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SVOD戦争のあとは、AVOD戦争?

リサーチ会社によっては、毎年データがとりあえず売れる事が大事なので、リリースされているものを比較すると、1年で急激な論点の矛盾が生じるものがあったりします。しかし、このDigital TV Researchは、修正はあるものの、1年くらいではぶれることなく、また相変わらずPayTVなどもリサーチし続けており、私にとっては長年信頼が出来るリサーチ会社です。面白いのは、世界138カ国におけるAVOD(広告型動画配信)への支出額に結構前から注目していて、今年も昨年のデータ同様、AVODの急激な成長を予測しています。

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これを見ても分かるのが、2019年と比較して、2025年は倍増し、500億ドル以上の規模に到達している。しかもその成長を支えるのは、現在AVODの中心となっている中国ではなく、3倍近くに成長している米国です。

去年から、様々なメディアでAVODがポジティブに報道されてきましたが、米国で何が起こっているのか?別にYouTuberが職業として大人気になり、コロナでアーティストが無料ライブを連発してGoogle/YouTubeが成長する…わけではないのです。今、AVODプレイヤ/プラットフォームが育成されつつあるのだと思うのです。Disneyだ!HBOMaxだ!とストリーミング戦争の傍ら、しっかり市場ではAVODが躍進の準備を始めているという感じでしょうか。現時点では、HuluとRokuが勝ち組になろうとしています。しかし、SVODのラインナップやサービス樹立の躍進に比べれば、まだまだ目を見張る変化は出て来ていないような気がします。更に、米国YouTubeは本気でプロフェッショナルなコンテンツに参入しているし、VIACOM・CBSも、CBSオールアクセスやリニアチャンネルのプルートTVへのコンテンツ投資を始めている。アマゾンが運営するIMDBも、無料ストリーミングサービスFreediveを持っている。ここにもハイクオリティなコンテンツが投下されると思われます。これらが、この5年間で米国AVOD市場を押し上げて行くと、このデータは予想していると考えられます。

残念ながら、日本のAVOD成長に期待できるような数字は、今のところ、このデータには見えません。電通発表の2019年日本の広告費では、ネット広告(2.1兆円)がテレビ広告(1.8兆円)を超えたと発表されましたが、エンターテイメントのAVODには、まだ流れ着かないのでしょうか。VODの方が数倍便利なのに、レンタルビデオ店からの転換は動きの鈍い日本です。日本のYouTubeやニコ動も、違法動画や個人のコンテンツアップロードの場になりつつあり、世界でも注目されるくらいの早さで立ち上がったGyaO!も、違法動画はないものの、以前と比べて少し変わったものになりました。広告表示の技術が美しく成長を遂げたのに、コンテンツが魅力的になったかというと…微妙です。

米国のようにAVODの成長が見えてくるのか、もしくは別の方式なのか。今後、日本のメディアプラットフォームが、現代のストリーミング戦争の後に、何をその先に見るのか、期待したいところです。

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