2023年度:畑の日々のふりかえり
2023年度の3月、私は貸し農園で初めての畑を借りることになった。大学生に農の体験をしてほしいと、ある男性の方が2年契約で借りていた畑を譲り受けた。
そして、今年、2年目の春。すでに2回目のじゃがいもと、ラデッシュ、にんじん、里芋を植えた。今日は午後から一気に、夏野菜を植える。2週目がどんどん来る前に、初めての畑体験を振り返ろうと思う。
初めての畑経験を通して変化したこと
土や、そこにいる虫たちが愛くるしく、ずーっとみたくなる存在に!
育てている野菜が育つのはすごく嬉しい!実ができたり花ができた時は、すごく感動する。
でも、それ以上に、今まで出会ったことない生き物や現象に出会えることが楽しい、嬉しい、ありがとう、と感じるようになった。
そして、私が一番驚き、感動したのは、土の白いカビ?に出会ったこと。私が借りている畑は、化学肥料や農薬を外から持ち込むのではなく、畑の中にある草や生き物の力を借りながら、植物を育てていく。なので、周辺に生えている雑草を刈り、土にひき、土に還るようにする。特に夏は、1週間〜2週間後に畑に行くと、刈った草が枯れ、土に還る一過程に出会えることが多々ある。神秘的だ!
素手で触れ合いたい!と思うようになり手袋をしなくなった!
農作業の持ち物には軍手と書かれ、いつから軍手をすることが当たり前になっていたのだろう。最初は手袋をしていたのだが、ある日手袋を忘れて仕方なく素手で関わり、土の気持ちよさを知ったことをきっかけに、軍手を畑に持って行かなくなった。
夏の暑さに、裸になっている土と刈った草や植物がうわっている場所の土の温度の違いを感じるのは、素手でしかできない。
青虫が手の上でむぎゅむぎゅ動き、ちょっと気持ち悪い、、、と思うのも素手でしかできない(ごめんなさい、まだううう、と思ってしまうレベルです、、、)
白菜がとげとげして、収穫の時に、「痛!」と感じてギャアギャアいうのも、素手でしかできない。
こうした、素手でしか感じれない、植物の特徴や温もりを感じることは、畑との心の距離を近づける一つのコツだと思う。
ただ、どの環境でも外せるかというとそうではない。私は肌が弱いのもあり、農薬がかかっている植物に触れると、すぐ痒くなるため、手袋をせざるを得ない。私はもっと自然に近づきたい!そういうことからも、やっぱり農薬を使うのはやめようと思っている。
季節・天候の感じ方の幅が広がった
①日和は晴れだけではない!
畑を始める前は、雨ってなんか気持ちが鬱々とするし、服が汚れるし、遊ぶ場所も限られちゃうから、あんまり好きではなかった。でも、畑を初めて、雨が好きになった。
畑では、種まき、苗植え、雑草刈り、収穫、主にこの4つを行っている。そこには、もちろん晴れている方が良い場合もあるけど、雨や曇りこそが「日和」であることに気づいた!
「日和」。この言葉を辞書でひいてみると、
2番をみてみると、「晴れた」と書かれている。なにかをするのに、ちょうどよい天気が、きっと晴れ、ということを暗示的に意味しているのだろうか。
実際、「天気 日和」で検索してみると、やはり、晴れている様子が検索一覧に出てくる。
つまり、人間によっての日和は基本的に晴れ。
でも畑に関わってみると、タイミングによっては、曇りや雨が、なにかをするのに、ちょうどよい天気である「日和」になる(当たり前のことだと思うのだが、、、)
例えば、2023年度の6月にサツマイモを植え付けた。大雨の中で。靴も手も泥だらけになり、雨に濡れながら、黙々と植え付けた。貸し農園さんのスタッフさんに笑顔でこんなことを言ってもらった。
「今日はサツマイモ日和ですね。今日植えたらきっと根づきますよ。雨だけど、頑張ってください。」
2024年度の4月に人参を植えた時も、曇りで少しポツポツと雨が降り、明日雨が降る、という時に種を蒔いた。スタッフさんが、また「今日はニンジン日和ですね〜」とすごくにこやかな表情で言った。
雨や曇りに対してこんなに笑顔になる人がいるなんて。
②植えどきの旬は、その時の天候や未来からの逆算が大事!
植物には旬がある。植える時期の旬は、種の袋に、月単位で書かれていたりする。でも、農園で教えてもらってわかったことは、植える時期は、そういう大雑把の旬ではなく、その時の気温や湿度、芽生える時期や収穫の時期など、成長過程の天候を想像しながら、植える時期を決めること。「未来からの逆算」が必要なのだ。、今週雨が続くから今植えようかなとか、例えばじゃがいもだったら4月の上旬にも植えられるけど、そうすると梅雨の時期と収穫がかぶって腐りやすくなるから、梅雨の前に収穫ができるような時期(3月上旬から3月下旬くらい)に植えようかなとか。
今だけではなく、未来を生きながら植えどきの旬を感じる。なんて素敵なんだ!
楽しいだけじゃない、大変な畑時間
上記のように畑はとても楽しく、私にとってはストレスが一気に軽くなり、心地よい時間を過ごせる場所だったのが、夏はやっぱり、思い出しただけでも戻りたくない、、、と思ってしまうほど、大変だった記憶の方が強く蘇る。
特に夏は、永遠に雑草刈りをしている。二人の時は約4時間。途中でクラクラーっとして、銀色のキラキラが見えて、、、去年の夏のあの大変さを思い出したくないほどである。
この畑は、雑草も植物の栄養としているため、雑草は抜くのではなく、基本、刈っている(繁殖しやすい植物は根っこから抜いている)。だから、雑草を刈り続ける、というのもつきものだ。
今年の夏も、、、頑張る、、、
畑コミュニケーション
畑に来てくれた合計19人
畑は楽しい!一人でやりたいときの方が正直多いけど、いろんな人とやった方が楽しい時もある。そんな時は、研究会全体に呼びかけたり興味がありそうな人に声をかけてみた。来てくれた人は、初めて畑で何かをする、という人もあれば、畑が周りに当たり前のようなところで生まれ育ち、学校の近くで一人暮らしをするようになって、「土」「自然」の世界とは離れた、という人もいる。
そんな人たちは以下のような感想を抱いていた。
畑だからこそできるコミュニケーション
畑では、ご飯に行くよりも、圧倒的にその人のことを知り、仲良くなれる気がする。同級生であっても、研究会の新規生で、初めてちゃんと話す人でも、先輩後輩関係であっても。気づいたら、話しちゃってる、ことが起きているような気がする。最近の悩みの話から、前はどんなことをやっていたのか、恋愛事情などなど。
なんでか。
一つは、雑草を刈りながら、話ができる、つまりお互い顔を見ないで話続けることができるからかなと。ドライブの時に運転手と助手席の人が前の景色を見ながら話すことができる構造と一緒だと感じる。
あとは、建物によって景色が遮られておらず、開かれたあの空間が心を開放的にしてくれているのかもしれない。
今年も、仲良くなりたい人は、畑に誘おうと思う。
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