佐吉のハワイイ研究

誰もが知るハワイイとは違う、観光客も在住者さえも見過ごしているハワイイを、あれこれ観察…

佐吉のハワイイ研究

誰もが知るハワイイとは違う、観光客も在住者さえも見過ごしているハワイイを、あれこれ観察してはレポートにまとめています。「ハワイイ」はもちろん、作家・池澤夏樹さんの「ハワイイ紀行」からの拝借。 https://www.instagram.com/hokuleasakichi/

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ハワイイ研究序説

まったく興味がなかったハワイイに、2003年のホノルルマラソンで初めて足を踏み入れたのを契機にして、やがて彼の地の風土や文化に強く魅せられ、ほぼ毎年訪れるようになりました。 でもステキなショップや流行のグルメ、レジャースポットやアクティビティなど商品化された面にはいっさい縁がなく、限られた滞在期間中、仮の生活者ごっこをしながら、ひたすらに「観察」を楽しむというスタンスです。 その観察した小さな素材からいろいろ思索し、あれこれ調べ、場合によっては実証実験などもおこない、写真付

    • #021 ハワイイのローカルスナック・ワントンチップスに潜入したいが…

      素朴な名物・ワントンチップス。 ワンタンの皮を揚げて、あるかないかのごく薄い塩味を付けた、ハワイイのローカルスナックです。 ハワイイ島のヒロで作られていることは以前から知っていて、2018年には、事前に所在地を調べておいたうえで、このワントンチップスを製造する「マエボー・ヌードルファクトリー」の工場の場所まで行ってみたことがあります。 https://x.gd/Y0oiY が、同じくヒロにあるアテバラチップスの工場が、ごく普通の住宅の裏のガ

      • #020 ハワイイが舞台の映画「ファミリー・ツリー」にまつわる巡礼

        「ファミリー・ツリー」(原題:The Descendants「子孫たち」)は、2011年公開の映画で、ジョージ・クルーニーが主演。 その舞台はハワイイですが、リゾート&アクション映画ではありません。 彼が演じるマット・キングは、不動産取引の法律を専門とする弁護士です。ちなみにマットは通称で、本名はMatthew(マシュー)。 仕事人間のマットは、まじめに仕事に向き合うあまり家庭を顧みることを怠ってきたため、妻エリザベスとは長らく会話がなく、さらには妻に任せっぱなしにしてきた

        • #019 ハワイイでメジャーなふりかけの素性に迫ってみたら

          ふりかけ。 ハワイイにおいては、「FURIKAKE」はごく普通の食材ですよね。スパムむすびとかポケボウルなどのごはん食の引き立て役にとどまらず、いろいろな場面で使い勝手のいいシーズニングとしてマルチに活用されているようで。  それゆえハワイイのスーパーマーケットではさまざまなふりかけが販売されておるわけですが、なかでも最も代表的かつ売れ筋と見受けられるのが、冒頭の写真のもの。 NORI KOMI FURIKAKE/海苔香味ふりかけ (味付け海苔の小片を含むふりかけ)

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        ハワイイ研究序説

          #018 フラの祭典、メリーモナーク・フェスティバルに見るオキナ問題

          ハワイイのテレビ局であるK5がライブストリーミング中継をしているフラの祭典、第61回 メリーモナーク・フェスティバルを観ておりまして、合間のコマーシャル映像のひとつとしてハワイイ・フォード・ディーラーズのそれが流れるんですが、 ロゴの表記が HAWAIʻI ではなくて HAWAI'I になっているのが非常に気になる。 ⁡ いやnoteのフォントで書くと判別しにくいんですけど、つまり、本来のオキナではなくアポストロフィになってるんですよね。 これ、誰も指摘せずに通っちゃったんだ

          #018 フラの祭典、メリーモナーク・フェスティバルに見るオキナ問題

          #017 ハワイイのスリフトストア物件報告-幻の APEC USA 2011

          不定期に、ハワイイのスリフトストアで購入した物件を紹介していきます。 今回は、2011年にアメリカで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)の際に生産された "らしい" 、デニムのトートバッグです。 ⁡ 冒頭の写真のとおり APEC USA 2011 CALIFORNIA HOST COMMITTEE のロゴ入り帆布タグが縫い付けられていて、その面はデニム生地が裏返しで使用されており、なかなかひねりの利いたデザインになっているんです。 全体はこんな感じ。⁡ これ、ホスト都

          #017 ハワイイのスリフトストア物件報告-幻の APEC USA 2011

          #016 ハワイイのスリフトストアはワンダーランドだと思う

          ジョギングをしたり、蕎麦を茹でてラナイで食べたり、スーパーに買い物に行ったりと、短いハワイイの滞在中でも日本にいるときとたいして変わらない日常を過ごします。 むしろ「日頃と同じ生活行為を異なる環境でやることで際立って感じられる、違いの部分」を楽しんでいる、という感じ。 そのなかで、スリフトストアを巡ることだけは、少しスペシャルな行為です。 thrift=倹約。 衣食住全般にわたる各種の雑多な寄付物品を、非営利で販売している店のことを、スリフトストアと称します。 ハワイイを

          #016 ハワイイのスリフトストアはワンダーランドだと思う

          #015 ハワイイの州鳥・ネネのふしぎな旅

          このくらいの鳥だと 人間語が通じそうな 気がしてしまう ⁡ のは ⁡ ニルスのふしぎな旅 のせいですな (世代限定) 「ニルスのふしぎな旅」に登場するモルテンは家禽であるガチョウですが、ハワイイの州鳥であるネネ(Nēnē)は、ハワイイ諸島に渡って定住進化した固有種で、その祖先はカナダガンです。 典型的なカナダガンは、アメリカ南部で越冬し、春になると北上して、繁殖と営巣のために北極または亜北極地域の同じ場所に戻っていく。24年とされる平均寿命の過程で、毎年これを繰り返すらし

