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【小説】日本が丸かった

このたび、拙著『日本が丸かった』を上梓いたしました。

2035年5月6日に俺は死んだ

GW中の大安に結婚式をあげて3日後、南紀白浜温泉で新婚旅行中のことだった。
身につけ、健康管理やメッセージの確認などが行えるウェアラブル端末がこの世の終わりを告げた。
ニュース番組が終わった0時前のことだった、ついに南海トラフ巨大地震が発生し、パニックになりつつも夫婦でホテルを飛び出し直感を頼りに逃げたが土地勘がなく15mはあろうかという大津波に呑まれ、即死だった。

ここは極楽浄土なのか?
痛みも苦しみも無かったが、生前の記憶はあり、妻の姿が見えない事が悲しかった。
辺りは真っ暗で何も見えなかったが、風が吹いて肌寒さを感じる。死んでも感覚はあるんだなと感想。
波の音が聞こえ、手で掴んだ砂で判断すると、どうやら波打ち際の砂の上に横たわっているようだ、上半身を起こしてみると近くにキラリ光るものを見つけた。

立ち上がって近づいてみると大きめの鏡だった、持ち上げてみると少し重かった。
普通の鏡と違うのは、自ら光を発しており、周囲を照らせることだった。
自分の顔の方を向けたときは鏡になる、反対を向けるとライトになる感じだった。

裏側を触ってみると立体的な彫刻がされていた。
鏡の明かりで周囲を照らしてみると、近くには長い木箱と正方形の木箱があったので開けてみた。
剣と勾玉がついたネックレスとイヤリングが入っていた、はいはい三種の神器ね
早速身につけてみた。
死後の世界だと知っているので何の警戒心もなかった。

輪廻転生するとエンペラーにでもなれるのかな?

剣と鏡も拾い上げた瞬間、大量の情報が頭に流れ込んできた、数時間が経過し周りが白み始め
強烈な睡魔に襲われた、頭を使いすぎたようだ。
眼の前は海原で、反対側には丘がありバナナの木なのか大きな葉っぱの機が並んでいるのが見えた
そっちに移動してみようと思った、思ったより距離があるようだ、なかなか木が大きく見えてこない。

どれくらい歩いたのだろう
砂浜を歩くのは疲れる、目標の木が見えているのに砂浜で迷子になっていたような気がした
木がだんだん大きく、ハッキリ見えてきた。想像以上に巨大な木だった。
木にもたれて一眠りすることにした。死んでるんだから眠らなくても身体に悪くは無いと考えるが
頭を使いすぎて兎に角眠りたかった。
だいぶ寝た気がするが、まだ目は開かない、脳が先に目覚めたようだ、身体も金縛りのようになって動かない。強めの風が吹いていた、その感覚で脳が目覚めてしまったようだ。
大きな葉っぱが音を立てて揺れている。

数個何かが落ちてきた
拾ってみると桃のような果実だったので、警戒すること無く齧り付く
口も乾いていたのでとてもうまかった。
また何か落ちてきた、ので拾い上げると、今度は葡萄のような果実だった。当然、食った。
死んでるんだから何を食っても毒にはならないだろうと思った。
食べられるだけ食べて、近くの剣と鏡を持ったら、まただ・・・大量の情報が頭に入ってくる。
初回よりは脳の負担が軽減している感じがする、三種の神器を持つと情報が詰め込まれて、
脳の限界に来ると眠って情報整理がされているようだった。

学習、睡眠中に整理、目覚めると果実が落ちてくる、そんな日が2ヶ月くらい続いて、気温も上がり
夏の到来を感じるようになり、スイカのようなものが砂浜に現れた。砂を掘ると落花生も収穫できた。
しかし、他の人らしき姿はまだ見えない。
死後の世界にひとりぼっちだ、コレはいつまで続くのだろう、とても淋しい。

台風や梅雨に備えて、近くに洞窟を見つけるか、家を建てないといけないかなと考え始める。
すると、頭の中に映像が思い浮かぶようになった、記憶力の良い人が頭の中の教科書を読める感じだ
地図のようなものが見える、まるでグーグルマップだ。
見慣れた列島と見慣れない円が映像として見えた。

パラレルワールド日本

真円の中に日本列島が見える
仏教寺院が並んでるような絵にも見える
極楽浄土の地図なのか?

海に丸いものが見える、拡大してみたいと思ったら大きくなった

島にぎっしり高層ビル

まるでドバイのような光景が見えた
隣の円形の島?も観てみたいと思った
思うだけで見えるらしいから

植物と共生する街のようだ

この様な場所が実際にあるのか、与えられた知識を活用して建設した何十年、または何百年後の光景なのだろうか?SIM CITYだなと思った。

10個くらいは大中の丸い人工島のようなものが見え、小さい島もたくさん
日本列島の隣国の姿はまだ見えず、真円の島の中にスッポリ収まっている。

試しに、真円の内側に見える出っ張りも脳内で調べてみる
おー原油が眠っているのか?1000億バレル程度の採掘が可能可能で、
必要な技術を実現したら、日量平均約500万バレルの原油を産出出来るらしい。それまでは自噴している軽質油(軽油やガソリン)を使いながら産業革命を起こす必要があるようだ。
ところで1人でやるのか?
巨大地震と大津波で同じ頃に亡くなった方々はおられないのかな?

外周の真円の島は、寺院を建てろという指示なのか
異教徒の侵入を防ぐ目的?
頭の中に見える地図は完成品なのか、俺が作り上げるべき国・領地なのか確かめてみようと思ったが、また、睡魔だ・・・

目覚めたらインフラ関係から始めよう

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