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お弁当と高校生

 息子が高校に入学して間もない頃、ある日学校から帰ってきて「『一緒に弁当食べん?』ってクラスの人に声かけてもらった」と嬉しそうに話してくれた。選んだ高校は高台にあり、家からは自転車→電車→最寄駅に置いている自転車を使って通っていたので周りは知らない人ばかり。多分心細かったのだろう。
 学校に慣れてくると軽音楽部に入り楽しい高校生活を送っていた。勉強は全然していなかった。「腹が減る」というのでお弁当とは別に小さいおにぎりをリラックマのおにぎりケースに入れて持たせていたのを、時々「友だちに食べられたー」と笑っていた。弁当箱は2段式で、おかずの容れ物の隙間にブロッコリーとミニトマトを詰めていた。そのミニトマトを「狙う友だちがいるんだ」と言っていた。
 軽音のパートはドラムだったので、だんだんと増えてくる機材を息子込みで何度も学校まで運んだ。その頃のライブの写真が私のFacebookに残っている。

 高三になり、いよいよ卒業という頃。最後のお弁当を作った朝、私は普段より少しお高めのミニトマトを買って綺麗に洗いパックに入れ「友だちにあげんさい」と渡した。

 子どもたちが中学〜高校時代、親としてはとても忙しく大変なことも多かったが宝物のような時間だったと今にして思う。
 離れて暮らしている今、彼は毎日自分のお弁当を作っているらしい。あまり聞くとウザがられるので(男の子は厄介だ)おかずの中身は聞かないけれど、作り置きのおかずも作っているそうだ。
やるじゃん。

※タイトル画像は、私がいつも作るお弁当です。

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