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homeportの黄金週間

  GWは、社会人と呼ばれる存在が観光地を目掛けてやってくる。「普段着の自分」を装っていても、同じ身体の中に社会人は宿っている。homeportは、今のところ、社会との緩衝材的な場所であると考えている。合理的で、肩書が前景化する現代社会と個人の間にhomeportはある。
  実際にhomeportは、北大とまちの境界線上に位置している。一昔前なら、前者を非合理性、後者を合理性の極に置くこともできたかもしれない。しかし、現在は、非合理的な大学が内側から合理性に食い破られている。合理性を探求すること(自然科学)を、非合理的の旅の中で表現すること。それは、就活に代表される合理的な時間の中で、容易に大衆観光化してしまう。
  その手前で出会った宮崎くんは、今も非合理的に探求し続けていると「朝までhomeport」の中で、雄弁に語ってくれた。それはみんなが使う研究室の掃除にも、真剣に向き合う態度や実践に現れている。自分たちの世界との関わりを外部化しないこと、内部化と外部化の間を漂うことでhomeportが立ち現れる。

   世の中の黄金週間。homeportの仮住まいであるアパートの一階には、homeport別邸「かもめ」が誕生し、客人が宿泊している。他の部屋は賃貸で、住人の素性は知らない。チェックアウト時、アパートのオーナーであるナガノさんに鍵を返却しにいく。初めてナガノさんの家の呼び鈴を鳴らした。

   昨日は、homeportを出ると、杖をついた老人から「あそこにポッカレモンは売ってましたか?」と聞かれた。homeportの近くには「100円自販機」がある。たまに缶コーヒーが飲みたくなるとき、私は100円自販機まで出かける。体調が悪いときは外出が億劫になるので、自販機までの短い道のりでも外に出ると、少しの気分転換になる。
   「あっ、ちょっと分からないです。見てきましょうか?」と私は返した。私がちょうど100円自販機から戻る場面を、老人は見ていたのだ。「あ、いや、大丈夫です。最近は100円自販機も値上がりしましたよね〜」、「そうですね〜」、それで会話は終わった。

  町内会的な何かとhomeportの接点を少し垣間見た黄金週間。「内」が大事なのだと思う。homeportの黄金週間は5月16〜20日です。
                                                            (担当 山崎)


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