学生時代。ただ古生物は自分でつかみにいかないとなかなか情報を得られないようなジャンルなので、他に興味の向くものが出てくる中学・高校時代は、小学生の頃ほどは古生物に対する探究心はなかったかなと思うんですね。でも、恐竜ってやっぱりワクワクするし、『ジュラシック・パーク』の新作が公開されたら欠かさず観に行ってました。あと、恐竜のことを話せる友達はいなかったんですけど、兄弟がわりと動物好きで。吉川先生の学習まんがも、「化石動物記」シリーズだけでなく他のものも全部父が買ってくれていたので、私にとってはずっと身近なものでしたね。

木村:恐竜の研究をしたいと思ったことは?

新田:小学生のときの夢は、恐竜博士でした。

木村:お、そうなんだ。

新田:クラスで一番恐竜の名前が言えるというポジション。ただ、恐竜の研究をするなら理系ですよね。私はどちらかというと音楽とか国語が得意で、恐竜博士には向かないかもしれないなって、結構早い段階で思ってしまったんですよ。でも好きな気持ちはずっとあったので、このお仕事を始めてからも「恐竜が好き」って言い続けていたら、まさかこんなイベントに参加できるなんて。

木村:でも確かにおっしゃるように、恐竜の研究って、恐竜が好きなだけじゃできない。理系が得意じゃないならちょっと難しいかもしれない。でも恐竜博士以外に、恐竜好きを活かせる仕事ってなかなか見えづらいんですよね。えみつんは「恐竜が好き」って言い続けたことで、恐竜と仕事がつながった。幸運て、幸運が欲しいと願っている人のところにしか来ないと私は思ってるんですけど、それを体現した人なんだなって思いました。「恐竜が好き」って言い続けて、実際に恐竜に関する仕事が増えてきたのはいつ頃なんですか?

新田:CSのMONDO TVで『新田恵海の恐竜DEEP』という番組をやらせてもらって、それをきっかけにグッと広がりました。それまでも恐竜好きとして時々呼んでいただくことはあったんですが、ちょっと変わった趣味を持った人、みたいなニュアンスでお声がけいただくことが多かったんですね。『恐竜DEEP』は専門の先生にお話を伺って学ばせてもらうという番組だったので、「ファッション恐竜好き」ではないと思っていただけたのかなと思います。

木村:私も拝見しましたけど、恐竜が好きだからこその質問、ここを引き出せたらもっと恐竜がおもしろくなるという質問をたくさんされていた印象です。そのことを、いつかどこかでお会いしたら絶対に伝えたいと思っていたので、こうしてお伝えできて本当に嬉しい。

新田:恐竜に興味のない人って、楽しみ方がわからないんだと思うんですよね。でも楽しみ方を知るとその先に行けるじゃないですか。恐竜って難しいんでしょ、とか、一部の人だけのものに思われがちですけど、この星に生きていた、私たちにもつながるものなので、本当はみんなが興味があるはずなんですよね。そんなことを、たくさんの人に知ってもらえるきっかけになれたらと思っています。

木村:博物館の音声ガイドもされているんですよね。

新田:そうなんです。長崎市恐竜博物館で音声ガイドを務めさせていただいています。

新田:やっぱり趣味で「ティラノサウルスが〜」って言うのと、声のお仕事として「長崎は唯一ティラノサウルス類の化石が発見されていて〜」って言うのは、もう全然気持ちが違うんですよ。私、いろんな人に求められて「ティラノサウルス」って言ってる!みたいな。「恐竜好き声優」として活動する中で、恐竜の展示の音声ガイドを担当するのは大きな目標の一つだったので、それを叶えられたのは本当に嬉しかったですね。あと声のお仕事でいうともう一つ、Eテレで放送されていた『デイナの恐竜図鑑』でデイナのお姉ちゃんのサーラ役の吹き替えを担当していまして、7月30日よりシーズン2が始まるので、こちらもぜひ観てもらいたいです。

木村:私、夏に長崎に行く計画をしてるんです。えみつんの音声ガイドを聞きに行かなきゃと思って。

新田:えー!嬉しい。素敵な場所なので、ぜひぜひ。

(聞き手:星詩織 / 編集:藤本淳子)


⚫︎登壇者プロフィール⚫︎

木村由莉(きむら・ゆり)
長崎生まれ。神奈川育ち。国立科学博物館地学研究部研究主幹。早稲田大学教育学部卒業、米国サザンメソジスト大学地球科学科で博士号取得。陸棲哺乳類化石を専門とし、小さな哺乳類の進化史と古生態の研究を行う。趣味はロード・トリップで、国内の化石産地や遺跡を巡っている。

吉川豊(よしかわ・ゆたか)
神奈川県生まれ。中央大学卒業後、永井豪のダイナミックプロダクションに所属したのちに独立。まんがを担当した書籍に『まんが化石動物記 全10巻』『まんが世界ふしぎ物語 全10巻』など多数。著書に、自身で世界中の謎を調べてまんが化した『まんが新・世界ふしぎ物語 全4巻』『まんがふしぎ博物館 全7巻』(以上理論社)などがある。

新田恵海(にった・えみ)
声優・歌手。長野県出身。音楽大学声楽コース卒業、専攻科修了。2010年声優デビュー。
人気アニメ『ラブライブ!』の主人公・高坂穂乃果役で知られる人気声優でありながら、実は「恐竜検定3級」を保持するほどの恐竜好き!
2020まで放送された冠番組『新田恵海の恐竜DEEP』のほか、近年も『デイナの恐竜図鑑』(Eテレ)のサーラ役や、長崎市恐竜博物館の音声ガイドを務めるなど、幼少期から育んだ「恐竜愛」で、さらにその活躍の場を広げている。


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