ヒンメルストラッセ
サン=テグジュペリの『星の王子さま』の中で、私が最も好きな箇所は冒頭の献辞だ。
そこには、レオン・ウエルトというユダヤ人に本書を贈る理由がこう書かれている。
『そのおとなの人は、むかし、いちどは子どもだったのだから、わたしは、その子どもに、この本をささげたいと思う。おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)』
私がほんの小さな子どもだった頃、初めてその言葉に触れた瞬間、癒しとも安心とも、衝撃ともつかぬ奇妙な感覚に襲われ