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「人類を裏切った男~THE REAL ANTHONY FAUCI(下巻) 」⑥ ポイント抜き出し 6/6~第12章 病原体ゲーム 軍事演習ーバイオセキュリティ国家の誕生(後半)

 2021年11月9日に米国で発売された本書は、書店に置かれず、様々な妨害を受けながらもミリオンセラーとなり、この日本語版も販売妨害を避けるためか、当初はAmazonでは流通させず、経営科学出版からの直売のみになっていたが、現在はAmazonで買うことができるようになっている。

 日本語版は1000ページを超えるために3巻に分けられた。

 本書はその下巻「ビル・ゲイツの正体と医療植民地プロジェクト」だ。

 極めて重要な情報が満載で、要旨を紹介して終わりでは余りにも勿体ないので、お伝えしたい内容を列記する。

 今回は第12章「病原体ゲーム 軍事演習ーバイオセキュリティ国家の誕生」の後半部分。

 この本のクライマックスとも言える場面、コロナパンデミックの前の20年間に渡って行われた数々のシミュレーション、演習についてだ。
驚くべき数のシミュレーションや演習が繰り返し行われていたのだ。

以下、抜き出し。

2003年と2005年の演習とシミュレーション

 2003年および2005年に、アメリカとヨーロッパの軍事、情報、医療関係者により、「アトランティック・ストーム」と呼ばれるバイオテロを想定した演習が行われた。

 1999年のHHSによる天然痘シミュレーションでも、2001年6月のダーク・ウィンター演習の天然痘シミュレーションでも、焦点となったのは公衆衛生そのものではなかった。不吉なことに彼らは、公衆衛生上の緊急事態に際して米国や世界の人々をいかに支配するか、いかにして市民権を剥奪し、大衆を軍事・医療官僚に服従させるかという難問に目を向けていたのだ。

「アトランティック・ストーム」は、この邪悪な考察をさらに推し進めるものだった。 アメリカ大統領を演じるマデレーン・オルブライトや、自らを演じるWHO事務局長のグロ・ハーレム・ブルントラントなど、政府高官たちが軍や情報機関のシナリオによる大西洋をまたぐサミットを主催し、過激なテロ集団が天然痘をばら撒いた後の対応を調整している。

 シミュレーションでは、「自然災害であれ、バイオテロであれ」 パンデミックによる社会・経済・政治の混乱に対処するには、NATOやEUなどの既存の枠組みでは不十分であり、「単にワクチンを備蓄し、医師を育成する」だけでなく、定められた手順に沿って世界的な安全保障プロトコルを構築する仕組みの開発が重要であるとされた。

 特徴的だったのは、集まった高官が、人々の免疫強化や適応外治療薬の試験・販売といった内容を一切議論しなかった点だ。 彼らは保健当局による独断を可能にするため、初めから警察による国家統制、大規模なプロパガンダと検閲、市民権の停止、ルール作りにおける適正手続きの保留といった、軍事的な戦略を推奨した。 すべてが国民への強制的なワクチン接種を目的としていた。2005年に保健当局者と諜報員が考えたシミュレーションを行ったこれらのシナリオが、2020年から2021年にかけ、私たちの現実となった。

2003年の「グローバル・マーキュリー」 訓練

 同年9月8日から10日にかけ、米国務省テロ対策調整官室の諜報員が、 CDC、NIH、FDA、WHO、そして国務省を集めて「グローバル・マーキュリー」と名付けた別のシミュレーションを行った。

 訓練は、自己接種したテロリストが天然痘を世界各国に拡散させ、アウトブレイクを起こしたという設定だった。

有害な化学物質が放出されたという嘘を作り出す


 アトランティック・ストームとグローバル・マーキュリーは、バイオセキュリティが国防の新たな成長分野であるとする国防総省の主張を声高に喧伝するものだった。こうした呼びかけに応え、民間の軍事請負業者はまるでトウモロコシに集まる豚のように、パンデミックの「監視と心理作戦」部門に殺到するようになった。

 ロバート・マーサーは娘のレベッカと共に、 ドナルド・トランプの最大の個人献金者となるよりずっと以前に、また彼らが右翼SNSの「パーラー」を立ち上げるよりも早い1993年に、心理戦サービスを提供する初の民間企業を立ち上げた。

 マーサー親子の戦略的コミュニケーション研究所 (SCL)グループは、データ操作会社として悪名高いケンブリッジ・アナリティカの親会社だった。

 SCLのシミュレーションを取材したオンラインマガジン『スレート』の記事にもあるように、「闇のメディアが介入し、大衆を巧妙に欺くキャンペーンに加担する」と、「天然痘の典型的な兆候」は「大規模なパンデミックへと転じる」。国民が納得してロックダウンの命令に従うよう、有毒な化学物質が放出されたという嘘を作り出すのがSCLの役割だ。その目的は、天然痘の潜在的な脅威によるパニックと犠牲者を防ぐことにある。SCLはマスコミに偽情報を流し、医療データを捏造する。

 SCLの戦略の際立った特色は、少なくとも一定の期間は国内でキャンペーンを展開するよう提案している点と、単に人々の意見を変革させるのではなく、彼らに特定の行動を取らせようとしている点である」

 同社の心理作戦は、行動ダイナミクス研究所という仮想研究室が開発したプロパガンダ技術をベースにしている。

シミュレーションが洗脳の道具になった理由

 ダーク・ウィンター、アトランティック・ストーム、 グローバル・マーキュリーを含め、軍や医療機関、諜報機関の立案者らは、新型コロナウイルス感染症に至るまでに100を超えるバイオテロシミュレーションを行った。

 これらの不条理な演習は、パンデミックを画策した面々が「ニューノーマル」と名付けた暗黒郷(ディストピア)時代の到来を、不気味に予告していた。シミュレーションの設計者らはいずれも、医療の軍事化や中央集権的な独裁体制の導入に傾倒していた。

 シミュレーションはいずれも同じ落ちがつく。世界的なパンデミックは専制政治とワクチン接種の強要を正当化する口実になるのだ。こうした演習はおそらく、民主統治体制を世界規模で解体するという隠れた思惑のためのリハーサル、あるいは訓練のような役割を果たしているのだろう。

 2000年ごろには、シミュレーションは軍事政策立案者、情報機関の立案者、公衆衛生官僚そして多国籍の石油会社や製薬会社にとって不可欠なツールに発展していた。彼らは将来の危機に際し、筋書きに沿った対策を強力に推し進め、その後の世界を予測可能かつ厳格にコントロールしようとしていたのだ。

 911の後に台頭したバイオセキュリティカルテルは、グローバルな緊急事態の舵取りを担う企業をはじめ、政界や軍事官僚の足並みがそろうよう、情報伝達のメカニズムとしてシミュレーションを採用した。民主主義社会を全世界で同時に、強制的にコントロールするには、連携の取れた複雑な戦略が必要となる。そのために、シナリオの立案は各国の権力中枢にとって必要不可欠な手段となった。

 パンデミックのシミュレーションはほぼ例外なく、CIAの悪名高い心理戦マニュアルを読んだことのある人なら誰でも知っているようなテクニックと戦略を採用している。古くからの地域社会を粉砕し、従来の経済活動や社会の絆を消滅させ、強制的な隔離と伝統的な秩序を破壊することによって抵抗を抑え、混乱、士気の低下、依存と恐怖を助長し、中央集権的・独裁的統治を強要する。
とりわけこれらの演習では、悪名高い「ミルグラム服従実験」から収集した心理戦のテクニックが採用されている。1960年代に行われたこの実験で、イェール大学の社会心理学教授スタンレー・ミルグラム博士は、研究者が定型的に操作すれば、あらゆる階層の「普通の市民」に、自らの良心に反して残虐行為を行わせることができる、 と証明して見せた。

 ここで重要なのは、権威者(白衣を着たドクター)に命令させる、という点だった。

 他者を傷つけまいとする道徳観は被験者の最も強い観念だが、これと厳格な権威とを戦わせたところ、犠牲者の悲鳴が被験者の耳に届く中でも、たいていは権威が勝利した。 成人においては、権威者の命令であればほとんどどんなことでも極力遂行しようとする。

