カジノ(2023.11.18)

知らない世界が隣り合って世界は構成されている。

先週末xxから一本の誘いの電話が入り、土日で韓国のカジノに行ってきた。飛行機からホテルから何から何まで手配してくれるため、パスポートと服だけあれば良いとのことだった。

仁川(インチョン)にあるパラダイスシティという商業施設で、買い物やレジャー目当ての一般市民からカジノ目当ての高所得者層まで幅広い人々が土日ということもありわんさかと訪れていた。改めてパラダイスシティって名前すごいな、コナンの映画とかに出てきそうなネーミングセンス。

飛行機に乗るたび思うのだが、飛行機から見える景色が結構好きだ。あの景色が観られるというだけで、飛行機代の価値があると思う。上空からみた東京は思ったよりも小さな都市だった。やはり密度がおかしいのかも。アシアナ航空の機内食は前食べた時より美味しかった。白米に加えパンはいらないけど。韓国と比べると日本は規格化された高層のマンションってあんまりないなと思った。あと土地も平ら。韓国の家の屋根はどこも平らで緑色。

パラダイスシティは仁川空港から車で5分程度の場所に位置している。僕は単独行動で行き帰り金浦空港から向かったが、xxの采配で行き帰り個人タクシーの送迎付きで恐れ入る。このまま知らない場所に連れて行かれて人体売買とかされる可能性もゼロじゃ無いと思った。

お金を持っていて、ある場所である程度のお金を消費していればそれ相応の対応を提供するという仕組みを今回の旅行で身をもって感じた。実に資本主義的で、人間の快楽に添ったサービスだと思う。ストレスの無さとか承認欲求とか。

高速道路の車窓から変わった形の建物があるな〜と見ていたら、それがまさしくパラダイスシティであった。商業性とアート性を持った豪華な建物。商業とアート(デザインではなく)を掛け合わせると少し下品な雰囲気になるのは何故だろう。

車から降りるとスーツのお兄さんが出てきて、ロビーまで案内してくれる。馬鹿でかいドアに馬鹿でかいテーブルや椅子や絵に出迎えられ、同じように空港からの個別送迎でやってきた方々(基本的に全員日本人)がチェックインしたり、カジノの用意をしていた。基本的にみんなギラギラの雰囲気をしており、中にはパパ活的な女子もいた。

手続きを済ませ豪華な廊下を進むと草間弥生のカボチャ(でかい)が出てきて驚く。ここにまで彌生の波動が及んでいるとは…、知っているものが知らない場所で活躍している場に遭遇すると、慄くというか、お前すごいやつだったんだなと身に沁みる。カボチャの他にも半分筋肉模型、半分黄金のエグい馬とかが居た。

部屋はとても綺麗で、入った時テレビにwelcome"自分の名前"と表示されており、おお、と思った。スイッチでスモークになるガラスとか、拡大鏡とか、テレビは日本の局が映るとか感動した。
xxが来るまでしばしネットでパラダイスシティとカジノのことを検索していた。受付でもらったカジノのカードは何やらすごいらしい。

xxとxxとxxと合流し、みんなでxxの部屋に行く。ロビーのところで色んな人に挨拶をしていた従業員のチーフっぽいおじさんが、xxにも頭を下げていた。xxの部屋は僕の部屋よりもコンセプティブ&オシャレな雰囲気でさらにすごく、入室すると窓の自動開閉式カーテンが開いていき外の景色が見えた。

カジノに向かう。彌生のカボチャ前に入り口がありカジノの会員カードを見せて中に入る。カジノ内は撮影禁止。韓国籍の人はカジノが出来ないため日本人と中国人がほとんどで、酔狂な韓国人は籍を外国に移しやってきているらしい。

カジノ場は思ったよりも大きく、ディーラーと卓で遊ぶゲームからスロットマシーンなどのテレビゲームみたいなものまで、様々なものが沢山並んでいた。その中でも普通の人が遊ぶコーナーと、VIP(沢山お金を使う人)が遊ぶコーナーは分かれており、VIPの方が入り口に近い場所にあった。

