20世紀を代表するイタリア人画家ジョルジョ・デ・キリコ[1888〜1978]の大回顧展が東京都美術館で開催される。
本展では、約70年の画業の中で生まれた作品100点以上が世界各地から集結。注目すべきは、彼の代名詞ともいえる「形而上絵画」シリーズだ。人物に代えて〝マヌカン(マネキン)〟を描いた作品は、ダリやマグリットなど多くの芸術家に衝撃を与えたという。また、伝統的な西洋絵画の表現に回帰した作品も展示。ルネサンス期に見られるような作風は、それまでのタッチとは全く異なるもので、彼の多様な芸術性がうかがえる。さらに、彫刻や挿絵、舞台衣装のデザイン画といったあまり知られていない創作活動も紹介する。
さまざまな角度からデ・キリコの魅力を堪能できる展覧会だ。
出典:ひととき2024年5月号
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