 ウィスコンシン大学の歴史家アルフレッド・W・マッコイは、イェール大学の服従実験は、人間の行動をコントロールするMKウルトラ研究の一環としてCIAから資金提供を受けていたと指摘している。当時のCIAは様々な連邦機関を通じて185人の独立研究者に資金を提供し、北米各地の大学で危険な行動操作の研究を行わせていた。

 同様に、CIAのマインドコントロール実験では、社会的孤立が社会や個人の行動をコントロールする 「重要な手段」という重要な発見があった。

 CIAの研究によると、「隔離が個人の脳機能に及ぼす影響は、殴られたり、飢えたり、睡眠を奪われたりした際の影響と酷似している」という。

 社会的孤立は、脳の器質的発達や人体、寿命、心血管系の健康などに影響を及ぼす。社会的孤立は黒人の死亡リスクを2倍にし、白人の早期死亡リスクを60~88%増加させる。社会的に孤立するよりは、タバコを1日に15本吸う、あるいはアルコール依存症になるほうが安全だとする研究結果もある。

 NIHはCIAと協力してこうしたおぞましい拷問、服従、洗脳の実験を重ねた。

 1950年代、NIHの科学者メイトランド・ボールドウィン博士はNIH本部やCIAの隠れ家で、サルや人間の社会的隔離実験を行っていた。MKウルトラの実験では、死んでも行方不明になっても気づかれないような「消耗品」が使われた。中には「かなり陰惨な実験」もあり、ボールドウィンがある兵士を40時間隔離したところ、彼は正気を失い、閉じ込められていた箱を蹴破ってしまった。ボールドウィンはプロジェクト・アーティチョークの担当官に、被験者を4時間以上隔離すると「取り返しのつかないダメージ」を与え、もしかすると「命取り」になるかもしれないと話した。

 シナリオを立案して実行する様々なシミュレーションは、他にはない討論の場となった。 意思決定にかかわるキーパーソンが集まり、以前は口にすることすらはばかられた、民主主義や倫理規範に反する行為が紹介され、権威ある声によってそれらが容認された。そこには、健康な人を含む全住民の強制隔離、言論の自由の検閲、追跡監視システムによるプライバシーの侵害、財産権や宗教的自由の蹂躙、さらには全国規模での企業活動の停止、マスクの義務化、強制的な医療介入、その他人権、市民権、憲法、民主主義への攻撃による伝統的経済の破壊が含まれていた。

 いずれのシミュレーションでも、白衣を着た医師やマデレーン・オルブライト国務長官、サム・ナン上院議員、グロ・ハーレム・ブルントラントWHO事務局長、トム・ダシュル上院議員といった「信頼できる専門家」によるメッセージが歯切れよく繰り返され、検閲、隔離、医療の軍事化、全体主義の統制、そしてワクチンの義務化こそが、パンデミックに対する唯一の適切な対策であるという教訓が補強されていった。

 つまり、シナリオの立案とは、政治指導者、報道機関、技術官僚の間に反民主主義の正統性を芽生えさせ、それを強化し、憲法に対するクーデターを国家が無抵抗で受け入れる土壌を作る、強力な洗脳技術なのだ。

背筋が凍るシナリオを描いたピーター・シュワルツ

 冷戦とその後の「テロとの戦い」は、世界各地に米軍が存在する事実を合理化した。 共産圏が仕組んだとされる局地的な民族主義的反乱に対する防波堤と目されたからだ。

 同じように、ワクチン接種プログラムは社会的・政治的コントロールの手段として、多くの人が病気で苦しんでいる発展途上国への介入を正当化してくれた。2010年、WHOはグローバルなリスク管理に向けた取り組みの中心に、バイオセキュリティを据えると宣言した。

 同じ月にビル・ゲイツが国連で「ワクチンの10年」と題するスピーチを行い、バイオセキュリティ(微生物との戦争)はこのころにはすでに「対イスラム・テロ戦争」を凌駕し、安全保障国家カルテルの優先的推進力となっていた。その数日後、ピーター・シュワルツはロックフェラー財団の資金提供を受け、ある報告書を執筆している。「技術と国際開発の未来のためのシナリオ」と題するこの報告書の中でも「ロックステップ」のセクションは、世界規模の厳格な専制政治こそが感染症に対する解毒剤になるという、新興の理論を補強するものだった。

 背筋が寒くなるようなシュワルツの報告書は、さらに病原体と組織的なプロパガンダに怯える市民は進んで市民権や憲法上の権利を放棄すると予言している。シュワルツは、国民が新しい専制政治と権威主義の締め付けに反抗し始めるのは10年以上先だろうと予測している。

 この手のシナリオ立案の至るところに、諜報機関の痕跡が残されている。シュワルツは、オトゥール、ラーセン、カドレック、ウールジー、ルース・デイビッドらと同様、諜報機関と深い関係を持ち、外交政策のツールとしてワクチンの兵器化を推進した中心人物のひとりだ。 シュワルツの履歴書を見れば、ロックステップの報告書を執筆した前後で幾度も諜報組織と接触してきたことがうかがえる。

 例えば1972年、シュワルツは、コンピュータ技術と人工知能の初期のパイオニアであるスタンフォード研究所(後のSRIインターナショナル)に入社した。シュワルツはやがてSRIの戦略環境センターを運営するまでになるのだが、当時のSRIはCIAの悪名高いMKウルトラプログラムを受け入れ、プロパガンダ、拷問、向精神薬などを巧妙に使って社会を破壊し、 中央集権を導入するといった心理戦の研究を積極的に行っていた。

 SRIを退社したシュワルツは、ロイヤル・ダッチ・シェルでシナリオ立案の責任者に就任した。

 1990年代初め、後にインターネット商業化の先駆者となるケン・マッカーシーは、カリフォルニア州ハリスの片田舎で行われた感謝祭の大集会でシュワルツに出会う。シュワルツは、プリンストン大学で人類学を学んだマッカーシーに声をかけ、西アフリカの某国から請け負った「連邦政府に利するよう、当該国の部族や家族の絆を弱める」仕事を引き受けるつもりはないかと探りを入れた。

 シュワルツのクライアントであるシェル石油は、ナイジェリアのオゴニ地方に子会社を持っていた。 1995年、ナイジェリア政府は、オゴニ族の環境保護指導者にして作家であり、さらにテレビプロデューサーでもあるケン・サロ=ウィワと、他の8人の環境保護活動家たちを「暴力を扇動した」罪で処刑した。

 サロ=ウィワの逮捕、軍事法廷における裁判、そして処刑は、彼をはじめとするオゴニ族の環境保護指導者に対する弾圧の結果だった。 弾圧のきっかけとなったのは1993年にシェル社に対し繰り返し行われた平和的デモで、地域の総人口60万人のうち30万人以上が集まったものだった。  

 国防機関や諜報機関は、 そもそもハイテク産業が誕生した当時からこの業界と密接な関係にあった。1969年にARPANET (訳注・世界で初めて運用されたパケット通信コンピュータネットワーク)を構築し、インターネットの生みの親となったのは、国防高等研究計画局(DARPA)だった。

 DARPAは、国防総省のエンジェル投資家でありベンチャーの資金源だ。インターネットを作っただけでなく、GPS、ステルス爆撃機、気象衛星、無人操縦ドローン、M16自動小銃などを開発した。おそらくは機能獲得研究の最大の資金提供者で、年によってはファウチ博士のNIHをも凌駕していた。2017年だけでも、DARPAはピーター・ダザックのエコヘルス・アライアンスを通じ、少なくとも650万ドルを武漢における機能獲得実験に提供した。DARPAはフォート・デトリックでの追加の機能獲得実験や、バテル記念研究所のミズーリ州セントジョセフの施設で行われた他のバイオセキュリティ研究にも資金を提供した。 2013年以降は、モデルナ社のワクチンの主要技術にも資金を提供している。

 2002年、DARPAはレーガン大統領の国家安全保障担当補佐官だったジョン・ポインデクスターのもとで包括的なデータマイニング・システムを構築し、右派からも左派からも人権擁護の観点から猛烈な批判を招いた。

 このプロジェクトは国民の抗議を受けて中止に追い込まれたが、一部の人たちはDARPAがこの技術を使ってフェイスブックの立ち上げを手伝ったと非難している。偶然の一致かもしれないが、2004年2月、マーク・ザッカーバーグがハーバード大学のキャンパスでフェイスブックを始めたのとまったく同じ月に、DARPAはMITの請負業者が関与したフェイスブックによく似たプロジェクト LifeLog を閉鎖した。

