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「ひととき」の特集紹介

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旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
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#奈良

奈良、癒しのお湯5選|ととのうお湯めぐり

[入之波温泉]山鳩湯安時代開湯の入之波温泉にある。吉野杉の森とダム湖を望む露天が秘湯感を演出する温泉だ。毎分500リットルも自噴するお湯は濃い黄金色で、湯に含まれるカルシウムがケヤキで造られた湯船に堆積して、鍾乳洞のような質感に。宿泊も可能で、ジビエやアマゴを使った鍋もいただける [十津川温泉]神湯荘享保年間に発見されたと伝わる十津川温泉は、熊野古道の小辺路や大峯奥駈道の途中にある温泉で、多くの旅人や行商人がその足を休めた。旅館・神湯荘では、山々の景色を眺められる露天風呂や

【洞川温泉】かくも良き、レトロ温泉郷|奈良、ととのうお湯めぐり

湯の語源は斎であると言われている。斎は神聖であること、清浄であること、という意味を持つ。湯は身体を清潔にすると同時に罪、穢れを洗い清めるためのものであり、宗教性を帯び、古くから信仰と結びついている。奈良にも信仰と深く結びついた温泉がある。世界遺産に登録された地域にある吉野郡天川村の洞川温泉である。  天川村は奈良県中央部のやや南に位置し、洞川地区はその東の端にある。標高約820メートルの高地で村の東に大峯山系が連なる。山上ヶ岳や弥山は霊山として信仰の対象とされており、古くか

【奈良】甦る仏像~新納忠之介の技と心を継ぐ者たち

 よく晴れた青い空に、ラクダのこぶのように、あるいは猫の耳のように、ふたつの頂がくっきり浮かんでいる。奈良と大阪にまたがる二上山だ。ふたつがいかにも仲睦まじそうでほのぼのした気分となりつつ、この山を背にして建つ當麻寺へ向かった。  来る前に聞いてはいたが実際に仁王門を目にし、思わず声をあげてしまう。ふたつ並んで守っているはずの仁王様、金剛力士像のひとつが欠けている。まるで二上山のひとつの頂が姿を消したかのような喪失感。残るもうひとつの仁王様も恐い形相ながら、どこかさみしそう

SAKETIMES編集長が語る 奈良のうまし酒

日本酒専門ウェブメディア「SAKETIMES」。全国の酒を知り尽くした小池潤編集長に、奈良酒について聞いてみました。(ひととき2021年10月号「古くて新しい奈良酒――酒の神がすまう郷」より一部抜粋してお届けします)  日本各地の酒蔵を訪問してきましたが、中でも奈良は、清酒発祥の地と言われる、日本酒にとって特別な土地です。近年は、伝統を重んじながらも新しい挑戦をする酒蔵が増えてきました。室町時代に確立された「菩提酛」の再興など、伝統的な酒造りを重視する一方で、歴史を再解釈し

清酒発祥の地・奈良を訪れ、古くて新しい日本酒を堪能(料理家 和田明日香さん)

「日本清酒発祥の地」とされる正暦寺や、酒の神様を祀る大神神社などが点在する奈良では、伝統の上に革新の酒を醸す酒蔵が次々と生まれています。料理家の和田明日香さんと訪れ、酒造りに邁進する人・蔵・酒をご紹介します。(ひととき2021年10月号特集「古くて新しい奈良酒――酒の神がすまう郷」より一部抜粋してお届けします) 油長酒造 奈良酒を牽引する「風の森」   澄み切った空の下、水が勢いよくパイプからあふれ出す。地下100メートルから汲み上げる金剛葛城山系の豊かな地下水だ。 「日

奈良移住(未だ未定) みうらじゅん

ひととき11月号の特集「古都もみじ 仏像の奈良、庭の京都」より、イラストレーターのみうらじゅんさんにお寄せいただいた奈良の仏像にまつわるエッセイを転載します。本誌では、思わず息をのむような臨場感ある美しい紅葉のグラビアが満載です。ぜひ、この機会にお求めください。  奈良、薬師寺の元・住職、高田好胤さんの著作『心』(徳間書店)に、挟み込まれていたアンケート葉書。その感想って欄に、当時、小学生だった僕は、〝大変、仏教が分かりやすかったです〟と書き、ポスト投函したこと。  数カ