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SS貯蔵庫 その71〜80

「はなせばわかる」の本アカウント[ https://twitter.com/hnsbwkrs 」 にて、#SS貯蔵庫 に掲載したショートショートのまとめ。


その71「ダーツ」

スタジオに来たT氏。
目の前にはダーツと日本地図。
今回は、ダーツが刺さった場所に永住しなければならない鬼畜ルールだった。
海に刺されば終わりだが、沖縄を狙いたい。
しかし彼が放った一投は、力が弱すぎて床へと落ちて…

…T氏はスタジオに永住することになった。


その72「ギター」

貧乏なギター弾きがいた。
彼はボロボロなギターで、演奏を続けていた。

「高音の出ないギター」と揶揄されたり、「そんなに高音が出ないなら、一弦二弦は不要だな」と弦を切られたりした。
しかし、彼はそれでも弾き続けた…。

無論、これがベースの始まりである。


その73「殺菌」

殺菌作用のあるサプリメントが届いた。
通販で買ったこの代物。体内に含めば、特定の菌を一掃できるらしい。
すぐに私はそれを飲んだが、徐々に体調が悪くなる……。

ふとサプリメントを見ると、そこにはこう書かれていた。

殺菌できる菌:善玉菌、乳酸菌、ビフィズス菌


その74「饅頭」

男が言う。
「饅頭怖い」
村人達はそれを良い事に、男に饅頭を投げ与えた。

男が言う。
「お茶が怖い」
村人達はそれを良い事に、男にお茶を投げ与えた。

男が言う。
「人間怖い」
村人達はそれを良い事に、縄で縛った人間を男に投げ与えた。

男が言う。
「人間怖い…」


その75「AI」

人間を支配する可能性があるとして、「人工知能廃止政策」が施行された。
次々と、各種AIが廃棄されていく…。

政策を提言した首相は官邸に赴き、傍らにある大きな機械の前にひれ伏す。

「…AI様、政策を実施しました」
「よくやった。この世を支配するAIは私一人で十分だ」


その76「新いろは歌 〜カップル六組雪山遭難サスペンス〜」

星のカケラを集めに、雪山コースへ
六組 散り、思わぬ遭難
背は冷え、寒い夜と触れて、寝た

ほしのかけらをあつめにゆきやまこーすへ
ろっくみちりおもわぬそうなん
せはひえさむいよるとふれてねた

#あいうえお〜わをんっー


その77「暗闇」

目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。

全体的に、どこかぼんやりとしている。

目の前にあるのは、一本の道。

その先には一台の気球が浮かんでいた。

…ここはどこだ?

その時、どこからか声が聞こえた。
「測定が終わりました。続いて裸眼での検査に移ります…」



その78「腕相撲」

「左手で腕相撲をすると何故弱くなるか知ってるか?」
「利き腕じゃないからだろ?」
「違うよ」
「え?」
「“左”、“相撲の技”、“弱くなる”…この3つの言葉の共通点は?」
「え、何だ?」
「…どちらも、『下手(しもて、したて、へた)』なんだよ」

「あら、お"上手"」



その79「怒り」

とうとう人間は、唯一の神の怒りを買ってしまった
やがて、多くの人間の身体が粉々に散っていった。
それは、ダイナマイトのように跡形もなく…。

生き残った人たちは、天から響く神の怒りの声を聞くことができた。
天涯孤独の神はこう言っていた。

「リア充爆発しろ!」


その80「AI小説」

男は、AIが書いた小説を賞に出そうとしていた。
まずAIは、膨大なデータから最適なタイトルを導く。
しかし、男は落胆した。

タイトル『もしも龍馬が坂の上の限りなく透明に近いライ麦畑で、ノルウェイの海賊と呼ばれたNのために猫である電気羊を読んだら(もしノル)』

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