 2010年、 DARPAのビジョナリーディレクターだったレジーナ・ドゥーガン博士はグーグルに幹部として移籍した。その後2016年にはグーグルの競合会社であるフェイスブックに転職し、「ビルディング8」という謎のプロジェクトを運営した。彼女は2018年に再び移籍し、ウェルカム・トラストのウェルカム・リープを運営している。このプロジェクトは健康関連の技術の飛躍的革新を目標としている。彼女の遍歴は、大手IT企業、ビッグファーマ、および軍、諜報機関の密接なつながりを示す一例と言えるだろう。

 インキュテル社の契約を受け入れたシリコンバレーのCEOたちは、その後圧力をかけられてCIAの「国家機密契約」にサインさせられた。

 機密契約にサインしたアメリカ人は480万人にのぼった。この契約では、契約者は、契約へのサインを認めることを含め、任意の条項に少しでも違反した場合、秘密法廷によって20年の懲役刑、財産没収、その他の厳しい報復を課せられる。

「この秘密保持契約にサインをしたシリコンバ
起業家は 事実上CI の奴隷となる。この契約は起業家とその会社を生涯拘束し、 しかも契約そのものが機密扱いになっている」

『ワイアード』誌の中心的な機能は、「当時発展しつつあったオンラインの世界に関する報道から進歩的な考えを残らず排除し、デジタルメディアとテクノロジーコミュニティ内で、親軍部の、親企業の、親諜報機関の見解を促進すること」だったと語るのは、ケン・マッカーシーだ。

 2015年になると、『ワイアード』誌は、自閉症の流行を否定する「神経多様性」という考え方を推奨するようになった。 自閉症は「神経多様性」の一形態であり、正常な変異とするこの運動は、自閉症の症例数を薄め、ワクチンとの関連を否定し、ひいてはすべてのワクチンは安全で、ワクチンによる被害などは陰謀論者の妄想にすぎないという見解を広めようとするものだった。

 この「運動」を武器に、 「活動家」を名乗る一味が出現し、自閉症の研究者や擁護団体を、さらにはワクチンで健康被害を受けた子どもの家族を攻撃するようになった。

 また「ワイアード」誌は、同じく邪悪な運動、人間と新しい科学技術の統合を提唱するトランスヒューマニズムの発信源でもある。この運動の付随的な目的には、有力なシリコンバレーの億万長者の寿命を無期限に延長することや、AI、幹細胞やナノボットなどの新しい治療法、ワクチン、皮下チップなどを用いて「生物学的拘束から人類を解放する」ことが含まれている。早くからこの分野に造詣の深いジャック・エリュールは、トランスヒューマニズムにはトップダウンで人類をコントロールする卓越した力があると述べた。

 トランスヒューマニズムはシリコンバレーのエリートたちから熱狂的な支持を得ている。

 シュワルツは、1998年のSFパニック映画『ディープ・インパクト』や、1992年の未来映画『マイノリティ・リポート』のコンサルタントを務めた。 『マイノリティ・リポート』は、殺人犯を犯行前に逮捕できる特殊部隊を描いている。実世界でも、シュワルツが過去に行った予想は、たいていが実現した。

 シュワルツの予知能力は伝説の域に達している。 彼が作成した初期のGBNシナリオプロットには、大手航空会社がコロナウイルスパンデミックを生き残るための戦略が描かれていた。

 この記事では、彼の最も印象的な未来予測のひとつが紹介されていた。2000年、シュワルツは上院委員会のための研究の一環として、「テロリストが飛行機で世界貿易センターに突っ込むという恐ろしい可能性」がある、と。

 2016年、世界政府サミットにおいて、世界経済フォーラム会長で世界銀行総裁のクラウス・シュワブは、グローバルな銀行家が切望するキャッシュレス社会への道筋として、世界の危機を前向きに取り上げた。「デジタル通貨―それは未来の道なのか?」

 2014年、「グローバル・ガバナンスの未来」をテーマにしたセールスフォース社主催のカンファレンスで、シュワルツはヒラリー・クリントンの基調講演の後に、オフステージでシュワブと対談した。

 2人は、新しいデバイスと人間の脳の融合によって、機械が「我々の脳を、そして魂や心を」 コントロールできるようになると予測している。

 シュワルツは現在、セールスフォース社のチーフ・フューチャーズ・オフィサー(最高未来責任者)として、各国政府がワクチンコンプライアンスを強制し、追跡し、収益化するための「ワクチン管理ソフトウェア」を販売している。

 シュワルツは、ディストピアの到来をも予言している。そこでは、進化し続ける新型コロナウイルスの変異株によって死亡率曲線が急上昇し、製薬会社の利益が膨張、「ワクチンとウイルスの競争」が世界経済と文明の未来を決定するだろうと考えられている。

 マッカーシーは、「国、州、地方を問わず、ほとんどの政府の情報技術(IT) 部門の能力を考えると、セールスフォース・ドットコムやインキュテル、 その他IBMといった企業がなければ、
ファウチ博士らが呼びかけるような全国民を対象とした予防接種プログラムの計画と実行は、物理
的に不可能だったでしょう」と語る。

専制君主のための研修 

 ビル・ゲイツは軍や諜報機関の立案者と組み、定期的にシミュレーションのフォローアップを行った。権力者が次々と送り込んでくる聴衆へ向け、シュワルツの書いた「ロックステップ」 シナリオを繰り返すのだ。

 2017年2月、ビル・ゲイツは、国際安全保障政策に関する世界有数の大会であるミュンヘン安全保障会議において、「自然の気まぐれ、もしくはテロリストの手」によって「致死性の高い世界的なパンデミックが、私たちが生きている間に発生するだろう」と警告した。 

2017年のMARSシミュレーション

 2017年半ばまでに、ロックフェラー財団と諜報機関の立案者たちは、年々増える軍と諜報機関によるパンデミックシミュレーションの主要資金提供者、活動の顔としてのバトンをビル・ゲイツに渡していた。

 2017年5月、世界で最も富裕とされる20カ国(G20)の保健省が初めてベルリンに集まり、中国を想定した国家がMARS (Mountain Associated Respiratory Virus) と名付けられた伝染病に対応する、という合同演習シナリオに参加した(MARSはローマ神話の軍神の名でもある)。

 シミュレーションはドイツの政府機関がゲイツ財団、ロックフェラー財団、世界銀行、WHO、ロバート・コッホ研究所(RKI)と共同で作成し、演習には米国、ロシア、インド、中国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、韓国、メキシコ、サウジアラビア、インドネシア、南アフリカ、トルコ、そしてEUの閣僚らが参加した。

 2日間の演習で、世界各国の保健省の職員と他の「ゲスト国および国際機関」の代表者は、MARSという新型呼吸器ウイルスが、中国を想起させる架空国家の山岳地帯の市場から世界各国へと広がる「パンデミック初期のタイムライン」を確認した。近隣諸国の政府による厳しい取り締まりと、WHOの英雄的官僚らによる緊密な中央集権的対応だけが、混沌とした暗黒の世の終末から人類を救う、というストーリーだった。

「この映像を見れば、今日の危機において、 すべての国、あるいは少なくともほとんどの国がなぜ、非常に協調的に対策を進めているのか、 そしてなぜどの国でも多かれ少なかれ同じことが行われているのか、少しは理解できるかもしれません」とシュライヤーは言う。「彼らはみな、同じ手順書と指示を与えられ、それが今、同時的に実現されているのです」

ビル・ゲイツが描いたシナリオどおりの展開

 それから5ヵ月後の2017年10月、ビル・ゲイツはバイオセキュリティの世界の司令塔であるジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターで、さらに別のパンデミックシミュレーションを開催した。

「SPARS2017」は、2025年から2028年まで続くとされる架空のコロナウイルスパンデミックを描いた演習だった。この演習は、ちょうど3年後に発生するCOVID-19パンデミックを不気味なほど正確に予言していた。

 ウォルター・オレンスタイン医学博士は元公衆衛生局副長官で、1999年から2004年まで、自閉症とワクチンを結び付ける研究をやめさせるというCDCの不正な活動を仕切っていた。保健省を退職した後は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の予防接種プログラム担当副所長となり、WHOの顧問を務めている。

