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雑文

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花織草子|かおりのそうし

花織草子|かおりのそうし

春は揚げ物。

やうやう黄金色になりゆく衣ぎは、

すこしもろくて、乳白色のチーズの、

細くたなびきたる。

かじるは、熱。

揚げたてはさらなり。

ころもの多く飛びちがひたる。

また、ただ一つ二つなど、

チーズのほのかにうち出でて行くも、をかし。

塩をつけるも、をかし。

仕方は、簡素。

味噌を入れて、楓の蜜といと混ぜたるに、

チーズの寝どころへ注ぎ入れるとて、三つ四つ、

二日三

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季節の変わる音 

季節の変わる音 

この前、祖父(93歳)が「今年はウグイスの声を聞いてない」とぼやいていた。
そんなことはない・・・はずだ。桜の時期からホーホケキョと鳴いていたし、ちょうどこれを書いている今(6月末)も鳴いている。
どうやら去年よりも耳が遠くなったらしい。

夏至のあたりからだろうか。
ウグイスに加えて、朝晩にはキリギリスも鳴き始めた。小雨の日は蛙の合唱も加わり、大小さまざまな音の粒が辺りにこだましている。

ウグ

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ストイック味噌汁

ストイック味噌汁

相葉マナブというテレビ番組を見ていたときのこと。

味噌作りの回だったか、バイきんぐの小峠さんが
ただのお湯に味噌だけ溶いたものを「ストイック味噌汁だね」と言っていた(気がする)。

毎朝、お湯に自家製味噌を溶いて飲む私。
そうか、私が飲んでいるのはストイック味噌汁だったのか!と番組を見ながら膝を打った。

以前、

こちらの記事で、朝はお味噌汁にギーを入れて飲んでいますと言ったが、あれから1年経

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93歳、新玉ねぎのポタージュを作る

93歳、新玉ねぎのポタージュを作る

料理雑誌で有名な「dancyu」。
この誌名、「男子厨房に入らず」をもじっただけかと思いきや「男子も厨房に入ろう」という意味らしい。
そりゃそうか。とても好きな雑誌のひとつである。

いまや台所全入時代。
イカと大根の煮物、ポテトサラダ等が十八番料理のうちの祖父(93歳/A型/好物:揚げ物全般)から先日、新玉ねぎのポタージュを作るけど食べますか、と電話がかかってきた。

14時に約束を取り付け、カ

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白昼夢

白昼夢

一見さんにも平等にジョークかましてくれる
おもしろマスター。

先客の女子たちに「お会計1000万円です」と
にこやかに言い放つのを目の当たりにし、
私もあれが来るのかとドキドキしながら味噌汁を
飲み干していたら、カウンターの向こうから
「今日は側溝の工事の様子を見にいらしたんですか」と不意打ちの先制攻撃をかまされる。

たしかにさっきまで店の前では工事が行われていたが、私は唐揚げを楽しみに来たの

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ネパール料理とタシナミ

ネパール料理とタシナミ

前回の投稿 <10月料理教室まとめ|花織|note>
でネパール料理を食べたことを書いた。
今回はそのときの話。

新大久保の大通り沿い。雑居ビルの4階に[アーガン]という老舗のネパール料理屋がある。

1階だか2階が韓国料理屋となっているようで若い女の子たちが順番待ちをしているのを後目に、4階まで階段を一気に上がる。
店のドアを開けると、「いらっしゃいませー」
ネパール人と思しき店員さんが案内し

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