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【自家製醤油を作ってみた2】火入れ→オリ引きに挑む


前回までの話


「醤油を搾ったら、火入れをしましょう」
醤油作り講座ではそう言われたけれど。

でも今の今までしたことがない。
だって面倒臭いから・・・。

いや、今年こそはやってみよう・・・!



…………………

まずはプロに聞いてみた

元・某大手お醤油メーカー勤務の知人に教えを乞いました。



ーお醤油の火入れのやり方を教えてください!

冷蔵庫に入れていたら、多分大丈夫だとは思いますが、火入れした方がもちろん長持ちすると思います。
火入れは、ガラス瓶などにいれて、鍋のなかにつけて湯煎にします。弱火で中身の温度80℃30分キープしたら火入れ完了。そのまま室温で2、3日置いたらオリ引きして火入れ醤油できあがりー!

知人の解答1

ー「オリ引き」って何ですか………?

あ、ごめん。オリ引き分からないよね。濁り成分が底に沈んだものが澱(オリ)。オリの上の澄んだところを取り出すのがオリ引き。

知人の解答2

ー「オリ(澱)のように沈む」の、オリですね!
ポンプか何かで吸い出すんですか?

そう、サイフォンで取り出すんだけどあまり太い管だとオリが舞ってしまうので、僕はシリコンチューブを使っています。
(以下要約)
醤油の液面にチューブをセットして、ピンチコックを開けながら、口で醤油を吸い上げます。ピンチコックを閉め、別の容器に筒先をセットしたらピンチコックを開き、上澄みを取り出すよ。

知人の解答3

ーあ、ありがとうございました…!



とはいうものの、ピンチコックにシリコンチューブと今まで縁がなかったアイテムが目白押しなうえに、吸い上げる??とは??

思った以上に手順がややこしいことがわかり、
なんだかんだと理由をつけてさらに醤油を熟成させること1ヶ月。


火入れする

目的】殺菌、味や香り、色をより良くするため

やり方
1.香りが飛ばないよう、ガラス瓶の口をアルミホイルで蓋をします。

2.80度で30分、瓶ごと湯煎します。

酵母菌や乳酸菌、一般細菌は60~80℃数分で死滅し、酵素であるプロテアーゼ、アミラーゼなども80℃で30分の火入れで失活するので、これらの温度、時間が火入れ時間の目安になります。

職人醤油HPより引用


※正直、ガスコンロでは80度に保ち続けるのは難しかったです。目を離すとすぐに上がってしまうし、火から下ろすとすぐに冷める。
今回は付きっきりで、できる範囲で80℃位を保ちました。

3.火入れが終わったら、2,3日置く。


結果
火入れしたら香りが格段に良くなりました
ちなみに火入れ前の醤油は「生揚げ醤油」といい、穏やかであっさりした味わいです。これも美味しい。

醤油を熱するとこうばしい醤油香がでてきます。「焼とうもろこし」や「焼き鳥」をイメージしていただければ分かりやすいと思います。これをアミノカルボニル反応といい、「火香(ひが)」を付けるとも言います。

職人醤油HP参照

火入れすると色味も濃くなるのですが、これもアミノカルボニル反応によるものだそう。

知人曰く、「火入れすると力強い醤油になる」そうですが、本当にそのとおり。
火入れだけでもやる価値がありました!


オリ引き

目的
火入れによって分解されなかったたんぱく質、乳酸菌や酵母菌がオリとして固まり、充填前にろ過する必要があるため。(職人醤油HP参照)


火入れしたらオリが沈殿していた


シリコンチューブとピンチコック


知人が教えてくれた方法】(最初は水で練習)

1.オリの上1cmくらいに筒先を下ろして固定する

2.もう一方の筒先にピンチコックをセットする

3.ピンチコックを開けながら、その筒先近くまで口で醤油を吸い上げる

4.ピンチコックを閉める

5.ピンチコック側の液面をオリの液面よりも下になるようにして、別の容器に筒先をセットする

6.ピンチコックを少しずつ開き、上澄みを取り出す。オリを吸い取っていないことを確認する。



かなり神経を使う作業でした…!

「1.オリの上1cmくらいに筒先を下ろして固定する」の時に、チューブを固定する道具があると良さそうです。無ければ誰かにチューブを持ってもらうしかないですが、人力は手元が狂う可能性もあります(今回人力でやりましたが、最後の最後で逆流しかけました)

あと、瓶と瓶の高低差はしっかり付けましょう。
ささやかな高低差ではなんにもなりません。


悪い例


たぶん良い例

プロに教えてもらったとはいえ、実践したのは素人です。写真の方法が適切なのかは不安ではありますが、一応できたということで!


オリは無い!


全部の醤油をオリ引きするのは大変なので、今回は一部の火入れ醤油だけ行いました。
十分気をつけましたが、このオリ引き醤油は自家消費します。

知人のアドバイスによると、オリが沈んだ醤油は漬物などに使うとよいとのこと。
私は普通の料理に使っていますが。
刺し身じょうゆ、卵かけご飯などのときはあまり向かなそうな印象です。

瓶に詰めてみた


最後に

手作りの醤油を作った際には、ぜひ火入れすることをおすすめします。
火にかけているときの醤油の香りが本当にたまりません! 
オリ引きはコツが要りそうですが、慣れれば大丈夫かな。
教えてくれた知人に火入れ&オリ引きの報告をしたらとても喜んでくれました。


ちなみに、ピンチコックって
ピンチ(緊急)の時のコックさんではなくて、
ピンチ(クリップ/挟む)+コック(栓)という意味なんですね。 
私はなんとなく前者のイメージしかなかったです。(なわけないのに)



最後までお読みいただきありがとうございました!





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