 バイオテロをきっかけに、2025年から2028年にかけて全世界でコロナウイルスが流行するという筋書きで、地球規模のワクチン強制集団接種で絶頂に達する。

 SPARS パンデミックというコードネームのもと、ゲイツはボルチモアでグローバリスト、諜報員、技術官僚を対象とした不穏なサマースクールを開催した。参加者たちは、世界で最も影響力のある政治機関を乗っ取り、民主的な統治を破壊し、取って代わった権威主義的政権の支配者の座に選挙を経ずに座る戦略を、ロールプレイで学んだ。そして反対意見、自由な表現、政治的運動を問答無用に統制し、市民権、自治、主権を失墜させるテクニックを練習した。

 ビル・ゲイツのシミュレーションでは、プロパガンダ、監視、検閲、隔離、政治的・社会的コントロールなど、よくある心理作戦を駆使してパンデミックを管理する。 98ページに及ぶ公式報告書はまさに奇跡的な予言書であり、2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックで実際に起きた出来事を、月を追って驚くほど正確に予見している。

 見方を変えれば、シナリオより5年早まった2020年の新型コロナウイルス感染症は、SPARSの設計図を忠実に再現しているのだ。ゲイツと立案者たちが誤ったのは、発生年のみである。

 ゲイツのシミュレーションは、公衆衛生担当者や世界的なワクチンカルテルの協力者たちに、来るべき感染症の際に何が起こり、どう行動すべきかを正確に示している。 88ページの報告書をすべて読めば明らかなのだが、 この驚くほど先見の明のある文書は間違いなく、民主主義を廃し、全世界を軍国主義的な医療専制体制に置き換えるための計画であり、合図であり、訓練である。

 演習のシナリオによると、2025年1月に米国でいわゆるSPARSコロナウイルスの感染が始まる。WHOが世界的な緊急事態を宣言する中、連邦政府はモデルナ社に似た架空の製薬会社と契約する。 悪趣味な命名を好むゲイツらしく Cyn-Bio (Cyn は Sin [罪・違反」と同じ読み)と名付けられたこの会社は、新しい「プラグ・アンド・プレイ」技術を用いた革新的なワクチンを開発する。シナリオでも現行の現実世界でも、連邦政府の保健当局がPREP法を発動し、ワクチン製造業者に法的保護を与えている。

 このシナリオに登場する別の企業は、レムデシビルに似た抗ウイルス剤 カロシビル」の緊急使用認可を受ける。カロシビルは、過去にSARSやMERSの治療薬として連邦当局が評価した薬剤だ。このくだりもまた、未来を予見するものだった。 というのも、後にファウチ博士とビル・ゲイツは、エボラ治療薬として失敗したレムデシビルを新型コロナウイルス感染症の標準治療薬として積極的に宣伝することになるからだ。2人は、先のエボラ出血熱やジカ熱パンデミックの際にも、これらの病気の治療薬として驚くほど不十分だったにもかかわらず、レムデシビルを宣伝した。

 まるで奇跡のような記録的な速さで2026年7月の緊急使用許可に間に合うように、新しいワクチン「コロバックス」が完成する。

 この医学の驚異に対し、十分な臨床試験を経ていないとして異を唱える厄介なグループが現れる。 アフリカ系アメリカ人、代替医療愛好家、そしてソーシャルメディアで騒ぎ立て、急速に数を伸ばしつつある反ワクチン運動のメンバーなどだ。しかし、この88ページから成る報告書に描かれている政界や業界のリーダーたちには、こうした危険分子を黙らせ、検閲し、あらゆる抵抗を粉砕する方策が準備されていた。

 SPARS演習では、ワクチンを好意的に宣伝する、ワクチン恐怖症の人を侮辱する、愛国心に訴えるなど、大量のプロパガンダで疑念を抑え込んでいる。

 政府やマスコミがプロパガンダで大衆の支持を集め、検閲を行い、反対意見を封じ込める一方で、ビル・ゲイツの配下は信頼できる「代弁者」、つまり地域社会や医療のリーダーを雇う。彼らは、実験的で未承認、いいかげんな臨床試験しか経ていない信頼度ゼロのワクチンが「安全かつ有効」であると喧伝し、大衆を安心させる。

 2026年春までに緊急時使用許可が下りたワクチンの展開が本格化し、ワクチンに対する国民の不安は増大する。シナリオの予測によれば、ほどなくして子どもから大人まで、あらゆる年齢層でワクチンによる重篤な健康被害が出現する。 コロナウイルスの予想致死率を誇張したCDCにも、懐疑的な目が向けられるようになる。公式な死亡者数によれば、 コロナウイルスの致死率は季節性インフルエンザと同程度だ。

 2026年5月には、SPARSに対する世間の関心は薄れ始めていた。4月下旬、CDCが公表した最新の致死率推定値では、米国におけるSPARSの致死率は全症例の0・6%にすぎなかった(なお、CDCによれば、2020年の新型コロナウイルス感染症による致死率はわずか0.26%だった)。

 SPARSシミュレーションの主催者は、死亡率が低下すると「SPARSは当初考えられていたほど危険ではないという、ソーシャルメディアで広くささやかれている一般市民の見解」に火がつくだろうと警告している。恐怖の低下は危険だ。なぜなら、ワクチン事業を危うくするからだ。

 財団の計画文書をざっと読んだだけでも、ビル・ゲイツの言う備えが公衆衛生とはほとんど関係がなく、自由を制限し、ワクチンを積極的に売り込むことにすべてがかかっているとわかる。

 ゲイツと彼のチームは、計画書内のパンデミックで、実験的なワクチンが引き起こす長期的な神経系の健康被害については、その責任を簡単に逃れられると保証している。

 連邦政府は、コロバックスの急性副作用に関する懸念に適切に対処したように見えたが、ワクチンの長期的、慢性的影響はまだほとんど知られていなかった。2027年末になると、新たな神経症状が報告されるようになった。1年近く副作用がなかったのに、ワクチン接種者の中から徐々に目のかすみ、頭痛、四肢のしびれなどの症状を訴える者が現れるようになったのだ。ただし症例は少なく、コロバックスとのはっきりとした関連性が特定されるには至らなかった。

全体主義の下地を整えるビル・ゲイツ

 2018年4月18日、ビル・ゲイツはロンドンで開催されたマラリアサミットで演説し、10年以内に致命的な新疾患が世界を「不意に」襲い、地球全体に蔓延して数千万人が死亡する可能性があると警告した。

 ゲイツは保健当局と軍隊の連携を強化する必要性を示唆し、改めて「世界は戦争に備えるのと同じように、パンデミックに真剣に備える必要がある」と述べた。ゲイツのシミュレーションは「全面戦争」の概念を想起させる。つまり、全住民を動員し、世界経済を犠牲にし、民主的な制度や市民権を抹殺することを意味している。

 ビル・ゲイツは民主主義国家で専制的な統制を行う難しさを理解していたため、大手IT企業や軍隊といった、鍵となる同盟者を獲得することにますます力を注ぐようになった。

 ビル・ゲイツは同時に、アマゾンのジェフ・ベゾスや、ソーシャルメディア界の大物らとも渡りをつけた。

 2020年3月以降、アマゾンは公式見解に疑問を呈する書籍や映像は、カテゴリーを問わずいずれも全面的に禁止、もしくは配送や配信を制限するようになるだろう。ロックダウンの科学的根拠を論じるものも統制の対象だった。

 ロックダウンとなれば、ベゾスの富は数百億ドル単位で増加する。

 グーグルの親会社であるアルファベットは、すでにワクチン製造の新興企業に多額の投資を行っており、グラクソ・スミスクライン社とは7600万ドルの提携を結んでいた。

 ビル・ゲイツは、自分が仕組むロックダウンで大手ⅠT企業が大儲けをすると見越していたのだろう。そのころまでに、アマゾン、グーグル、フェイスブック、そしてもちろんマイクロソフトの大株主になっていた。

 2018年、フランス政府は同国が建設を支援した武漢研究所について、維持管理がずさんで人員配置や安全確保が不十分であると、米国政府関係者に警告していた。例えば、研究所を建設したフランスのビオメリュー社は、陰圧空調システムを適切に完成させていなかった。この装置は、パンデミックを引き起こすよう意図的に強化されたウイルスの流出を防ぐ、重要なインフラだ。だが、ファウチ博士は警告を無視した。

