見出し画像

円安が助長する「アリ国家」の困窮と分断=「仮面の黒字国」と日銀論文で読み解く

 「『アリとキリギリス』で考える通貨政策」で、日本にとって円安のデメリットを解説しました。ちょうど、みずほ銀行の唐鎌大輔さんが「日本は『仮面の黒字国』」という力作を公表。日銀から「国際経済環境の変化と日本経済」との論文が出され、両者を参照しつつ、円安によって「アリ国家」日本の困窮と分断が助長される構図を読み解いてみます。

 「アリとキリギリス」の趣旨は以下の通りです。①戦後の日本は製造業が発達して奇跡の復興を遂げる ②しかし、輸出で勝った結果、巨額の貿易黒字を計上。変動相場制で恒常的な円高に ③黒字はまた欧米との貿易摩擦を招く ④円高と摩擦の回避で製造業はグローバル化 ⑤貿易収支は赤字化して円安基調に ⑥日本の労働者は非製造業が主体。円安で生活は困窮化しやすい。

ここから先は

1,913字 / 2画像
この記事のみ ¥ 250

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?