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母の日に

20代前半の頃、社員旅行でハワイに行った。

帰国後、同期の一人と撮った写真を見ていると私の顔にまるで髭のような白い光が写っていた。
最初はホコリか何かが写りこんだのだと思った。
ところがその後同じような写真が数枚あり、光は決まって私の顔付近にあるのだった。

お母さんやな。

私はとても自然にそう思った。
お母さんもハワイ行きたかったよね。
そりゃそうだ。

写真の白い光を眺めながら、私はとてもあたたかい気持ちになったのだった。

その後白い光は忘れた頃に何度かあらわれた。

新婚旅行の写真には一枚だけ、髭のような形ではなく丸い光で、やはり私の隣にあった。

初産を控えた真ん丸のお腹を夫に撮ってもらった写真、膨らんだお腹にある小さな丸い光を見た時には少し泣いた。

ただの偶然かもしれない。
でも偶然にしては出来すぎじゃないか?
お母さん絶対アピールしとるやん。
うれしい。



先月、小川糸さんの「ライオンのおやつ」を読んだ。

著者の優しさがぎゅっと詰まったような物語だった。

この中に、「亡くなった人は光になる」という文章がある。

やっぱりなと思った。
あれ、絶対お母さんやから。

ライオンのおやつは「死」をテーマに扱っているがそれは「生」を書いているとも言える。
重いテーマのようなのにとても清々しくあたたかい内容だった。




つい最近、数年ぶりに、義父のデジカメに例の光が写っていた。

それはGW、我が家では二回目のバーベキューの写真。
一回目は前回のnoteに書いた通りで、リベンジしようと夫と奮闘した日。
夜のバーベキューは慌ただしかったのでお昼に、準備も前回より要領よくできた。

最後に家族みんなが並んでくつろいでいる写真の一番端、満足気な表情をした私の隣に白く丸い光。

今日は前に比べたらまあまあうまくいったんちゃう?と声が聞こえるような気がする。

母はバーベキューが大好きだった。

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