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西加奈子を読もう!

西加奈子が好き。人物も小説も好き。きっかけは偶然なにかの番組で椎名林檎と対談してるのを見て、そのコテコテの関西弁と会話の面白さに、この人の小説が読んでみたい!と思った事だった。

その後すっかりその世界観にハマってしまい、私が一番たくさん、というかほぼ読んだ、唯一の作家さんです。

小説は図書館で借りて読むため、手元に本はありません!なので感覚的に、ざっくりと紹介していきます。ネタバレはほとんど無いです。

子供の頃を懐かしく思い出す/短編集も良い!/自意識過剰モノといえば西加奈子/恋愛小説は変化球/生死について考える/家族の在り方/やっぱりこれは読むべき!


子供の頃を懐かしく思い出す

・円卓

主人公こっこは小学三年生。他人とちょっと違う事がかっこいいと思ってて眼帯に憧れる。分かるなぁ、私も子供の頃は左利きとAB型に憧れてた。乞音の男の子ぽっさんとの友情に泣いた。関西弁なのも良い。

・まく子

主人公は温泉街に住む小五の男の子。自分の体が変化していく事を受け入れられずにいる。小学校高学年、思春期の不安定な感情。西さん、子供の頃の感情書くのうまいなーと思った。転校生の美人コズエに恋をするのだが、この子には秘密が。SFの要素あり。


短編集も良い!

・しずく

女性の物語ばかりを集めた短編集。一番印象に残ってるのは表題作「しずく」。恋人同士の二人が同棲をしてて、それぞれが飼っていたネコを連れてくる。そのネコ目線で描かれた別れの物語。これがとても切ない!

・炎上する君

この本は結構ぶっとんだ話が多く、SFの要素もあったりする。ユーモアがあり、読後は温かい気持ちになるお話が多い。これも表題作が一番好き。バンドを組んでいる、見た目はイマイチだけど頭はいい女子二人組のやり取りに味がある。この二人が、文字通り足が炎上している男性に恋をするという設定も突き抜けてて面白かった。

・おまじない

以前、短編集についての記事にも書いた一冊で、女の子がおじさんに救われるという変わった設定。そのままでいいんだと背中を押してくれるような、肩の力を抜いて読めるお話の数々。個人的にはいちご農家の浮ちゃんが好き。


自意識過剰モノといえば西加奈子

・舞台

まさに自意識過剰すぎる主人公の青年がニューヨークへ旅する物語。ところがニューヨークである事件があり…。この主人公、自意識過剰過ぎて笑えるしめんどくさい!でもどこか共感できる部分もある。この青年が少しずつ変わっていく様が興味深かった。

・うつくしい人

こちらは三十路の、やはり自意識に苦しめられてる女性が主人公。旅に出て、そこで出会う人々と過ごす中で少しずつ解放されていく。旅には力があると思わされる物語。


恋愛小説は変化球

・きいろいゾウ

夫婦が主人公だが、これは家族愛ではなく純愛を描いたものだと思う。ツマとムコの田舎暮らし。前半はほっこりしすぎて読み進めるのに苦労してしまったが、後半の展開に息を飲んだ。人間の陰の部分も上手く描かれている。愛とは何か、考えさせられる物語。

・白いしるし

これは恋愛小説の王道のようでいて、それぞれの登場人物の闇が深い!画家の男性にどうしようもなく惹かれてしまう主人公。しかしこの男性には恋人がいて、その恋人は…。人間は大なり小なり秘密を抱えているのかもしれないと思わされる。ラストにかけてスピード感があり、読後は富士山を見に行きたくなった。

・窓の魚

不気味!その一言に尽きる。西さんこういうのも書くのか、と思った。二組のカップルが温泉旅行に行く。四人それぞれの視点から四編で描かれている。同じシーンでも思ってる事はそれぞれで…やっぱり不気味!モヤモヤする物語。


生死について考える

・i(アイ)

シリア難民の子アイは裕福な家の養子になるのだが、自分の恵まれた環境に罪悪感を感じている。ずっと後ろめたさを感じて生きているアイが、どのようにして自分を許せるようになっていくのか。9.11や3.11、世界各地で起こる紛争、どうして自分はその当事者ではなかったのだろう。すごく考えさせられる一冊だった。

・ふくわらい

作家の父を持つ主人公の女性は、他人の顔のパーツを全部妄想の中でバラバラにしてふくわらいをして遊ぶクセがある。幼い頃、旅好きな父に連れられて行った先での予期せぬ父との別れ。ちょっとグロテスクな表現もあり、設定も特殊なので好き嫌いが分かれそうな作品。私はこの変わり者の主人公と同僚の友情の描写がとても好きだ。ラストも賛否両論ありそう。


家族の在り方

・さくら

兄、弟、妹の三兄弟。弟目線で語られている。頭も顔も良く運動もできて優しい兄。そして話のできる犬さくら。兄を襲ったある出来事。結構重い内容で、途中読むのも辛くなるほど胸が押し潰されそうになった。家族はどのように再生していくのか。涙無しには読めない一冊。

・漁港の肉子ちゃん

北陸の焼き肉店で働く「肉子ちゃん」とその娘キクコのお話。コテコテの関西弁とその独特の言い回しがユーモアたっぷりで笑ってしまう。見た目はダサいが人情に溢れた肉子ちゃん。まさに笑いあり涙あり。感情を揺さぶられまくった西加奈子の代表作。これはかなりおすすめ!


やっぱりこれは読むべき!

・サラバ!

西加奈子の代表作。私はラストの一行を読み終えてからしばらく鳥肌が止まらなかった。破天荒な姉を持つ、空気を読むのが得意な弟の歩が主人公。幼少期から30代までの間に大切な何かを見つける事ができるのか。姉の行動は正直理解しがたかったが、後半の姉の言葉「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」これにはすごく説得力があり、すべて腑に落ちた。自分はどうだろうかと考えさせられた。個人的には二人の両親のエピソードが好き。小学生の頃のエジプトの描写、現地の少年ヤコブとの友情も良かった!かなり長編だが、おうち時間が長い今、ぜひ読んでみてほしい。



ちなみに「あおい」がまだ読めてません。この中に「サムのこと」という短編が入ってて、乃木坂46主演ドラマの原作なんだそうです。「サムのこと  猿に会う」これが西さんの最新単行本らしいので要チェックです。


以上、西加奈子のおすすめ小説をざっくりとご紹介させていただきました。

おうち時間のお供にいかがですか?

気分に合わせて選んでみてください♪




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