[入之波温泉]山鳩湯
安時代開湯の入之波温泉にある。吉野杉の森とダム湖を望む露天が秘湯感を演出する温泉だ。毎分500リットルも自噴するお湯は濃い黄金色で、湯に含まれるカルシウムがケヤキで造られた湯船に堆積して、鍾乳洞のような質感に。宿泊も可能で、ジビエやアマゴを使った鍋もいただける
[十津川温泉]神湯荘
享保年間に発見されたと伝わる十津川温泉は、熊野古道の小辺路や大峯奥駈道の途中にある温泉で、多くの旅人や行商人がその足を休めた。旅館・神湯荘では、山々の景色を眺められる露天風呂や、窓が大きく開放感のある内湯など8つの温泉が楽しめる。入れば肌がなめらかになる美人の湯と評判だ。
[奈良市内]ふふ 奈良
奈良公園の一角に佇む「ふふ 奈良」は、世界的建築家・隈研吾氏による設計のラグジュアリーホテル。全室スイートルームで、奈良公園の風や鳥のさえずりを感じながらくつろげる天然温泉の露天風呂を各室に完備。漢方薬にも使われる和ハーブの香りがするお湯で、心身の凝りがほどけていく。
[吉野温泉]吉野温泉元湯
桜の名所・吉野の隠し湯ともいわれる吉野温泉は、古くは有馬温泉(兵庫)、道後温泉(愛媛)とも並び称されてきた。旅館・元湯には、作家・島崎藤村や俳人・稲畑汀子などの文人や修験者たちが投宿してきた。湯は赤みを帯びた含鉄炭酸泉で、神経痛や関節痛をやわらげ、体を芯からほぐすという。
[奈良市内]亀の井ホテル 奈良
全国展開する亀の井ホテル。一押しは、5室ある「展望風呂付客室」(2名1室1泊20,310円~)で、目の前の世界遺産「平城宮跡」を眺めながら、源泉かけ流しの天然温泉を楽しめる。天然温泉の大浴場(写真)も人気で、古都奈良の悠久の歴史に思いをはせることができそうだ。
────穴場の名湯が勢ぞろいする温泉県、奈良にある湯宿は、古来、修験者や熊野詣の旅人を清め、癒やしてきました。また、東大寺や法華寺といった古刹には僧侶の沐浴や庶民救済のための入浴施設として使われてきた歴史があります。本誌では、修験者たちが修行した大峯山のふもとにある洞川温泉や古刹をめぐります。温泉街を歩き、名湯につかりながら、かつてここにいた人々に思いをはせる──。レトロ温泉郷での旅をぜひお楽しみください!
▼ひととき2024年1月号をお求めの方はこちら
出典:ひととき2024年1月号