IN HER SHOES

賢い弁護士だけど
容姿に自信のない姉ローズ。
容姿は抜群だけど、
男にだらしのない妹マギー。
仲違いをしながらも
二人の強い絆を描いた映画が
「IN HER SHOES」だ。

たわいのないコメディを
彩らせたのが詩である。
マギーを再生させた詩は
エリザベス・ビショップの
「One Art」だ。
盲目の教授に言われて
難読症のマギーがこの詩を読む。

「失う術を覚えるのは難しくない。
ほとんどのものは失われる」
マギーの読み方はたどたどしい。
読み終えると教授が尋ねる。
「どう思ったかね?」
「本当は失いたくないのよ」
「なにを?」「友だちを」

教授は「プラスA」と採点。
マギーの友だちは姉である。
かけがえのない姉であり親友。
マギーは姉が別れた恋人に連絡、
姉と彼は結婚することになり、
マギーとローズの仲も元に戻る。
結婚式で妹は姉に詩を捧げる

詩はE.E.カミングスの
「i carry your heart」。
「あなたの心に私の心を重ねて。
私のすることはあなたがすること。
運命など恐れない。あなたが私の運命だから。
世界など欲しくない。あなたが私の美しい世界だから。
あなたの心に私の心を重ねて」

ちなみに映画のタイトルである
「IN HER SHOES」は
姉が心の平静さを求めて買った
履かないシューズのことかと思ったら、
実は「彼女の立場になって」という
もうひとつの意味があるのだそうだ。
単純ながら深さのある映画だった。