まずは腹ごしらえということで、カジノ内のラウンジで食事をとる。xxはグレードの高い会員カードのため、そこでの飲食費は無料とのこと。うなぎと鮑の粥を食べた。満腹度7。

遂にカジノの現場に立ち会う。デポジットしておいたお金(または持参した現金)をチップに変えて遊ぶ。デポジットは1,000万円〜預けないとダメなんだそう、xxは現金をチップに変えていた。ここでは自分のチップしか使用できない。

xxたちは基本的にバカラしかやらないそう、比較的ルールが簡単なゲームなので観ているうちに段々と分かってきた。要はトランプを使ったジャンケンで、先手と後手どちらが勝つか当てるというもの。

旅行中7時間くらいバカラを見ていたが、ゲーム性は非常に薄いため(流れだったり出てきたカードから予測する等はあるが、あくまで運が殆どを締める)皆お金を賭けたギャンブルが楽しくてやっているのだと分かった。ギャンブルはれっきとした趣味なのだ。

バカラではディーラーから配られる伏せた状態のトランプをめくって、賭けが当たったか外れたかを確認する。めくり方として、伏せられたカードの縦や横を折りながら徐々に開いていく「絞り」と呼ばれる所作がある。どんなめくり方であれカードの結果には一切関与しないのだから意味が分からないと最初思ったが、見ているうちにその行為の意味も分かってきた。

あれは賭けという行為をより味わう為の演出だ。もらった絵札をパッと表にするのでは味気ない。絵札なのか、マークが何列あるのかというのを徐々に徐々に見ていくことで、脳汁を出す。そのことが快感であり目的なのだ。ことVIP席においては、儲けたいという感情よりもギャンブルを楽しむために足を運んでいる人が多い気がする。

自分がギャンブルをやれるだけのお金と地位みたいなものができた時に、やってみても良いのかもしれないと思った。少なからず今やってもいいことは無さそうだ。それにしてもカジノに行くと分かっているのに全く参加する気がないあたり、自分は夢がないというか、以外と現実主義なんだなと思った。

僕がカジノでとても気に入ったのはディーラーのチップやトランプの取扱の所作だ。特にチップをカチャカチャと積み重ねたり並べたりする所作がとても綺麗かつ音が心地よかった。

チップは金額ごとに色が異なっており、ディーラーの手元にオセロの収納ケースみたいな感じで沢山並べられている。

例えば同じ20枚のチップを渡す際、ガバッと20枚ほど手元のチップを掴み取り目の前で5枚のタワーを4つ並べる。最後のタワーをトランプの様に広げて5枚あることを確認したら再度4つのタワーを一つのタワーにまとめて客に渡すという感じ。上手い人はこの時20枚分だけ(必要な分だけ)とっていた。この時のチップ捌きや手指の動かし方がみな洗練されていて、見ていて気持ちが良い。

金額の大きいチップを細かいチップに変える作業も上記の様に数えたのち「〜チェンジーング」と片手をあげて宣言することや、装置から一枚一枚トランプ抜き取る指と手の動き、ディーラーが交代する際に両手を客先に向けて翻す動作など、どれも上品で綺麗だった。ディーラーは皆若い男女だったが、何か理由があるのだろうか。

チップをカチャカチャするというのは、ボードゲームで駒や小物を扱う悦びに似ている。人間、根源的に手遊びが好きなんだと思う。

23時〜明け方4時くらいまでバカラをやっていたが、カジノ場から人がいなくなることはなかった。なんならずっとそれなりに人が居た。夜中にやる悪いことはそれだけでワクワク度3割マシだもんな。

負けた時はみんなくらい顔をするし、盛り上がる時には歓声が上がっていた。
途中で頼んだハチミツティーはこれまで飲んだ飲み物の中で1番甘かった。甘すぎて目が覚めることがあるのだなと知った。