          #015 ハワイイの州鳥・ネネのふしぎな旅

          #014 「Nico's Pier 38」といいますがホノルル港の埠頭は何番まであるのか問題

          ホノルル港。 2019年の1月に、サンドアイランド側から撮ったものです。  例えば「38番埠頭」をその名に掲げてよく知られているレストランがあったりしますよね。 でも実際のところホノルル港の埠頭は何番まであるのか? という、これまた普通の人にとっては興味の埒外でどうでもいい、しかしそれゆえに、なかなか知ってる人がいないことがどうにも気になって、調べてみたことがあります。  結論として、53番まで存在するようです。 情報ソースは何かといいますと、ハワイイ州政府・運

          #014 「Nico's Pier 38」といいますがホノルル港の埠頭は何番まであるのか問題

          #013 ホノルル ウォールアート考現学

          物件の所在地は、ホノルル空港近くの、H1の北側。 マプナプナと呼ばれるエリアです。 AWA STREETという、細い道沿いにあります。 ガチャガチャした雰囲気の、路面状態の悪い倉庫街、というか工場街というか。 そうだなあ、さしずめ、昔の殺伐雑然としていたカカアコをさらに三倍くらいに増幅させてガチャガチャさせた感じ、とでも。 自動車整備工場なんかも多いかな。 つまり観光客が足を向けるところではありません。 その街を、カカアコのように再開発し戦略的にステキ化しようというマ

          #013 ホノルル ウォールアート考現学

          #012 タロイモエグエグ

          この写真は、カウアイ島の北部、ハナレイにあるタロイモ畑。 じつは我が家にも、ここから持ち帰ったタロイモがあるんです。 タロイモには500ほどの品種が存在する中、流通種となると100未満だとのことで、代表的なものとして Moʻi(モイ)、Lehua(レフア)、Haʻakea(ハアケア) などがあるらしい。 で、そのタロイモを蒸してから、少量の水と合わせて搗いて、緩いペースト状にしたものが、ポイと呼ばれる食べ物です。 紫色と灰色の中間色のような風合いの、ハワイイアンの

          #012 タロイモエグエグ

          #011 フラガールの謎と、文化的グルーミングについて

          フラガールを商標に使っているハワイイのローカル商品として、例えば思いつくのが上の写真。 ワイアルア・ソーダワークスというブランドの、清涼飲料のラベルです。 それから、 ローカルスーパーで見かけるハワイイ産の乾麺「HULAそうめん」や「HULAうどん」などで知られる、MODERN MACARONI社。 乾麺に限らず、このとおり、片栗粉やきな粉も作っているんです。つまり、製麺業というより粉もの全般業ということなんでしょうか。⁡ オアフ島カリヒにあるこの会社、わたくしの調査の経

          #011 フラガールの謎と、文化的グルーミングについて

          #010 醤油に白鳥とはこれいかに

          2022年のデータによりますと、ハワイイ住民における人種別の構成比はこんな感じ。 全人口比の三割強を占めるアジア系において最も多いのがフィリピン系住民の14.8%で、日系の11.6%を上回っています。 英訳すると一律に soy sauce と表現できるものが、日本の醤油の他にもアジア各国に存在する中、フィリピンにルーツを持つ人たちにとってもそれは欠かせないものであるらしく、トップの写真はオアフ島ワイパフのフィリピン系大型スーパー Seafood City Supermar

          #010 醤油に白鳥とはこれいかに

          #009 デカいアロハ醤油を買って帰った話

          2023年。 ハワイイ島への到着日がブラックフライデーでしたので滞在先のチェックイン前にCOSTCOに寄りまして、ビールとかいろいろ買い出しなどをしていたところ、アロハ醤油のガロンボトルの特売を見つけてしまいました。 もともとアロハ醤油は「補充購入するべきものリスト」に入れてはいたんですが、もちろんガロンボトルを買うなどとはよもや想定などしておらず、しかしそれにしても安いので、緊急の家族会議を経て購入決定。 とはいえ1ガロンって約3.8リットルなわけで、重いしデカいし、現

          #009 デカいアロハ醤油を買って帰った話

          #008 君はアロハ醬油を本当に知っているか(後編)

          アロハ醤油について、前編・後編の二本立てでお送りしておりますが、これらはもともと、インスタグラム上で2019年に報告していた複数の投稿を、今回のnoteへの掲載に際して内容を改めて照査し、再構成したものなんです。 照査を進める中では、2019年の時点において存在していたのに、今は無くなっていることが判明するものもある。 今回の後編では、その「あれ?消えた?」という実例を、具体的に示していきます。 --------- 当時、日本のamazonで販売されていたア

          #008 君はアロハ醬油を本当に知っているか(後編)

          #007 君はアロハ醤油を本当に知っているか(前編)

          ハワイイの人の食生活に欠かすことのできないアロハ醤油。 このアロハ醤油って、日本で醤油という場合にイメージする、微生物を介した発酵醸造とはまったく違っており、その発酵過程を経ることなく化学的に製造されているんです。 ⁡日本では、醤油というものをJAS法で次のように定めています。 ・大豆を原料に使用し ・醸造などの製法区分(詳細省略)に則って製造されているもの しかし、この日本ローカル定義とはぜんぜん別のShoyuもある、ということです。優劣の話ではなくて。 具体的には

          #007 君はアロハ醤油を本当に知っているか(前編)