なぜかひょうきんに見えるエゾリス|愛しい北海道ANIMALS
おひさしぶりです。北海道はまだ寒いよ~と思っていましたが、流氷を観に行った先で春の便り“福寿草”を発見しました。極寒の地にも春は来ているんですね。そんな寒いところに住む、なぜかひょうきんに見えてしまうエゾリスのがんばりをご紹介します。
トップの可愛い子は、まるで「よっ!」と挨拶をしているように見えますが、ポリポリとお腹を掻いているところです。
まだ雪もたくさん残る3月。マイナス二桁まで冷え込んだ早朝にエゾリスの活動は始まっていました。少し離れた所にその姿を発見!近づくと地面を一所懸命に掘る一匹の可愛いエゾリス。くるくると体を回し、辺りを警戒しながら掘り進めています。
ところがいつまで経っても、安全な木の上にくるみを運ぶことができません。すると、いつもなら木の上から聞こえてくるカリカリ、ギジギジという音が、地上で聞こえ始めました。どうやら凍った地面に埋まったくるみを、その場で割ろうとしているようです。がんばれよ!と私も見守ることに。途中で「疲れた~」とでも言いたげに顔を上げ放心状態になっては、再びカリカリが始まります。ふと、時計を確認すると約30分が過ぎていました。
そこで驚くべきことが……。音を聞きつけたのか別の子が現れ、くるみを横取りしてしまったんです。横取りされた本人がいちばんショックを受けたと思いますが、観ていた私も嘘!と絶句してしまいました。せめてもの救いは、掘っている最中に少しですが食べている様子が窺えたことです。
元の子が戻って来るのを願いつつ、横取りした子にも付き合うことにしました。このとき、じつは周囲に狐の臭いがぷんぷんしていたのです。見張り役を果たす気持ち半分、くるみを食べる姿を観たい気持ち半分といったところですね。
その後、横取りした子も30分近くがんばっていましたが、私が機材を取りにちょっと離れた隙に、地面のくるみは姿を消し、近くの木の上で穴の開いたくるみを食べている子がいました。写真ではどちらの子か(もしくは新たに別の子が現れたのか)、見分けがつきません。最初の子ではないような気がしますが、皆さんはわかりますか?
人間がくるみを食べる時は、さほど苦労もせず剥き身などを食べると思いますが、エゾリスにとってはこんな苦労もあったんですね。雪深い冬も、もうすぐ終わり。もこもこで耳の毛が可愛らしい冬毛から少しずつ夏毛へと変わり、何か月か後には、可愛らしい子どもたちを連れてやって来るかもしれません。それまでに、巣作りもしなきゃいけないし、いっぱい食べなきゃいけません。可愛い子たちにまた逢える日を待ってるよ!
文・写真=結び
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