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『こども誰でも通園制度』をわかりやすく解説!何のためにやるの?

2023年6月岸田総理より「こども未来戦略方針」という、こども達の未来をどのように支援していくかの方針が発表されました。その中で、保護者の就労要件等を問わずに保育所等を利用できる『こども誰でも通園制度』の実施が盛り込まれ、社会全体で大きな話題となりました。

2023年11月『こども誰でも通園制度』における制度概要が中間発表されました。現在はモデル地域で試験的に実施されており、地域拡大に向けて、修正や検討がおこなわれています

今回は中間発表より「そもそも、なぜこの制度が必要なのか?」という大枠の部分を解説します。保育関係者はもちろん、子どもに携わる多くの人が知っておいて損はない内容になっています。ぜひ、最後までご覧ください。

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。

この記事は以下の資料を参考に作成しています。

第3回こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会(令和5年11月8日)の議論を踏まえた修正資料


『こども誰でも通園制度』とは?

まずは『こども誰でも通園制度』の概要についてご説明します。

こども誰でも制度とは?
「親が就労している」などの要件を満たさなくても、誰でも定期的に保育園や幼稚園の預かり保育、こども園等の施設を利用できる制度です。対象は0歳6カ月~2歳までとされており、月10時間を上限に利用することができます。現在モデル地域で試験的に実施されており、今後は全国的に拡大していくことを目指しています。

現在、全国各地の31自治体、あわせて50施設でモデル事業として試験的に実施をしています。


『こども誰でも通園制度』はこどものための制度

こども誰でも制度を正しく理解するにあたり、大切な前提は「こどものための制度である」ということです。なぜ、『こども誰でも通園制度』が必要なのでしょうか?ポイントは以下の3つです。

『こども誰でも通園制度』が必要な理由
・こども基本法で「こどもは福祉・教育を受ける権利」が定められている。
・0歳児から2歳児のこどもの6割は保育園に通えていない。現状がある。
・保護者のSOSに気づくことが出来る。

それぞれ解説していきます。


こども基本法で「福祉に係る権利、教育を受ける権利」が保障されている。

こども基本法第三条基本理念では以下のような文章があります。

全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。

こども基本法第三条二

『こども誰でも通園制度』の対象である0歳6カ月~2歳の保護者が就労していない家庭のこどもは、”保育所”の福祉サービスを受けることができません(”福祉”をどのように捉えるかにもよりますが)。

こどもの健やかな育成のためには、家庭だけでは限界があります。保育士や幼稚園教諭のような専門職の人との関わり、同年齢の他児との触れ合い、発達に合った環境で過ごすこと、これらの事を経験するには、保育園のような施設が最適なのです。

こどもは「家庭で育つ」から「社会で育てる」という意識の変換期を迎えていますね。

しかし、私見ですが専門職との関わりやこども達同志の触れ合いは、あくまで継続的におこなうことが重要だと考えます。こども同士で一緒に遊ぶなかで喜びや悲しみを共有し、時には保育者と気持ちを共感することで、こども達の学びに繋がります。その関係性は一朝一夕でできるものではありません。こどもの福祉という観点で捉えるならば、時間数や頻度などはポイントになるのではないかと思います。


「0歳児から2歳児のこどもの6割は保育園に通っていない現状」がある。

こちらは令和3年に厚生労働省が公表した「保育を取り巻く状況について」の中の資料です。これによると、0歳児の84%、1歳児の55%が就園していない状況にあります。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

未就園自体は問題がないのですが、現在の日本では未就園のこどもの養育をカバーできる制度が多くありません。そこから保護者の虐待問題へと繋がってくるのです。

保護者のSOSに気づくことが出来る。

こちらは、先ほどの「保育を取り巻く状況について」の中で公表された「児童相談所における虐待件数の推移」です。このデータによると、10年前(平成21年)は44,211件だった児童虐待が、令和1年では193,780件と4倍以上になっていることがわかります。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

すごい右肩上がりですが、これは『今まで発見されてこなかった潜在的な虐待も見つかるようになった』とも捉えられるので、悪い事ばかりではありません。しかし、この虐待の件数は何としても減らさなければならないと思います。

こちらのグラフは死亡時点のこどもの年齢の割合です。
0歳児で40.7%、1歳児で11.1%、2歳児で5.6%と全体の半分以上が0歳~2歳までとなっています。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

