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文化系トークラジオLife「ややスピ!?~令和的スピリチュアルを考える」を聴きました

二ヶ月に一回放送される番組を今回も視聴しました。TBSラジオで29日深夜1時から放送された番組ですが、28日に補欠選挙があったので、YouTubeで選挙結果を伝えている番組を一通り観て、他の番組を探していたら、この番組にヒットしたので、前回に引き続いて視聴することになった。

著作権にかかわるため、YouTubeでは出演者がリクエストする曲はカットされるので、その場合は、Radikoで聴いていました。

この番組は、出演者が様変わりしていて、男性2名、女性5名と、昔と真逆の構成となっています。女性陣の発言力の強さには圧倒されました。

その中でも印象深かったのは、社会学者橋迫瑞穂さんの話しぶりでした。著書の『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』が話題になっていた。

橋迫氏によれば、妊娠・出産とスピリチュアリティは深く結びついているという。2000年代以降に興隆した「スピリチュアル市場」では、妊娠・出産という体験を重視するコンテンツ(書籍や映画、雑誌、関連する各種のグッズ)が人気を集めているとのことです。

アダムとイブが神との約束を破り、禁断の果実を食べた罪として、男性のアダムには労働の苦しみを女性のイブには産みの苦しみを与えたと旧約聖書には記されている。

男性の労働の苦しみは、ともかくとして、女性の妊娠・出産を抱えているのは、生活世界で生きている上で、実に大変なハンディだと思います。

その上、子育てや家事もほとんどは女性側に負担がかかっているのであり、ここ30年間賃金が上昇していない状態では、女性も労働しなければならないという、踏んだり蹴ったりなことになっている。

いったい、この不公平さは、いったい何なのだという怒りを神様に向けるべきだが、ニーチェ以来、神は死んでいるので、怒りを向ける矛先がない。

すると、男性中心社会に怒りを向けることになる。

その他、妊娠・出産する女性の身体性をことさらに賛美したり聖性を与える度合いが強くなると、そうじゃない女性を差別するという優性思想的な傾向が顕著となり、フェミニズム的な価値観を避けるというような、フェミニズム対アンチフェミニズムの闘争となっている。

しかしながら、妊娠・出産を中心とする身体性を女性の本質とする価値観は、普遍性を備えていると思われる。

だが、ダナ・ハラウェイ( 1944~) が「 サイボーグ 宣言」 という論文で、次のように発表した、と哲学者船木亨氏は述べている。

ハラウェイは、もはや女性は「産む性」ではない、女性は生殖しないと述べ、ポストモダンのジェンダーなき世界において、すべてが畸形的なものとして、トカゲの尻尾のように再生すると述べた。

船木亨. 現代思想史入門 (ちくま新書) . 筑摩書房. Kindle 版.

生殖のための行為は副次的なものにすぎず、あたらしい機械に結合した人間も、試験管ベイビーやクローンも、性交渉によって生まれてくる赤ん坊と同等の、ひとつの誕生なのである。

船木亨. 現代思想史入門 (ちくま新書) . 筑摩書房. Kindle 版.

ハラウェイは、もはや産むことすら拒否して、男性との平等を訴えているのです。とても普遍性のある訴えとは思えないが、論理的な破綻はないでしょう。

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