 ステファン・バンセルはこのころにはモデルナ社のCEOに就任し、ビル・ゲイツやトニー・ファウチのパートナーになっていた。つまり、彼はウイルス流出によって受益者となる会社を運営していたのだ。実際、ウイルス流出のおかげでバンセルの9%の株式はあっという間に10億ドル以上の価値を持つようになり、それは今も増え続けている。

 新型コロナウイルスが広がり始める8ヵ月前の2019年3月、バンセルはモデルナ社の新ワクチンに使われるmRNA技術の特許を再申請していた。米国特許庁は過去には彼の申請を却下している。しかしこのときは「SARSコロナウイルスの再出現または意図的な放出が懸念される」として、 特許庁に強硬に申し入れた。

 2018年4月26日にボストンで行われた年次シャタック・レクチャーでは、彼は「いつかは予測できないが、新しい病原体の絶え間ない出現、バイオテロのリスクの高まり、そして世界が空の旅を通じていかにつながっているかを考えると、私たちが生きている間に大規模で致命的な現代的パンデミックが起こる可能性はかなりある」と述べた。

2018年の「クレードX」演習

 そして2018年5月15日、ワシントンのマンダリンオリエンタルホテルでジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センター(旧ホプキンス大学人
口センター、ゲイツとNIHが出資)主催の「パンデミック・生物戦準備演習」が幕を開けた。

「クレードX」と名付けられたこの1日がかりのイベントは、「ワクチンが存在しない架空の生物工学的病原体への対策のシミュレート」だった。世界の人口を減らすため、あるエリート集団がチューリッヒの研究所から遺伝子操作した病原体を放つ、という設定だ。病気はドイツからベネズエラ、そしてアメリカへと広がり、全世界で1億人が死亡した。その間に「医療システムは崩壊し、パニックが広がり、アメリカの株式市場が大暴落した」。

 演習では、パンデミック対応を軍事化する必要性が強調され、マスコミやソーシャルメディアを統制する戦略が検討された。

 これは、政治家、官僚、軍人、諜報機関関係者が、アメリカの民主主義と合衆国憲法に対するクーデターを支援するための訓練だった。参加したのは、FDAやCDCの元トップリーダー、あるいはCIAの元法務顧問などといった私設顧問団だった。

 クレードXは、厳選された大手メディアの代表を含む約150人の招待客を前に、フェイスブックでライブ配信された。このシミュレーションは、報道陣を恐怖で震え上がらせた。ジェフ・ベゾスの『ワシントン・ポスト』紙には「この模擬パンデミックは1億5000万人の命を奪った。次は訓練ではないかもしれない」という見出しが躍った。

 「ワシントン・ポスト』紙の報道を以下に引用する。

 演習では学校が閉鎖され、医療用マスクや人工呼吸器の需要が供給をはるかに上回り、米国内の病
院はたちまち医療崩壊を起こした。 「他国からのフライトは入国禁止とするべきか?」「誰が最初にワクチンを接種すべきか?」といった難しい問題が浮上した。

 注目すべきは、ジョンズ・ホプキンス大学のどのシミュレーションも、パンデミックを緩和あるいは終息させるための既存薬転用の有効性を考慮に入れていない点だ。また、専制的な医学・軍事政権を導入するために憲法上の権利が廃止され、アメリカの政治・司法制度が大規模に破壊される未来について、深く考察しているシミュレーションはひとつもない。 合衆国憲法にパンデミックの例外規定がないことも、完全に無視している。彼らはもっぱら、アメリカの民主主義に対する高次の反乱シミュレーションに忙殺されていた。

 ジョンズ・ホプキンス大学のシミュレーションが導く結論はすべて同じだ。つまり、軍事化された警察国家は妥当であり、ゲイツとファウチがすでに数十億ドルを投資した、広範囲に配備可能なmRNAワクチンが必要との見解に帰結する。

 シミュレーションはいずれも、健康な人を隔離して孤立させ、ゲイツ/ファウチのワクチンへの批判を検閲し、迅速承認されたワクチンを国民に強制する「必要性」を強調した。

 ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのトム・イングルスビー所長は、このイベントの当面の目的は、トランプ政権の新しい意思決定者に「体験学習を提供する」ことだと説明した。

 慈善活動家のビル・ゲイツは、現在の準備状況では、1918年のインフルエンザと同様の世界的流行が発生すると最初の6ヵ月間でおおよそ3300万人が死亡すると警告した(ゲイツは2020年1月、トニー・ファウチのロックダウン政策を正当化するため、Institute for Disease Modeling にいる手下を使って新型コロナウイルス感染症の予測死者数を1ヵ月で2200万人と、異常なまでに誇張した)。

 では、模擬ウイルスはどこから来たのだろうか? 『MITテクノロジーレビュー』誌によると、この演習では「何者かがほとんど無害なパラインフルエンザウイルスを遺伝子操作し、致死性を持たせた。架空の犯人は、Brighter Dawn (明るい夜明け)という人物とされた。人間が大幅に減るのは地球のためであるという思想を広める影の団体だ」。

 ビル・ゲイツとファウチの戦略目標は明確だった。世界的なパンデミックは避けられず、破滅を回避できるのはワクチンの義務化だけであり、市民権の抹殺が必要だ、というメッセージを繰り返し伝えるのだ。最も驚くべきは、グローバルメディアを手なずけて動員する彼らの手腕だった。 メディアは、これまで受け入れられてきた科学や歴史と完全に矛盾するこれらの命題を無批判に飲み込み、拡散させた。

 かつてアメリカで最も誠実なテレビメディアとして尊敬を集めていた『PBSニュースアワー』は同月、ファウチ博士を華々しく取り上げるドキュメンタリーを放送した。 「インフルエンザの再流行が確実視される理由」と題した2部構成の報道で、ユニバーサル・インフルエンザワクチンの必要性を説く番組だった。

 PBSのレポーターがファウチ博士に「既知および未知のすべての(インフルエンザ) ウイルス株から守ってくれるワクチン」について質問した。 ファウチ博士はこう答えた。

「数年前であれば、それがいつになるのか、おおよその予想すらできなかったでしょう。実現する科学的な手がかりすらなかったからです。しかし、構造ベースのワクチン設計という素晴らしい技術を手に入れた今、私たちは射程圏内にいると思います」。

 番組は事実上、モデルナ社とmRNAワクチンの宣伝だった。PBSは、ファウチ博士のNIAIDがモデルナ社のワクチンに巨額の資金を投入したことや、NIAIDが特許権を主張し、その承認によって多大な利益を得る立場にあることには触れなかった。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が以前『PBSニュースアワー』に数百万ドルを提供したことや、2019年までにゲイツがモデルナ社のmRNAワクチンに数百万ドルを投じたことにも触れなかった。さらにビル・ゲイツは、モデルナ社の株式をかなりの比率で保有している。

 クレードXの演習を受け、ゲイツが出資するジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターは2019年9月、「インパクトの大きな呼吸器系病原体への備え」と題するみページから成る報告書を発表した。

 クレードXの報告書は、政府、メディア、バイオセキュリティのあらゆる関係者が、最優先事項として以下を協調して推進するよう呼びかけている。

 新種の脅威に対する迅速なワクチン開発と分散型迅速製造に向けたR&D(研究開発)、核酸(RNAとDNA) ベースのワクチンは、いまだ認可されていないものの、非常に有望かつ迅速なワクチン開発につながるものと広く認識されている。

 要するに、ビル・ゲイツは自身が主催した演習の報告書を通して、強毒化された病原体が偶然あるいは意図的に放出されることを想定し、迅速な集団予防接種戦略を準備するべきだと述べている。だがその病原体というのは、彼のパートナーであるファウチ博士がワクチン研究を口実に、武漢での開発資金を提供していたような病原体なのだ。

 シミュレーションではマスクと人工呼吸器の必要性が強調されていた。

世界健康危機モニタリング委員会

 2018年5月になると、ゲイツはこれらすべてのシミュレーションから得られた教訓を制度化するため、WHOと世界銀行グループの許可を得て「世界健康危機モニタリング委員会(GPMB)」を設置した。 公衆衛生分野の世界的有力者を含む一種の常設委員会で、 将来のパンデミックにおいて、現実の権威集団として人々に規則を課す機能を持っていた。

