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季節にまつわるおしゃれの話

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季節にまつわるおしゃれの話・番外編

季節にまつわるおしゃれの話・番外編

ファッションが好きなんです。
そう口にすることに対して気恥ずかしさを感じてしまうのはわたしだけではないはず。
おしゃれなんです、と公言しているみたいに感じてしまう。
自意識過剰なんだと思う。

でも好きなのは事実なのだ。
わたしは随分多くの時間をファッションに使ってきた。
おしゃれについて考えることは時間を忘れるほどにわくわくするし、癒しである。

「ファッションが好き」と「おしゃれ」はイコールで

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12月・きいろい手ぶくろと母

12月・きいろい手ぶくろと母

母は裁縫が得意だった。

まだほやほやの赤ちゃんだった40年前の写真の中のわたしは白いニットを着ていて、それも母の手作りだったそうだ。

アルバムには他にも家族4人で、まるでスーパー銭湯で着るような(イメージだが)お揃いの洋服を着ている写真がありこれも母製。
それから叔母の結婚式の参列用にわたしのドレス、弟と従兄弟にはセーラー襟の洋服を作ってくれた。
他にもちょこちょこと、とにかく作ることが好きだ

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11月・白って汚れない?と言わない

11月・白って汚れない?と言わない

本格的な秋がやってきた。

これからの季節はどんどんと気温が下がり、洋服も夏とは違って重厚なものになってくる。

秋冬になると淡い色の服を着たくなる。
肌を覆う布の分量や素材感から、色だけでも軽くした方がバランスがいいように感じる。

優しい色のベージュ、薄い杢グレー。
あたたかみの感じられる、明るい印象の洋服。
そして白、オフホワイト、アイボリー。
淡い色のニットやスウェットにボトムも白。
そん

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10月・ワンピース2着で過ごした秋に気づいたこと

10月・ワンピース2着で過ごした秋に気づいたこと

2012年秋。
大きく前にせり出したわたしのお腹には長男がいた。

12月初旬出産予定であり、冬にはお腹は引っこんでいるだろう。
マタニティーウェアを1ヶ月と少しの為に購入するのもなんだかなあ。
そうしているうちに秋は過ぎ去り、11月下旬に長男は産声をあげた。

その年の秋、わたしは2着のワンピースを毎日交互に着て過ごした。

どちらもとても好きなワンピースだった。
たっぷりと生地を使ったシンプル

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9月・試着室マジック

9月・試着室マジック

一見なんてことないワンピースだった。

ところが試着室の鏡にうつる自分を見て、1ミリの迷いもなく「かわいい」と思った。

装飾はなく、ごくごくシンプルな膝丈の、カットソー素材の一着。

首元はクルーネック。
詰まりすぎておらず、鎖骨が程よく見える。
袖は細め、7分袖ならぬ9分袖といったところで(わたしの腕が短いというのもあるが)手首が見える。
肩の位置が決まっていないラグランスリーブ。
胸下からさ

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8月・かわいい服を着ればかわいくなれると思っていた

8月・かわいい服を着ればかわいくなれると思っていた

わたしは洋服が好きなのだろうか。
それとも好きな洋服を着た自分が好きなのだろうか。
そんなことを考るきっかけとなった遠い夏の出来事について今日は書きたい。

中学3年生だった。
春に修学旅行があり、わたしは憧れのラフォーレ原宿に行った。

雑誌大好き少女であり、一番ときめいたのはジッパーやキューティーの世界。
当時はカラフルな髪色、厚底の靴を履いてフリルのついたデコラティブな洋服を着こなす街角スナ

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7月・海とTシャツと恋のようなもの

7月・海とTシャツと恋のようなもの

夏の海の思い出がある。

20代前半の頃。
2歳年上、女性の先輩と10歳近く年上の男性2人と4人で出かけることになった。

先輩に誘われ行った先は県内でも有名なビーチ。
明日行こうよーと急に誘われたことを覚えている。

わたしは水着なんて持っていなくて、でも海に遊びに行くのは子どもの頃のようで魅力的だったのでお誘いに乗ることにした。

当日。
わたしは当時お気に入りだった古着のTシャツに膝上丈のシ

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6月・長靴をはきこなす人

6月・長靴をはきこなす人

今は小学生になった二人の子供が幼稚園に通っていた頃、長靴は送迎に欠かせなかった。
駐車場がなく、雨の日は徒歩で迎えに行かなければいけない。
梅雨の時期には毎日のようにお世話になった。

わたしが愛用していたのは日本野鳥の会の長靴。

膝下まで長さがあり、折りたためる柔らかい素材で歩きやすい。
履き口にはドローコードがついていて、雨が入ってこないようにきゅっと絞ることができる。
カーキ寄りのブラウン

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5月・帽子バンザイ

5月・帽子バンザイ

紫外線が強くなってきた。
じりじりと焼ける感覚をうなじで受け止めながら、今年ももう夏がそこまで来ていることを知る。

帽子必須の季節。
俄然新しいモノが欲しくなるのも今の時期だ。
そして本格的に夏を迎える頃までに買わないと新調することはほぼ無い。
今年もこれでいけるな、と結局昨年のものを使うことになる。

わたしが夏に愛用している帽子は4つある。

まずひとつ目は登山用のつばの大きなハット。
元々

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4月・ピンクを着たい春の夜

4月・ピンクを着たい春の夜

シャツを買った。

白地にパキッとした濃いピンク色のストライプ柄。
メンズサイズ、やや大きめのサイズ感のもの。
ボタンダウンで、羽織りとして着てもボタンを上まできっちりしめても良い。
古着のラルフローレン。
その存在感に一目惚れした。

はー、眺めるだけでしあわせ。
そんな一着である。

「季節感」が大好物だ。

春はやっぱり明るい色や淡い色を選びたくなる。
その中でも桜に象徴されるピンクはまさに

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3月・卒業記念に母とピアス

3月・卒業記念に母とピアス

耳たぶに計3つの穴があいている。

右に1つ、左に2つ。
触れると表裏にぽこっと感触があり、今でもちゃんと残っているんだなあといつも感心する。

穴はあってもピアスはしない。
かゆくなってしまうのだ。

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21年前の3月2日。

高校の卒業式を前日に終えていたその日、わたしは母と、耳にピアスの穴をあける約束をしていた。

わたし18歳、母45歳。

ずっとピアスに憧れていた。
でも校則で禁止

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2月・春は足元からやってくる

2月・春は足元からやってくる

冬は長い。

外は相変わらずの寒さなのに、厚手のニットや毎日着ているアウターに少し飽き、そろそろ春の新鮮さを求めたくなる季節。
でもね、2月ってめっちゃ寒いんだよ。

まだまだ暖かい洋服がかかせないけれど、気持ち的には春を感じたい。
そんな時に、まず先頭をきって登場させたいのが春らしい生地や色柄の靴下!

足元って目に入るから気分が上がるのだ。

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靴下が好き。

面積が小さいから様々

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1月・コートえらびの基準

1月・コートえらびの基準

初詣に着たいかどうか。
それを想像してワクワクするかどうか。

洋服を選ぶとき、特に便利さ重視ではなくフィーリングで購入したとき、わたしは「この服を着て旅行に行きたいなあ」といつも思う。
旅先で着ている様子を想像しテンションが上がる。

コートの場合この「旅行」が「初詣」にかわる。

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高校生くらいまで元旦に親戚一同で初詣に行く習慣があった。

学校は制服だし、休日も運動部に所属してい

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