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「ひととき」の特集紹介

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#レトロ建築

京都――タイルと建築100年の物語【紀行2:さらさ西陣・築地・1928ビル】

和製マジョリカタイル貼りの 銭湯をリノベーション「さらさ西陣」「朝風呂気分ですね」(中村さん)  木の扉を開けてお邪魔したのは、北区紫野にある「さらさ西陣」。木造2階建て、築80年の銭湯・旧藤森温泉をリノベーションし、2000(平成12)年にオープンしたカフェである。建物は国の登録有形文化財になっている。天井の湯気抜きから差し込む日差しの下で、中村さんが大きく伸びをした。 時代を越えて愛される空間  曲線を描いた唐破風を頂いた外観とは一変。格天井の元脱衣場の向こうに現れ

教えて!京都のタイルと建築の話(中村裕太さん×倉方俊輔さん)

[Q1]京都が近代建築の宝庫なのはどうして?倉方 平安京が築かれた794(延暦13)年から、東京に遷都される1869(明治2)年まで、京都は日本の政治・文化の中心地でした。ところが天皇が東京に居を移すと、京都の人口は激減。経済も低迷期を迎えます。しかし、1880年代からの窯業や繊維業をはじめとした近代産業の振興によって、京都は近代都市として再生への道をたどっていくのです。  1890(明治23)年には琵琶湖疏水*が完成し、その5年後には日本初の路面電車が街を走るようになりま

京都が生んだ、伝説の「泰山タイル」を受け継ぐ人(池田泰佑さん)

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京都――タイルと建築100年の物語【銭湯をリノベーションしたカフェ・さらさ西陣】

レトロなビルのファサードや銭湯の浴場を飾る「タイル」。どこかノスタルジックな趣のあるこの言葉が使われはじめたのは、ちょうど100年前のことでした。近代建築の宝庫である京都で、建築史家の倉方俊輔さんと美術家の中村裕太さんが街歩き。この日初めて会ったお二人は、早速意気投合してタイルについて想像を巡らし、まるで探偵のよう…。和製マジョリカタイル貼りの銭湯をリノベーションした「さらさ西陣」に向かいます。(ひととき2022年4月号特集「京都――タイルと建築、100年の物語」より) 「