 このいわゆる「独立した」 監視・報告機関の目的は、世界や地域の政治指導者や技術官僚による警察国家的統制の実施を検証し、抵抗勢力の制圧、反対意見に対する冷酷な検閲、健康な人の隔離、経済の崩壊、世界的な健康危機が予測される際のワクチン接種強制など、ゲイツのシミュレーションに登場した非人道的な措置の支持にあった。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まるおよそ20週間前の2019年6月、WHOの健康危機管理プログラム責任者のマイケル・ライアン博士は、GPMBによるパンデミックレポートの結論を要約し、世界中の政府が管理を強化し市民の移動を制限する「ニューノーマル」が求められるような「ハイリスクな感染症の新たな段階に入りつつある」と警告した。

綿密に計画された無血のクーデター

 2019年8月、 コードネーム「クリムゾン・コンテイジョン」と呼ばれるシミュレーションが行われた。それから10週間もしないうちに、武漢で最初の新型コロナウイルス感染症が報告された。

 クリムゾン・コンテイジョンの演習は、当時トランプ大統領の危機管理担当だったロバート・カドレックが8ヵ月にわたって監修した計画を締めくくるものだった。ウイルス・シミュレーションのシナリオ作成には、NIHを代表するアンソニー・ファウチ、CDCのロバート・R・レッドフィールド博士、HHS長官のアレックス・アザーも参加していた。 HHSの準備・対応局は、国家安全保障会議のトップ諜報員と組み、4日間にわたる全国規模の「実地演習」を主導した。

 これまでのシミュレーションがトップレベルの政治、軍事、報道、諜報機関、規制当局の担当官を対象とした訓練であったのに対し、2019年のクリムゾン・コンテイジョンは、先行するシミュレーションで発展させたメッセージを州レベルの保健官僚、自治体職員、病院、法執行機関へと展開する聖戦だった。

 クリムゾン・コンテイジョンは100を超える全国の施設で秘密裏に行われた。

 クリムゾン・コンテイジョンで用いられた予測値は、不気味なほど新型コロナウイルス感染症の公式死傷者とぴたりと一致していた。演習では、米国内だけで1億1000万人が発症、770万人が入院、5万8000人が死亡と予測されていた。

 2019年10月1日付けの報告書草案は「非公開」とされたが、『ニューヨーク・タイムズ』紙が情報公開法に基づいてコピーを入手し、2020年3月18日版の1面にトップ記事を掲載してようやく公になった。WHOが新型コロナウイルス感染症を宣言してから8日後のことだった。同年9月には、カドレックのHHS準備・対応次官補局が2020年1月の「クリムゾン・コンテイジョン実施報告書」を公開するが、これも別の情報公開請求の圧力に屈してのことだった。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は次のように書いている。「2019年10月の報告書によれば、DHS、HHS、さらにはホワイトハウス国家安全保障会議の関係者らは、中国発の呼吸器系ウイルスの流行が米国に急速に広がり、国家が混乱に陥る可能性を認識していた」

 だが同紙は、より大きく重要なストーリーを完全に見逃している。それは、クリムゾン・コンテイジョンの立案者が、新型コロナウイルス感染症が脅威と認識される数ヵ月前に、問題となる側面のすべて(マスクの不足から具体的な死亡者数まで)を正確に予測していたこと、そしてその包括的対策が、綿密に計画された無血クーデターによるアメリカ憲法解体の事前計画だったことである。

憲法を無力化する「トップオフ」訓練

 本書を執筆する過程で、2000年以降、安全保障、軍事、警察、諜報機関が、一般にはほとんど知られていない大規模なシミュレーションをひそかに繰り返していたことがわかった。コードネームは「トップオフ(TOPOFF)」だった。これらはいずれも、世界的な全体主義を定められた手順で導入する訓練として機能していた。訓練は、米国、カナダ、メキシコ、ヨーロッパで行われ、何万人もの地元警察、保健当局、緊急対応要員が参加した。さらにはFBI、国務省、諜報機関の代表、そして化学、石油、金融、通信産業、保健分野の民間企業からの代表が参加している。

 2000年5月から2007年にかけて4回の「トップオフ (Top Official =幹部)」 演習が行われた。 司法省、FBI、米連邦緊急事態管理庁(FEMA) の職員が動員され、化学兵器や生物兵器による攻撃を想定したシナリオ演習に参加した。

 2000年5月の最初の演習は、コロラド州デンバーとニューハンプシャー州ポーツマスでの化学・生物兵器テロを想定し、州全体(コロラド州)を隔離するためのロジスティクスを検討するものだった。

 ちなみに、「自宅外での接触を禁ずる」政策は、この演習から20年後の新型コロナウイルス感染症対策で広く導入された。

 元CIA職員で内部告発をしたケビン・シップは、「これは洗脳訓練ですよ」と言う。「アメリカの権利章典を吹き飛ばすこの演習には、公衆衛生や法執行機関から何千人もの職員が動員されています。つまり、民主主義の転覆を狙って憲法を無力化する行為を、彼らに事前に承認させたも同然です。 脅威が現実になったからといって、演習の参加者が突然我に返ったりしないと、彼らは知っています。CIAは、この種の技術で大勢の人をコントロールする方法を、何十年もかけて研究してきたのです」

世界的なパンデミックを想定した「イベント201」

 2019年10月中旬、バイオセキュリティカルテルを構成する有力者や機関は、ゲイツの指示のもと、ワクチン産業を批判する有識者を意思決定者の手でソーシャルメディアから一掃する準備を開始した。

 同月、ビル・ゲイツは政府のバイオセキュリティ担当者向けに、さらに別の訓練と伝達演習を自ら企画した。この演習は、「コロナウイルス」の世界的大流行を想定した4つの「机上の」 シミュレーションで構成されていた。参加者は、世界銀行、世界経済フォーラム、ジョンズ・ホプキンス大学人口センターとブルームバーグ公衆衛生大学院、CDC、大手メディア各社、中国政府、CIAやNSA(国家安全保障局)の元長官、ワクチンメーカーで世界最大の製薬会社ジョンソン・エンド・ジョンソンなど、各業界のトップリーダーたち、さらには金融・バイオセキュリティ業界の重鎮、世界有数の企業PR会社エデルマンの社長などであった。

 陰謀だと考える批評家たちは、この一団を「ディープ・ステート」と呼んでいる。世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は、彼らのアジェンダを「グレート・リセット」と命名した。

「イベント201」は、伝達演習だったが、後述するように「待機中の政府」のための訓練でもあった。 数ヵ月後、これら政府の主要メンバーは速やかに重要ポジションに移動となり、パンデミック対策にあたることになる。

 参加者はゲイツの指示どおりにパンデミック対策委員会のメンバーを演じ、アメリカ民主主義に対する反乱の口実となる伝染病のシミュレーションを行った。彼らが学んだのは、公式発表をコントロールし、反対意見を封じ込め、大勢の人々にマスクを強制し、パンデミックを利用して強制的な集団予防接種を推進するための一連の心理戦テクニックだった。

 言うまでもなく、免疫システムの構築や強化、既存の市販薬、特許切れの薬剤やビタミン剤についてはほとんど話題に上らなかった。その代わりに、政府の権威主義的な権限を拡大し、強権的な制限を課し、集会、言論の自由、私有財産、陪審裁判、適正手続き、宗教的礼拝といった従来の市民権を縮小し、特許が取得できそうな新しい抗ウイルス薬やワクチンを普及・強制する取り組みについて延々と協議した。

 参加者は、地球規模のコロナウイルスパンデミックを描いたシナリオを体験した。その焦点は、恐怖をあおること、包括的な検閲、大規模なプロパガンダ、警察国家の戦略などであり、すべては強制的な集団予防接種に通じていた。

 ブルームバーグ財団は、ジョンズ・ホプキンス・センターの主要な資金提供者だ。奇妙にも、ビル・ゲイツは後にこのシミュレーションは実施されなかったと主張した。2020年4月12日、ゲイツはBBCでこう述べている。
「これが現状なのです。シミュレーションも実習もないまま、医療政策も経済政策も、気がつけば未知の領域に突入しています」

「イベント201」は、ほぼ「リアルタイム」のシミュレーションだった。新型コロナウイルス感染症が武漢で最初の犠牲者を出したのと同じ週に、仮想のパンデミック緊急委員会が開催されている。

