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236 スイカの季節

愛犬がスイカ中毒となるまで

 うちの子、つまり愛犬はスイカが大好きだ。「スイカ」の三文字を発するだけで、寝ていてもパッと起き上がる。
 どうしてそうなったのかと言えば、そもそも水を飲まないのだ。生まれたときに先天性の巨大食道症で、口に入れたものが飲み下せず、胃に届かないうちに食道付近に溜まってしまい、それを盛大に吐き出してしまう。
 このため、小さい頃はシリンジで強制的に飲ませる。抱き抱えて(といってもその頃はわずか900グラム)、水を飲ませる。しばらくそのまま抱っこして立たせておいて、逆流せずに胃に落ちるのを待つ。
 食事も流動食とまではいかないが、丸飲みでいいものを少しずつ与える。食べたら水を強制的に飲ませる。
 少し体が大きくなって、滅多に吐かなくなったのだが、今度は水を飲ませようとしても、自分では飲まない。ご飯は相変わらず抱っこして(3キロぐらいになった)、スプーンで流し込んであげると飲み込めるようになった。ところが、水は飲まない。
 そこで、試しにヤギミルク(粉を溶かすタイプ)を与えると、喜んで飲む。自力で飲めるようになった。
 夏場はどうしても水分補給が足りないので、スイカをお茶の紙フィルターの中で潰して汁だけを抽出して与えると、これがハマった。すぐさま、一番好きなものになったのだ。
 こうして店頭でスイカのある時期は、毎日、3回ぐらい飲んでいる。といっても1回分は大さじ1杯か2杯なのだが。

スイカの目利きになる

 スイカは、カットフルーツの場合、あるいは大きなスイカを何等分かして売っているもの、そして小さなスイカを丸ごと買うなど、その時々によって比較的買いやすい価格のものを選ぶ。ただし、カットフルーツはほとんど日持ちしないので割高な気がする。あくまで、愛犬にあげる場合の話だけど。
 人間の考えるベストなスイカは、色鮮やかで甘くて種が少ないものかもしれない。愛犬用は、とにかく水分が多いものがベストだ。同じ大きさなら重い方がいい。甘さはそれほど重要ではない。私たちが食べてそれほどおいしくないスイカでも、喜んで汁を飲んでいる。
 一時期、スイカしか飲まなくなってしまったのだが、いまはヤギミルクも飲んでくれるので助かっている。ただしヤギミルクはあまり薄いと飲まない。
 この季節になると、丸ごと買うか、切れたのを買うか、毎日のように悩むことになる。まだ5月なので最盛期とは言えないものの、温暖化の影響もあるのだろうか、早い時期からそれほど高額ではないスイカも出回るようになって助かっている。
 愛犬は、冷蔵庫にスイカがあるか、ないか、わかるようだ。スイカがある限り、スイカを欲しがる。なければ、諦めている。
 飼い主に対して「スイカを買ってこい!」などとは言わないので、かえって私たちはできるだけ用意してあげたくなる。
 今年もこうしてスイカの季節がやってきた。

難航しています。

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