また、資料の中に「子育て家庭の支援ニーズ」の調査をしたものがあります。これは「子育てしているときにどんな事が辛かったか?」という調査をしたものです。それによると、以下のニーズが多いことが分かりました。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)
  • 「子育てをしている親と知り合いたかった(71.9%)」

  • 「家族以外の人と交流する機会があまりなかった(57.2%)」

  • 「子育ての悩みや不安を話せる人がほしかった(55.4%)」

やはり子育てについて、話せる人がいないというのは辛いですよね…。

こうしたデータを受けて、『福祉サービスと繋がっていない・繋がることのできない「0歳~3歳未満」の虐待をどのように防ぐか?』という事が当時の厚生労働省の中でも課題にあがりました。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

『こども誰でも通園制度』の大きな意義として、行政が保護者の養育状況を把握し、短時間でも福祉サービスと繋がることができるようになります。
つまり、乳幼児の命を守ることが可能になるのです。


こども・保護者・保育園…それぞれの意義とは?

ここまで、『こども誰でも通園制度』を作る必要性を解説してきました。
ここからは、この制度がこども・保護者・保育園にとって、どのような意義があるのかを解説していきます。


こどもにとっての意義=家庭とは異なる経験ができる。

こどもの視点から考えると、こども誰でも通園制度』は以下のような意義があるとされています。

・保育施設という「人的・物的・空間的」に配慮された環境の中で、家庭はと異なる経験がこども達の成長に繋がる。
・地域に出て行って、家族以外の人と関わることができる。
・こどもに対して専門的に理解している職員が見守る中で、同じ年代の子どもと触れ合うことができる。
・保育者が保護者の支援をすることで、家庭での関係性も良好になる。

家庭の中ではできることに限度がありますし、保育園はこども達が初めて経験する「社会」です。肉親とは異なる人との関わりの中に学びがあります。

議論の整理の中にも以下の文章が強調されています。

こども誰でも通園制度は、保護者のために「預かる」というサービスなのではなく、保護者とともにこどもの育ちを支えていくための制度であることを確認しておく必要がある。

「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた 試行的事業実施の在り方に関する検討会 における現時点での議論の整理」こども家庭庁

あくまで意義は「こどもの育ち」の部分に焦点があてられています。

しかし、これは私見になりますが、通常の園児との大きな違いとして「指導計画」が立てられない点は大きな課題だと感じています。

本来、保育の計画は、継続的に保育をおこなう中で、少しずつこどもの特性や発達を確認しながら、次の発達へ促すように物的環境や人的環境(関わり方)を整えていきます。目の前のこども集団に合わせて、環境の方を整えていくのです。

それが月上限10時間という、短い時間のなかで特性に合わせた環境が用意できるのかどうかは、疑問に思います。


保護者にとっての意義=育児負担の軽減

保護者にとっての一番の意義は育児負担の軽減でしょう。
物理的にもそうですが、専門職と関わることにより、ほっとしたり、孤立感や不安感の軽減が期待されます。

・悩んだ時に身近に相談できる人がいるのは心強いですよね。


保育園にとっての意義

保育園にとっての意義は多機能化にあります。この部分は保育施設における意義、保育士における意義と両方の視点を見ていきます。

保育者における意義=専門性の発揮

『こども誰でも通園制度』により、こどもは保護者の要件に関わらず、集団生活を経験をすることができます。保護者に関しても多くの人が「子育て支援」を受けられるので、保育者はより多くの人に専門性を発揮することが可能になります。

一方で、以下のような課題もあります。

・こども毎に在園時間が異なることを踏まえ、現場の実情に応じた職員体制等のマネジメント、リスク管理、従事者間の情報共有が適切になされることが重要となること 。

・こどもを理解するには一定の時間がかかるため、こどもの特性等を把握するアセスメント力が求められること。

・保育の実施を目的とする保育所等では、こども誰でも通園制度のこどもを預かることで、保育所等に通っているこども達の保育に支障があってはならないという意識も重要であること。

・この制度を効果的に運用するために、どのような専門性・研修が必要なのか、更に検討が必要であること。類似した事業である「一時預かり」では、職員はネガティブな感情を持っているわけではなく、非常にやりがいを持っているものの、心身の緊張が多い、との調査が報告された。保育者のやりがいや緊張感にも留意した検証を行っていくこと。


