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破壊と創造

【小説】転生したら現人神だった件 第4章 ~あれから百年~

大津波に呑まれて転生したら外輪を持つ巨大な日本で神になった

外輪を説教して巡る日々
弟子も増え、僧として布教活動を行わせた
技術を少しずつ教え、先住民が住む外輪の各地に寺社を建てさせた。


人間には、飲食 (おんじき) 欲・色欲・財欲・名欲・睡眠欲の五欲がある
欲しくても他人の同意を得ずに奪うは餓鬼畜生の所業、誰もかもが気の毒である。

生きることは苦しむこと
生(しょう)・老・病・死は、人生の四苦(しく)


生まれた後、飲食物の摂取によって吸収された滋養から化生した後天の「気」
飲食物の摂取とは無関係な生まれつき持つ先天の「気」

調子良く気力が溢れるのは「元気」

病に苦しむは「病気」
病気になれば、日頃の行いを反省し、悪事を悔い改め、神の審判を待つ期間

神の審判は3つ
元気になる、苦しみ続ける、極楽浄土へ旅立つの3つである

邪気
常日頃の行いが悪い者、極悪人は苦しみが長引くであろう。
極悪人も苦しみ抜いて死んだ後には極楽浄土へ行ける。

善人も時が来れば極楽浄土へ行く
まことに気の毒である。

極楽浄土
人は死ぬと皆ひとしく「仏」となり極楽浄土へ行ける
痛み苦しむのは生きている間だけ、極楽浄土には痛みも苦しみもない空である。


苦しみを和らげる物を薬といい、薬を使いこなすものを薬師という

諸行無常
この世は諸行無常であり、あらゆる事物は変化するものであるのに、
執着心は変わらないもの・永遠のものだと信じ込んでしがみついてしまう。
それが苦しみを生む
不要なこだわりを捨てることで楽に生きられる。
周りのものも気を使わずに楽に生きられる。
抑えていた感情を出し切るのは良いが、他人に押し付けたり傷付けてはならない。


気が収まるまで歌い、激しく踊るのが良い。
疲れたら深呼吸して清らかな水を飲み休むと良い。


好きなことは熱心に行うから、自然にくふうし勉強するようになるので、非常に上達も早くなる。また、上達する秘訣は、まず好きになることである。

教えるものを師匠と言い、教わるものを弟子という

津波で転生したわけだが、パラレルワールドの日本は地震がない
しかし、外輪は地震を始めとした自然災害が多い。
何より、外輪が巨大である。

日本列島
最東端は、南鳥島
最西端は与那国島
大圏距離にして、約3,140㎞

外輪は日本列島がすっぽり収まった真円だった。
直径4,000kmx3.14 外輪の円周は12,560kmもあった。
ジェット旅客機が有っても1週するのに16時間以上かかる
北端の冬は-30度にもなり、南端の夏は38度という気候だ。

すべての村を布教活動しながら巡るのは時間がかかりすぎるので弟子を増やし布教活動させた。
宗教は心の拠り所であり、倫理観念を植え付けるのにも、寺子屋を作って教育を施すのにも役立つ。

現人神になって布教活動100年、そろそろ人材も充実してきた。
産業革命というパンドラの箱を開けよう
一気に時代をすすめてしまおうと考えた。
遅れを取ると、どの様な国が攻め込んでくるかも知れないと危惧した。
他の国にも転生した神が存在するかも知れないのだ。

伝染病の蔓延も必ずある、それまでに医療体制を整えたいという思いもあった。外輪の先住民1億人、日本列島にあたる部分の日本人が1億人の合計2億人になっていた。
今のところ平均寿命は50歳なので、医療を整えれば人口はさらに増えるかも知れない。現人神に寿命は今のところ関係ないらしい。

外輪の内海状態である日本列島は問題なさそうだが、外輪には津波対策をしたいと考えた。津波で転生した現人神の最初の大事業だ
山を削り低地を埋め立て海抜20メートルの平坦な土地を作る計画だ。
其の為には破壊も厭わない。破壊神と言われても構わない

山を削り平地を整地するには、ディーゼルエンジン、重機が必要になる
それらを作るには、重工業を優先して革命を起こさねばならない。
そのために、100年掛けて布教活動と教育活動を続けてきた。

平坦な土地が出来れば、街を作りやすいばかりか、のちに自動車道や鉄道も敷設しやすくなる。家が建ち始めるだろうから道路や鉄道用に公用地を確保しておく必要もあるだろう。

資源も必要であるから、資源探査と並行して貿易の為の貨物線や砲艦外交のための海軍も必要になるだろう。

艦隊決戦では活躍しなかった戦艦、砲艦外交には役立ちそうだ

蒸気機関の時代をすっ飛ばして、ディーゼル機関と電気・ガスで産業革命を起こした。最初の燃料は石炭と石油だ。
日本列島は内海にすっぽり収まっており、海水の入れ替わりがなく海底の沈殿がやがて石油になる。
1000年掘削し続けても枯れることはないだろう。
プレートの沈み込みもなく、海溝がないので比較的浅い海が広がっていた。

外輪の山を重機で削っていると、鉱山をたくさん発見できた。
100年前から上下水道事業を進めてきたが、水脈も変わってきた。
破壊と創造は簡単には進まない。
登山に適した山やダムに適した山は削らないことにした、野生動物の保護区も設定した。
良い結果も悪い結果も受け入れながら国造りが進んだ。

並行して周辺国に対する砲艦外交や布教活動を続けた。
貿易が成り立つようになれば、不足する資源も食料も確保しやすくなる。

外輪を重点的に開発していると、日本列島内地で大きな内乱が勃発した
内地を放置していたのが祟ったようだ。

先住民が多い外輪では徴税せず、内地でのみ徴税していたのが原因だった
現人神としては手を出さず外輪の開発に専念して、内地は傍観してみる事とした

第5章につづく

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