改めてVIPのカジノ場は狂っている。まずバカラ1回にあたり最低賭け金は500,000W(5万円)〜。進行が早ければ1〜2分で決着する為、万単位のお金が凄い速さで消えたり増えたりする。xxたちは基本5〜10万くらいでベットしていたが、なかには30万円前後を平均的にベットしている人もいた。5時間くらいでxxは200万近く失ってたけど、時々隣に来た40才くらいのお兄さんはこの一晩で1,500万負けているとのこと。

他のテーブルを見渡すと10,000,000Wのチップが20枚くらい(2,000万円以上)手元にあるおじさんもいて、素直に凄いなぁと思った。やはり金額が大きいほど燃えるものなんだろうか。ギャンブルをやりたいとは思わないけど、ハマれば意外と楽しい趣味なのかもしれない。

あと意外だったのがこんな大金を扱っているのに、思ったよりもラフな雰囲気・ラフに遊んでいるということ。
まずお金をチップに換えるということにカラクリがあると思う。扱っているのがチップだとゲーム感覚に陥り、「深刻さ」みたいなものが半減している。カジノは国内で禁止されているが、確かにこれでは人生がめちゃくちゃになってしまう人も出てくるであろうから、制限するに越したことはないなと思った。

あと根本的にここに来る人はそれなりに財力だったり知見があるわけで、楽しみ方をわきまえているのだと思う。

今回の訪問のメインでもあるディナーショーについて。簡単にいうとカジノの日本人太客に対して会食とエンタメ(プレゼント抽選会&TUBEの生演奏)を用意したもの。プレゼントは普通のくじ引き大会であれば1等でも上がらない様な景品(グッチ、ヴィトンなどのブランド品)のみで構成されており、ポンポンとそれらの鞄や財布が渡されていく様子は異様だった。TUBEの演奏はとても楽しめた(シーズンインザサンとても良かった)。会場で木村恵子の電話しないでがかかっており、シティポップはまだ終わってないなと思った。ディナーショーが終わった後、1人2万の焼肉を食べる。どうにかしている。満腹度9。

朝方、倒れる様に寝た。

昼起きてバイキングに行く。蟹、肉、鮑、和洋折衷なんでもござれ、どれもとびきり美味しいというすさまじきバイキング。ただ、お腹はそこまで空いてない。それでも、沢山食べた。いつも通りxxはみんなに食べろ食べろと言い続けていた。噛むなという食育。

ホテルのサウナにもタダで入れるとのことで1人向かう。
適度な広さの、綺麗な更衣室と浴場とサウナ室。人はまばらで、掃除も行き届いている。カランを使ったらその後、係の人がタオルでカランを拭いていた、改めて考えるとホスピタリティが異常だ。
人が居ない広くて綺麗な風呂、サウナ、更衣室は控えめに言って素晴らしかった。アメニティ類もしっかり揃っていて、質も悪くない、使い放題。

半VIP体験をして思ったけど、何もしなくて良い&何をしてもよいという快適さは異常だ。時間的・空間的・精神的窮屈さから解放されてストレスフリーすぎる。
ビジネスをやるとして、こういった方面でサービスを提供する方が価値が高いし良いなと思った。

昼過ぎからまたバカラしているのをみた後17時ごろに車を手配してくれたのでxxに見送られながら帰路についた。

空港のコンビニでお土産を買って、何やら芸能人の人々も見た。帰りの飛行機でこの日記を書いている。

知らない世界に足を踏み入れることは刺激的で、はちゃめちゃに面白い。
今回のギャンブルに比べると、本を読むとか美味しいご飯を食べるとか超安上がりだと思った。いや、単に金銭感覚が破壊されているだけかも。

年間1億ウォン(1,000万円)以上使った人のためのスロットルームとかあったな。

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