保育施設における意義=多機能化

保育施設は今後「多機能化」していくことが求められるようになります。
それは人口減少により、今までの機能を維持することが難しくなってくるからです。

これまで引用している厚生労働省の「保育を取り巻く状況について」の中に、今後の日本の人口の推移予想があります。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

これによると少なくとも、今後数十年に渡り、日本の人口は減少していくことが予測されています。

このデータは2021年のものですが、予想以上の速さで少子化は進行しているようです。

さらに、こちらは保育所の利用児童数の今後の見込みのデータです。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

これによると、利用定員数は2025年でピークとなります。それ以降は、少子化の影響で定員が埋まらない保育園が多くなってくる見込みとなっています。定員が埋まらないと園を運営する委託費は当然入ってきません。

すでに経営が赤字になっている社会福祉法人も多く、2023年度は1/3もの法人が赤字になったことが話題となりました。

福祉医療機構(WAM)が18日に発表したレポートで、2022年度は社会福祉法人の3分の1以上が赤字だったことが分かった。サービス活動増減差額比率もここ数年で最も低く、WAMは「物価高騰により経営状況が悪化したのは明らか」としている。

全国の社会福祉法人8298件の決算を分析した。赤字法人の割合は36%と前年度より4・4ポイント増加。介護が46%と半数に迫る勢いで、障害が36%、保育が25%だった。

2024年03月26日福祉新聞編集部

今回の赤字は物価高の影響とされていますが、少子化による経営悪化も要因に入っていると思います。

すでに人口減少が進んでいる保育所では統廃合がおこなわれています。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

統廃合の理由として挙げられるのが「多機能化をはかるため」や「定員充足率をあげるため」という理由が多い事が、この表から読み取れます。

(画像:「令和3年保育を取り巻く状況について」厚生労働省)

つまり、保育所等の施設は、これまで通り「働く保護者の子ども」だけを対象にしていては、維持することが難しい時代が訪れるのです。

それは令和3年に行われた「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」という、今後の保育所の在り方を決定する会議の中でも方向性が示されています。

園の運営にはこれから「多機能化」という視点は欠かせなくなってくるのかもしれませんね。


一時預かりではダメ?

「必要なのはわかったけど…それなら一時預かりでよくないですか?」
このように思う方も少なくないでしょう。もちろん一時預かりではなく、あえて新しい制度を作ったのにも理由があります。

一時預かりではなく、こども誰でも通園制度にした理由
・給付制度とすることで一定の権利性が生じる。
・全国どの自治体でも共通で実施することで、制度利用のアクセスを向上させる。


給付制度とすることで一定の権利性が生じる。

そもそも、一時預かりの目的は以下の2点です。

一時預かり制度のねらい
①家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳児又は幼児。
②子育てに係る保護者の負担を軽減するため、保育所等において一時的に預かることが望ましいと思われる乳児又は幼児。
①②を対象に一時的に預かり、必要な保護を行うこと。

あくまで対象は「保護者」にあります。一時保育とこども誰でも通園制度の最大の違いは「事業と給付の違い」にあります。一時預かりの制度はあくまで「事業」ですので、利用する場合は保育所等に直接申し込みをします。
予約も自分でおこないますし、空いている園があるかどうか手配するのに負担がかかります。

しかし、『こども誰でも通園制度』では、行政から認定が下りれば、サービスを利用する権利が生まれます。もし、仮にサービスを利用できない場合も責任は保護者ではなく、行政や保育所等側に発生することになります。

また、一時預かりは「本当は福祉サービスと繋がって欲しいけど、利用しない人」には向きません。行政は「園にどれくらい利用者がいるのか」の数は把握できますが、「誰がどれくらい一時預かりを利用しているのか」までは把握することはできません。虐待等を防ぐためには、この層への積極的なアプローチが必要となります。行政側はこの家庭へのアプローチを強化することができます。


全国どの自治体でも共通で実施することで、制度利用のアクセスを向上させる。

『こども誰でも通園制度』を作る、もう1つの理由として「全国どの自治体でも共通で実施する」ことが挙げられます。一時預かりを実施するかどうかは、園の運営者で決まります。

例えば、「近くに保育園はあるのに…一時保育をやっている園が遠い場所にしかない」のような場合、一時保育を利用するのに、かなりハードルが高いと言えます。しかし、給付制度にすることで、全国どの自治体でも共通で実施すると、利用のハードルは低くなるのでしょう。


なぜ月10時間なの?