 ビル・ゲイツがシミュレートしたコロナウイルス感染症は、その数週間後に米国を襲った新型コロナウイルス感染症よりはるかに深刻だった。このシミュレーションでは、1年半の時点で6500万人が死亡し、世界的な経済崩壊が10年も続いた。ゲイツのシミュレーションと比較すると、実際の新型コロナウイルス感染症危機はやや不発だったと言えるだろう。

「イベント201」では10年にわたる経済崩壊が予測されたが、こちらは死亡者数よりは正確な結果になるかもしれない。ただし、その原因はひとえに、ゲイツとファウチ博士の両名が推進する厳格なロックダウンにある。

研究室由来説を封じ込める情報統制

 彼らの中心的な課題のひとつは、コロナウイルスが実験室由来であるという「噂」をいかにして封じるかであった。 「イベント201」の第4のシミュレーションでは、世論を操作・統制する手段や、人工的に強化された病原体について話題にするのを止める方法が論じられた。

 参加者は、メディアをプロパガンダ(良い情報)で「あふれさせ」、デマの拡散には罰則を課し、反対意見(反ワクチン運動)の信憑性を貶めることで、「偽情報」や「誤情報」を抑え込むメカニズムについて討議した。

 以下に、このシミュレーションに参加したメンバーの大まかな人物像と、具体的な発言・行動を紹介する。

●ブルームバーグ公衆衛生大学院ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの上級研究員であるタラ・カーク・セル博士は「今や、多くの人が主にソーシャルメディアからニュースを入手しています。ですから、こうしたプラットフォームに介入すれば、誤った情報の拡散を抑制できるはずです」と述べた。

「インターネットへのアクセスを管理している政府もあります。ウェブサイトやソーシャルメディアのコンテンツを検閲している政府や、少数ですが、誤報の拡散を防ぐためにネットへのアクセスを完全に遮断している政府もあります。有害なデマの拡散には、逮捕を含む罰則が設けられているのです」

「イベント201」に参加した他の多くの協力者と同様、彼女はパンデミック宣言後、直ちに政府の仕事を担うようになった。

 新型コロナウイルス感染症パンデミックが始まって以来、セル博士はいわば国家の「真実の代表者」として、米国政府とWHOの取り組みを調整し、反対意見を鎮圧し、異議を唱え、反対者の信用を落とし、中傷し、心理的手段で騙した。

●ジェーン・ハルトンは、オーストラリアの厚生大臣、財務大臣を務めた。現在はオーストラリア・ニュージーランド銀行の取締役だ。この銀行はオーストラリア国内でも大規模で影響力のあるワクチン分野に資金を提供している。ハルトンは、オーストラリアの抑圧的な 「no jab, no pay」政策(訳注・子どもにワクチン接種をさせない親は公的給付が受けられない制度)の立案者のひとりだ。WHOの世界保健総会の議長を務めたこともあり、現在はビル・ゲイツの感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の取締役会長だ。CEPIは、営利企業である製薬会社によるパンデミックワクチン開発に、慈善事業や政府の資金を振り向ける役割を担っている。

 彼女は、「イベント201」の参加者たちに、危険な思想や情報から国民を守るため、水面下ではすでにゲイツ財団が「これらソーシャルメディア上の情報をふるいにかける」 アルゴリズムを作成していると明言した。2020年3月、ハルトンはオーストラリアのNational COVID-19 Coordination Commission (国家新型コロナウイルス感染症調整委員会)の執行委員会に加わった。この組織は、世界で最も強硬なロックダウンを導入し、オーストラリア史上類を見ない規模の公民権剥奪を行った。

●チェン・ファンは、アップル社のリサーチ・サイエンティストでグーグル社の研究者、追跡監視システムや顔認識技術の世界的な第一人者でもある。 「イベント201」では、政府の対策を報じるニュースキャスターを演じた。 

 彼は、暴動は反ワクチン活動家のせいだとし、「感染症のこうした情報を広める多数のアカウントの特定と削除」、さらには「パニックの鎮圧を目的とした・・・・・・ インターネットの遮断」に、ツイッター(現X)とフェイスブックが協力するだろうと肯定的に予測している。

●マシュー・ハリントンは、世界最大の広報会社エデルマンのグローバルオペレーションおよびデジタルコミュニケーション担当ディレクターだ。同社は、ファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マイクロソフトの代理人を務める。

 彼は、ソーシャルメディアが政府の政策推進に協調するべきという意見に同意している。
「ソーシャルメディアは一歩前進しなければならない時期に来ているとも思います。自分たちが発信者ではなく単なるプラットフォームであると主張する時代は終わったと認識するべきです。一方的な情報を垂れ流せとは申しませんが、当事者として正確な情報を発信し、科学界や医学界と協力して誤報や偽情報に対抗しなければなりません。

●公衆衛生局のステファン・レッド海軍少将は、政府がソーシャルメディアをマイニングして、否定的な信念を持つアメリカ人のデータを特定し収集すべきだという危険な考えを持っている。

 この考えを述べた数カ月後、レッドは新型コロナウイルス感染症対策を管理するCDCの副ディレクターという新しい役職に就いた。

●エイドリアン・トーマスは、世界最大の製薬会社であるジョンソン・エンド・ジョンソンのグローバル戦略プログラム&公衆衛生担当副社長だ。彼は、臨床試験に不備のある製品で「死者が出た」という「噂が実際に広まって、患者が服用しなくなった」際に、同業者を苦しめるであろう問題に対処する戦略を提示している。「もしかしたら、死者数や感染者数を逐一報告するべきではないのかもしれません」。連邦規制当局がワクチン被害の90%以上を隠すように設計された機能不全の監視システムを意図的に維持しているのも、こうした懸念によるのかもしれない。

●元CIA副長官アブリル・ヘインズは、「有力なコミュニティリーダーや医療従事者」を含む「信頼できる情報源」からのプロパガンダを「とにかく大量に発信する」戦略を明らかにした。

 2021年4月11日、バイデン大統領はヘインズを国家情報長官に任命した。今やパンデミック対応の最高責任者である。

●マシュー・ハリントン (エデルマン社CEO)は、かつて情報の分散化と民主化を約束したインターネットについて、今や中央集権的であるべきだと考えている。

●シンガポールのラバン・ティル財務大臣は、「フェイクニュースに強制措置を取る各国政府」と連携し、見せしめに反体制派を逮捕してはどうかと指摘した。

軍事・諜報複合体の勝利

 2020年11月、英国の諜報機関MI6は、新型コロナワクチンの公式見解に疑義を唱える外国人(おそらく米国人も含む)は、諜報員の監視対象にすると発表した。 「反ワクチンプロパガンダを崩壊させる攻撃的サイバー作戦」の開始宣言だった。

 秘密業務局外国課は、今後ワクチンについて都合の悪い、あるいは不謹慎な質問をしたり、新型コロナウイルス感染症に関する公式声明や対策に疑問を呈したりする個人は、彼らのターゲットになるとほのめかした。彼らは、かつてテロリストを対象としていた監視やハラスメントの手法、また工作を用いると宣言した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「MI6は、イスラム国家による偽情報や勧誘に対処するために開発されたツールを使用している」と報じた。同紙はある政府筋からの談話として、これは冗談などではないと伝えた。「政府通信本部 (GCHQ)はネットやソーシャルメディアから反ワクチン派を排除するよう指示を受けている。彼らには、テロリストのプロパガンダを監視・妨害してきた手段がある」

 連邦法は米国の諜報機関が米国市民を監視することを禁じているが、欧米の諜報官僚は互いに連携しており、CIAは自国の法律をかいくぐるため、しばしば欧州、イスラエル、カナダの諜報機関を代理に使っている。

「今やテロの定義は非常に拡大しているのです」とCIA元職員のケビン・シップは語る。「新型コロナワクチンに少しでも言及すれば、それは彼らの監視対象となるのです」

 世界の報道機関が長い間見過ごしてきた、欧米の諜報機関によるワクチン事業への広範な関与が、こうした出来事により初めて明確になった。20年にわたる感染症シミュレーションが予告したように、米国やその他の諜報機関は、新型コロナウイルス感染症対策において秘密裏に、しかし圧倒的に、その存在感を示している。 諜報機関のOBや現役の将校が、全世界のワクチン接種を推進する国際機関の要職に就いているのだ。

