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トークバック/仰木日向

この本が欲しいが為にコミティアに行った。そんな作品。

好きなものは最後まで取っておく性格が災いして、買ってから読むまでに時間がかかってしまった。

感想としてはシンプルに、

“心の底からこーゆー本が読みたかった”

に尽きる。

久しぶりに面白過ぎて読み終わりたくないと思った本に出会えた。

テーマは音楽業界。でもよくある「ミュージシャンになって売れたい!」的な作品ではなくて、劇伴作曲家を目指してる男の子が主人公。あんまり扱われてないジャンルだと思う。

で、そんな主人公がたまたまバイト先で同じく劇伴作曲家を目指してる女の子と出会って、そっから話が動き出していくのですが、

リアリティがエゲツない。オブラートゼロ。これでもかってくらいの『現実』を見せつけてきます。

個人的には大好物なのですが、気が弱い人は読んだら倒れるかもしれません。

そもそもこの小説は作者の方の実体験を元に書かれたハーフ・ノンフィクション小説なので、リアリティ増し増しなのはそりゃそうだろって感じなんですけど、

”この小説には、登場人物が精神的に追い詰められる描写が含まれております”

って注意書きは初めて見た。

物事の裏側が好きな人、人の心の中を暴くのが、暴かれるのが好きな人にはたまらない一冊です。

そういえば仰木さんの「作曲少女」「作詞少女」のどちらも図式としては

『何かを始めたいけど具体的なやり方がわかってない主人公』と『その物事について圧倒的に詳しい主人公と同年代くらいの副主人公(人間性がピーキー)』

の二人の掛け合いで成り立ってるので、ある意味原点的な作品なんだなと感じました。

もう本当に素晴らし過ぎて久しぶりに本を読みながらページの端を折りまくり気に入ったセリフに蛍光ペンでラインを引きまくりしました。

面白過ぎてあっという間に読んでしまったので読後なかなかの喪失感があったのですが、次回のコミティアで続編が出るとのこと。石に齧りついてでも買いに行きます。2019年の2月17日は絶対に仕事も他の予定も入れない。

仰木さんのツイッターによるとこの「トークバック」、通販の準備をしてるそうなので、「作曲少女」「作詞少女」
が好きな方には是非読んで頂きたいです。

「”ほどほど”の何が面白いんだ!言ってみろよ!」

読んでいただいてありがとうございました。退屈しのぎにでもなっていれば幸いです。