こども家庭庁の見解

制度のことはわかりましたけど…月10時間じゃ意味なくないですか…?」このように思う方も多くいるでしょう。こども家庭庁では「上限月10時間」に対して以下のように説明しています。

・こども達が、地域の中で家族以外の人々に見守られながら触れ合ったり一緒に遊んだりする機会を得られにくくなっている事から、こども一人につき「月10時間」、「年120時間」保障することは大きな意義がある。
「月10時間」は、試行的事業の補助基上の上限である。(今後変わる可能性がある)
・こどもにとって、毎月一定時間、地域に出て行って家族以外の人と関わる機会が得られ、家庭では得られない様々な経験ができるといった点により、十分に効果が期待される。
・現在の一時預かり事業は、年間の利用日数は平均で3日程度(月1~2時間程度)に相当。
・年間延べ利用人数(令和元年度約521万人)を0~2歳で保育所等に通っていないこどもの数(令和元年度182万人)で単純に割って得た日数は、2.86日の利用であり、就労などで長時間利用している人もいることを考慮すると、「月10時間」は、一時預かり事業よりも相当程度多く利用できることになる。

第3回こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会(令和5年11月8日)の議論を踏まえた修正資料(こども家庭庁)

一時保育の利用状況も踏まえての「月10時間」という設定のようです。
そもそもは「こどものため」の制度なので、預かり時間が長いとまた違った問題が出てくる可能性もあります。


変更の可能性もある。

中間報告の中には以下のような内容が掲載されています。

全ての保育所等に通っていないこどもが利用できることを目的とする本制度の基本的考え方に照らして、どのようなことが可能なのか、全国的な給付制度とする中で自治体によって地域差が生じることについてどのように考えるのか、といった論点も含め、試行的事業を実施する中で検証を重ねた上で、本格実施に向けて検討が深められるべきである。

「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた 試行的事業実施の在り方に関する検討会 における現時点での議論の整理」こども家庭庁

制度は試行的事業を実施しながら、時間数の変更などは大いにありそうです。まずはとにかく事業を開始してみて、利用状況に応じて変更していくのでしょう。全国規模の制度なので、まずは短時間から開始するのも妥当なのかもしれません。


まとめ

こども誰でも制度とは?
「親が就労している」などの要件を満たさなくても、誰でも定期的に保育園や幼稚園の預かり保育、こども園等の施設を利用できる制度です。対象は0歳6カ月~2歳までとされており、月10時間を上限に利用することができます。現在モデル地域で試験的に実施されており、今後は全国的に拡大していくことを目指しています。

『こども誰でも通園制度が必要な理由』
・こども基本法ではこどもは「福祉・教育を受ける権利」が定められている。
・0歳児から2歳児のこどもの6割は保育園に通えていない現状がある。
・保護者のSOSに気づくことが出来る。

こども・保護者・保育園それぞれの意義
こどもにとっての意義=家庭とは異なる経験ができる。
保護者にとっての意義=育児負担の軽減
保育者における意義=専門性の発揮
保育施設における意義=多機能化

一時預かりではなく、こども誰でも通園制度にした理由
・給付制度とすることで一定の権利性が生じる。
・全国どの自治体でも共通で実施することで、制度利用のアクセスを向上させる。

なぜ月10時間?
・こども達が、地域の中で家族以外の人々に見守られながら触れ合ったり一緒に遊んだりする機会を得られにくくなっている事から、こども一人につき「月10時間」、「年120時間」保障することは大きな意義がある。
・「月10時間」は、試行的事業の補助基上の上限である。(今後変わる可能性がある)
・こどもにとって、毎月一定時間、地域に出て行って家族以外の人と関わる機会が得られ、家庭では得られない様々な経験ができるといった点により、十分に効果が期待される。
・現在の一時預かり事業は、年間の利用日数は平均で3日程度(月1~2時間程度)に相当。
・年間延べ利用人数(令和元年度約521万人)を0~2歳で保育所等に通っていないこどもの数(令和元年度182万人)で単純に割って得た日数は、2.86日の利用であり、就労などで長時間利用している人もいることを考慮すると、「月10時間」は、一時預かり事業よりも相当程度多く利用できることになる。
・今後、時間数は実態に合わせて変更する可能性がある。

以上です。
『こども誰でも通園制度』は保育所にとって大きな転換となる制度です。
どのような制度になるのか、今後も注目していきたいですね。


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