 2020年1月、ユニセフは権威主義への転向を明らかにした。政府が推奨するワクチンの子どもへの接種を親が拒否した場合に犯罪とする法案を、モルディブ議会が可決したことを支持したのだ。

 アンソニー・ファウチの電子メールからは、ウェルカム・トラスト理事のジェレミー・ファーラー卿がファウチ博士と直接協力し、 武漢の研究所からのウイルス漏洩を示す証拠を、ウェルカム・トラストの5人の工作員を使って隠蔽したことが明らかになった。

 マニンガム=ブラーは、2011年からインペリアル・カレッジ・ロンドンの理事長を務めている。アンソニー・ファウチと欧米の保健当局者は、インペリアル・カレッジの不正確な予測死亡者数を広く引用し、世界規模の強硬なロックダウンを正当化した。

 予測値は、ウェルカム・トラストの悪名高い疫学者ニール・ファーガソンがでっちあげた。彼は巧みに数値を操り、致死率を一桁以上過大に見積もった。狂牛病やその他の感染症の際にも、ファーガソンは同じ手段を使った。

 新型コロナウイルス感染症への強硬な対策については、諜報員OBの多くが支持している。

 子どもへのワクチン接種に抵抗する親を疎外し、悪魔呼ばわりし、公然と叩く行為を早くから推進したのが、ジュリエット・ケイエムだ。彼女は2019年4月まで『ワシントン・ポスト』紙の社説を執筆しており、子どもへのワクチンを拒否した親は「隔離、罰金、逮捕」され、政府がテロリストや性犯罪者に科すのと同じ制裁を受けるべきだと述べていた。

 ウォーターゲート事件のジャーナリストであるカール・バーンスタインは、1977年に早くもCIAは「ニューヨーク・タイムズ』紙や「タイム」誌を含む400の主要なアメリカのジャーナリストや報道機関に支配力を有していたと記録している。

『ワシントン・ポスト』紙については、オーナーのキャサリン・グラハムとフィル・グラハム、そして主要編集者と記者に至るまで、CIAがモッキンバード作戦を通じて長期的かつ広範に支配していたことはよく知られている。 『ワシントン・ポスト』紙と『ニューヨーク・タイムズ」紙は、強権的なパンデミック対策を支持してきた主要なメディアだ。

 CIAはさらに、ワクチン接種活動を、より幅広い戦略的行動の隠れみのとして利用している。例えば2011年から2014年にかけて、CIAはウサマ・ビンラディンを追跡して捕らえるため、WHOの感染症撲滅プログラムを利用してパキスタンで偽のポリオとB型肝炎のワクチンプログラムを実施し、個人からひそかにDNAを収集した。

 諜報機関は予防接種と密接なかかわりを維持し、外交政策の道具として、また真の健康問題とは無関係な恐怖、抑圧、支配の道具として扱ってきた。

 2021年7月、世界で最も厳選された富豪の集まる秘密会議などと呼ばれることもある銀行アレン&カンパニーの第38回年次総会が開かれた。

 2021年の会議には、ビル・ゲイツ、アップル社のティム・クックCEO、マーク・ザッカーバーグ、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、マイク・ブルームバーグ、グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、ウォーレン・バフェット、ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEO、ウォルト・ディズニー・カンパニーのロバート・アイガー会長、バイアコムCBSのシャリ・レッドストーン会長、さらにはロックダウンに最も影響力のあるプロパガンダ発信者のアンダーソン・クーパーなどが顔をそろえた。

 この時点で米国の億万長者たちは、合算すると1年で3兆8000億ドルもの資産を増やす見通しとなっていた。一方で、およそ同額を失った米国の中産階級は永久に消滅しようとしていた。ハイテク産業やメディアの大物たちは、ロックダウンによって莫大な資産をさらに膨らませた。

 億万長者たちは、アメリカの模範的な立憲民主主義をスムーズに崩壊させるべく、それぞれに手を貸していた。権利章典は無期限停止状態だった。 このイベントの参加者は公共の場を私物化し、民主主義の酸素と光である情報の自由な流れと開かれた議論を妨害した。 彼らの検閲に後押しされ、技術官僚の協力者たちは、アメリカにおける憲法上の権利をかつてないほどに縮小させた。国中の教会を閉鎖し、適正手続きや正当な補償なしに100万の事業を閉鎖し、企業犯罪の陪審裁判を停止し、憲法で保証された透明性のある公聴会や論評を抜きにして法令を通し、令状なしの捜査や追跡監視によってプライバシーを侵害し、集会と結社の権利を廃止したのだ。

 20年にわたるシミュレーション演習を経て、CIAはアンソニー・ファウチのような医療官僚や巨万の富を持つインターネット界の大物と協力し、究極のクーデターに打って出た。それまでの独裁や権威主義的支配に反旗を翻してからおよそ250年、アメリカの自治の試みは終わりを告げた。独裁政治が復活し、紳士とその諜報員たちは、ジョージ王や他の歴史上の暴君が想像もしなかったような新しい支配の手段を、台頭する技術官僚に与えた。

軍事プロジェクトとしてのCOVID-19

 2020年9月26日、科学ジャーナリストのニコラス・フローコは、リークされたオペレーション・ワープ・スピードの組織概要をニュースサイト 『STAT』 で公表した。この100億ドルのプロジェクトが「膨大な軍事的関与」を伴う高度に構造化された国防総省のキャンペーンであることを暴露する記事だった。

 ひどく複雑なフローチャートによれば、オペレーション・ワープ・スピードでは4人の将軍と60人の軍人が指揮にあたっている。全体でおよそ90人の指揮官の内、民間人であるHHSの医療官僚はわずか2人で、軍人が民間人を大きく引き離していることがわかる。

 HHSの政策担当副参謀長ポール・マンゴーは、国防総省はこのプロジェクトのあらゆる側面に深く関与している、 と 「STAT」に語った。彼らはワクチン製造工場を20ヵ所以上作り、世界中から設備と原材料を空輸し、また「できあがったワクチンを『作戦の成功を望まない他国の手先から』しっかりと守るために」、サイバーセキュリティおよび物理的セキュリティの作戦を展開した。

 この誇大妄想的な理由付けは、ワクチンを忌避するアメリカ人を悪意ある外国政府と結び付け、それによって軍や諜報機関の対応を正当化しようとする口実にも思える。 要するに、公式のものではあるが、「陰謀論」なのだ。

 オペレーション・ワープ・スピードは、新型コロナワクチンを開発する大手製薬会社6社と秘密の契約を交わしている。 このオペレーションの首席顧問は、グラクソ・スミスクライン社の元幹部で、パンデミック以前はモデルナ社の会長を務めていたモンセフ・スラウイだ。 モデルナ社にはファウチ、カドレック、ゲイツがかかわっており、オペレーション・ワープ・スピードの主要な受益者になる企業だ。

    元製薬会社のCEOでロビイストのアレックス・アザー保健福祉長官とマーク・エスパー国防長官の2人が、組織委員長としてトップの座に就いている。 オペレーション・ワープ・スピードのCEOを務めるスラウイは民間人のリーダーで、もうひとりのCEOはグスタフ・ペルナ将軍だ。

 ペルナとスラウイのすぐ下には、完成したワクチンの流通を管理する元特殊部隊のポール・オストロウスキー中将(退役)と、病気の検出などのために兵士にハイテクセンサーを埋め込むプログラムなど、国防総省の未来型戦争プロジェクトを専門とするマット・ヘップバーンが控えている。

 ホロコーストを生き延びた医療倫理の提唱者ベラ・シャラブは、「これは医療であって、軍事作戦ではないはずです」と私に語った。「公衆衛生の問題であるのに、なぜ、軍やCIAがこれほど深く関与しているのか。なぜ、すべてが秘密なのか。 なぜ、税金で作られた製品の成分が我々に知らされないのか。なぜ、彼らの電子メールはすべて編集されているのか。なぜ、ワクチン製造会社との契約を見ることができないのか。なぜ、最小限のテストしか行われていない実験的テクノロジーによる治療を義務付けるのか。 新型コロナウイルス感染症は1%未満の人にしか害を及ぼさないのに、人口の100%の人を危険にさらす正当な理由は何なのか。これが、全人類に対する膨大な人体実験であると、みなが認識しなければなりません。用いられているのは証明されていない科学であり、命を救うためではなく殺すために訓練された諜報員と軍人の手で行われているのです」

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