いろはす

音と写真と言葉がすきです。本屋さんに住みたい。 よしなしごとのあしあとを残しています。

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最近の記事

書くことをたのしむためのオーダーノート

この6年、1年の終わりが近づくたびに必ず訪れている場所がある。 蔵前にある『カキモリ』という文房具屋さんだ。 自分でノートをつくれるお店があると知ったのがきっかけだったと思う。 「自分だけのノートがほしい!」と当時住んでいた場所から1時間半くらいかけて出かけ、念願の初代ノートをお迎えした。 もともと「書く」ことが好きな私にとって、手で文字を書くということは、五感をめいっぱい楽しませてくれる瞬間の連続だ。 ペンを走らせる時のささやかな音や、するすると生まれていく字、ペン先か

    • 9月に置いていきたいこと。

      あっという間に、という言葉を今年は何度使っているだろう。 春も夏もそんなに記憶にないのに、いつのまにかいちばん好きな季節がすぐそこにきていて、あっという間に、という言葉が頭に浮かぶ。 でも、ほんとうに? いろんなことがままならなくなった4月から、 残り少ないガソリンで走り続けている状態じゃなかった? 膝を抱えて夜を数えて、 いつになったら日差しが差し込むのかわからない時間を過ごしていなかった? 本当はきっと、全然あっという間なんかじゃない。 すこしずつ、大丈夫でいられる

      • 物語のおわりを見届けるということ

        大学2年生のときからずっとずっと私の心の一等地を占めていた物語が終わる。 最終回がくるとわかった日から今日まで、 読みたいけど読みたくないって駄々をこねていて。 0時更新のジャンプを祈るような気持ちで待ち、読む前からもう涙目で。 見開きページが目に飛び込んできた瞬間、そこにすべてが詰まってて、 『物語の、ハイキューのおわりを、見届けられてよかった』 という気持ちでいっぱいになった。 たまたま本屋さんで手にとったのがきっかけだったと思う。 思い返してもどうしてこんなに大好き

        • ビジョンはコミュニティの文化をつくる

          『ビジョンファースト経営』というテーマに惹かれて、10/4(金)にお店noteのイベントに参加してきました。 中川政七商店取締役の緒方さんのお話を中心に、ピースオブケイク社の深津さんも加わって、2社の“ビジョン”の成り立ちからアプローチの方法を知る贅沢な時間だったのだけど、違いがあるなかでも根底に流れるものとして感じたことがひとつ。 "ビジョンというのは判断基準であり、北極星のようにコミュニティの道しるべとなるものである"ということ。 ビジョンであったり、ミッションであ

        書くことをたのしむためのオーダーノート

          好きの温度をあげていく

          『好きの温度をとりもどしたい』という気持ちをnoteにのこしてから1年ちょっと経った。 あの頃は本格的に社会人1年目がはじまって、日々目の前のことをどうにかこなしていくことに精一杯で、好きなことや時間が自分の手を離れていってしまうことに戸惑っていた気がする。 正直なところ、2年目になってもあんまり状況は変わっていなくって、 今だにできるようになったと思えば、できていたことができなくなって、 進んだかと思えばつまずいてばかりいるんだよなぁ。 でも、この1年間くらい仕事を通

          好きの温度をあげていく

          好きの温度をとりもどす

          好きになったモノや世界にずっと触れていたい。 熱しにくく冷めにくい性質なのか、ビビっときたものに出会うたびどっぷりつかっては、そればかり追いかけるのが私の好きなモノに対するスタンスだった。 それは例えばコンビニの焼きそばパンだったり、 イギリスという国だったり、小説やマンガの世界だったり。 もちろん書くこともそのひとつで、私にとっては呼吸をするのと同じくらいに「好き」が当たりまえになっているものなのだけど、 ここ2か月くらい、どうしようもなく書くことができなかった。 書

          好きの温度をとりもどす

          うたい継がれる景色

          今日、5月27日は百人一首の日らしい。 藤原定家が、京都の小倉山で百首の和歌を選んだ日から、およそ800年も経つのだそう。 百人一首にはじめてふれたのはたぶん中学生になった頃。 学年の恒例行事だった百人一首大会のために覚えたのがきっかけで、 小テストがあったり、友人たちと上の句・下の句を詠み合ったりした。 班ごとの予選があって、勝ち進んでから学年ごとの決勝戦。 私もそれなりに覚えていたけれど、クラスの中には必ず何人か得意な子がいて、その子たちがたくさんの札をぱしんっとと

          うたい継がれる景色

          華金よりも水曜日の甘やかし

          『月曜日が楽しみになるサイクルをつくりなさい』 1か月前、入社してすぐの頃に言われた言葉を思い出した。 大学生のときにはバイトや講義の違いとか、楽しみにしてる番組だとか、 そういったことでしか気にしてなかった「曜日」に意味を持たせること。 これはけっこう、うまく生活のリズムをつくっていくコツになりそうなのである。 月曜日は、週末がちょっぴり名残惜しくて確かに足取りが軽いとは言えないかもしれない。 でも、思っていたより、私にとっては週初めはそれほどきつくないようで、 どちら

          華金よりも水曜日の甘やかし

          仲良くなりたい5月のこと。

          5月を好きになりたい。 5年前から常々願っているのに、毎年同じようなことをつぶやいてしまう。 5月のことが嫌いというわけじゃない。 ちょっとずつ彩られていく緑は私のお気に入りの色だし、 太陽の機嫌がよくなった空は穏やかだけどエネルギーを感じるし、 風だって思わず散歩したくなるくらいに心地いい。 春から初夏へうつろっていく瞬間は大好きなのに、 5月はなぜだかいろんなことが重なる時期でもあった。 大学での4年間、ずっと5月は魔の1か月。 学祭の準備も、研究会の活動も、論文

          仲良くなりたい5月のこと。

          日常にテーマソングをつけてみる。

          社会人になって1か月、毎朝もみくちゃにされながら電車に揺られている。 これまで、「どこかに通う」ということにストレスを感じたことが ほとんどなかったから、自分も揺られる側の人間になって痛感した。 「通う」って行為は、こんなに体力も気分もすり減るものだったのか。 ぎゅうぎゅうに詰め込まれた状態じゃどうにも気分なんてあがらなくて、 イヤホンをつけてなんとか自分だけの空間をつくっている私は、 きっと電車のなかでよく見る風景の一部になっているんだと思う。 でも、実は外からみたら

          日常にテーマソングをつけてみる。

          知らない街を歩くときのこと。

          居心地のよかった場所を離れるという経験が、私は人よりも少ないかもしれない。 高校までは地元だったし、大学在学中もずっと同じところに住んでいた。 ひとところに留まることが好きな私は、今年の春3回目の引っ越しをした。 これまでぬくぬくと過ごしていた場所を出ていくのは初めてではないし、 いつもは自分でも拍子抜けするぐらいあっさりと次の場所での生活に向かっていけるのだけど、今回はなんだか勝手が違う。 ”学生”から”社会人”というステージにたって、毎日通う道も、帰ってくる街もこれま

          知らない街を歩くときのこと。