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日本の夏の風物詩 そして母という意外性 「仄暗い水の底から」

こんなおどろおどろしいタイトルですが、今日はU-NEXTで、輝かしい宝塚歌劇星組ライブ配信を見た後の流れなのです。

U-NEXTでは名作レンタルも始まったので、花組「はいからさんが通る」日本青年館千秋楽を見てしまいました。そのままの流れで、OGの特集から映画を見ようとザッピングしていおりましたら、見つけたのです。元月組娘役トップの黒木瞳主演「仄暗い水の底から

最近は季節が夏であることを忘れそうですが、日本の夏の風物詩は…やはり怪談話。この作品は、鈴木光司原作、中田秀夫監督…ゴールデンコンビですね。日本のホラーならではの、背筋が凍る、湿気のあるゾクゾクする恐怖はもちろん、中田監督ならではの、全体に潜む静かな風景に、急にドバーーーーーーッというスーパーナチュラルな映像があるわけです。ダイナミックに差し込まれ、連続で畳み掛けてくる恐怖。ここで思わず叫んでしまいそうになるのが、中田ホラーの面白さ…と、勝手に私は思っております。

ただ、この作品は特別です。ホラー映画として見終わった後、とても切ない母娘の映画を見た感触が残ります。「リング」などにも織り込まれていたりはするのですが、本作ではそれ以上に「女性」の描き方が心に残るのです。黒木瞳演じるシングルマザーと、両親の離婚に揺さぶられる娘。水川あさみがまだ新人の頃の作品です。映画はとんでもない曇天返しの結末となりますが、それを知ってでもなお、数年に一度見てしまい、恐怖とは別の意味で胸が熱くなる作品であります。久々に見た本日も目頭が熱くなりました。

日本には四季があり、湿気のある空気に鳥肌を立てる恐怖がある。だから、ジェイソンのようにバタバタと騒ぐ不死身のゾンビを出さなくても、いいのです。柳の木がふと揺れるだけで、生きていない何かを感じることが出来る感性が、遺伝子に組み込まれているのでしょう。この映画は、そんな日本にしか表せない恐怖と、世界中に通じる「母」が強く描かれています。

そういえば、「ダークウォーター」は、この作品のハリウッドリメイクでしたね。

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