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6月・長靴をはきこなす人

今は小学生になった二人の子供が幼稚園に通っていた頃、長靴は送迎に欠かせなかった。
駐車場がなく、雨の日は徒歩で迎えに行かなければいけない。
梅雨の時期には毎日のようにお世話になった。

わたしが愛用していたのは日本野鳥の会の長靴。

膝下まで長さがあり、折りたためる柔らかい素材で歩きやすい。
履き口にはドローコードがついていて、雨が入ってこないようにきゅっと絞ることができる。
カーキ寄りのブラウンで、何よりフロントに入っている「B」のロゴがかわいい。

1足目に買ったものは2年ほどで傷みがきてしまいリピートするほどお気に入りで、使用頻度は減ってしまったが、今でも大雨の日には履いている。

この長靴、義父とおそろいだ。
誕生日にプレゼントしたところとても気に入ってくれた。

趣味とも言えるであろう、庭の植物の手入れをしたり、掃除や水仕事をしたりするときに履いてくれている。

それがとても似合っている。

わたしは以前、観光地でこの長靴を履いていたら「野鳥の会の方ですか?」と尋ねられたことがある。

「違うんです。」と答えたのだけれど、「そうです」と答えたかったなあと、自分がまるでニセモノのような気持ちになってしまったことを覚えている。
(その後、でもこの長靴気に入っているんです、とか、履きやすいです、とか言ったような気がする。)
冷静に考えたら、見た目の可愛さと履き心地で選んでなんら問題ないはずなのに。

どこかに「ホンモノ」こそかっこいいという気持ちがあるのだと思う。

義父は野鳥の会の長靴ということさえも知らない。
それでもホンモノ感にあふれてる。
まるでからだの一部のようにも見える。
わたしみたいにロゴがかわいいなどという軟弱な考えは全くなさそうだ。

ゴムが一部劣化してヒビが入ってしまった部分には、自転車のタイヤを直すのと同じ方法で手当てをしていた。(義父は自転車のパンクも自分で直せるのだ。強い!)
そうして新品の状態とは違う、リペアされて、ある意味オリジナリティーのある風合いの一足になっている。
それを道具としてはきこなす義父。
長靴めっちゃかっこいいよ。

用途にあったものを、必要な場面で身につける。
実用的なホンモノのかっこよさにはかなわないよなあ。
まあ雨の日に長靴を履くというのはかなり一般的な用途なので、わたしもそんな変な使い方をしているわけではないのだけれど。

ちなみに梅雨のこの時期になるとアウトドアメーカーmont-bellの超軽量折り畳み傘の購入を考えてしまう。
軽さ重視で選ぶのってなんだかかっこよくない?
とここまで考えて、かっこいいなどという不純な動機で選ぼうとしていること自体がまだまだなんだろうなと気づいてしまった。

何はともあれこの季節、お気に入りの雨具で気分だけでも晴れやかに乗り越えたいものですね。









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