将棋の勉強法

突然ですが、皆さんは普段どんな勉強をしていますか?

詰将棋? 棋譜並べ? はたまた実戦経験を積む事でしょうか?

では、どの勉強をするのが強くなるための1番の近道になるのでしょうか。

その答えは……

どの勉強もとても大事!

あ、すみません閉じないでくださいほんとすみません。

どの勉強も大事だなんて言われなくてもわかるわ! とお怒りの声が聞こえてくる気もしますがそこはスルーするとして。

突然ですが『彼を知り己を知れば百戦殆からず』という孫子の言葉をご存知でしょうか。

古くは紀元前5世紀、中国春秋時代に書かれた兵法書の一節です。

読んで字のごとく、対する相手の力量と自分の力量を知っていれば負けない戦いができるよ、という意味です。

これは将棋にも言えることで、相手の得意戦法や棋風などを把握し、かつ自分の事をよく知っていれば負けないということ。

しかし指す将順位戦やTwitter棋戦など対局する相手が決まっている場合は対策を立てる事ができますが、野良の対局やリアルの大会になってくると事前に相手の情報を知るのは難しいですよね。

そこで重要視するのは相手の情報ではなく自分の情報

自分の強み(得意な戦法など)、弱点、性格、モチベーションが上がる時・下がる時などを知ることで最高の状態で対局に臨めるように整える。
それが『己を知る』事の最大のメリットだと思います。

その為に私が行った事を備忘録的な意味も含めて参考までに書いてみようと思います。

1.自分の対局した棋譜を分析

まずは自分の棋譜を分析します。正確には負けた対局をソフトを使って振り返り、どこで悪くなっているか統計をとります。統計をとる、といっても厳密にデータをとらなければならないという訳ではなく、何となくでもいいので、自分は序盤で躓く事が多いな、中盤で悪くしている対局が目につくな、終盤で逆転される展開が目立つな、というくらいで大丈夫です。

自分の悪い点が洗い出せたら次はそこの強化になります。

2.序盤の精度を上げる。

将棋の勉強法で最も一般的な物はやはり詰将棋でしょう。読みを鍛え詰みの形を覚える上で初心者から有段者まで使えるこれほど有力な勉強法は他にないと思います。

しかし詰将棋が一番効果を効力を発揮するのはやはり終盤。そこにたどり着くまでに大差を付けられてしまうと挽回するのは難しくなっていまいます。

ある程度の棋力がつくまでは詰将棋のみの勉強でもいいと思いますが、やはり序盤から差をつけられないように定跡の勉強も必要でしょう。

では私の行った序盤の強化法を書いていきます。強化法とはいっても定跡を覚えるのは必須で、問題は定跡を外れてからです。

まず勝ち負けを問わず自分の棋譜をソフトにかけ、初手から中盤までを振り返ります。

基準としては、互角以上なら良し。悪手を指して評価が下がっていたら、それに変わる手をまずは自分で考え、次にソフトの最善手と答え合わせをする。これを繰り返し行い序盤の精度を上げていきます。

定跡が整備されている序盤から大きく差がつくことは滅多にないので、こちらの方針は定跡を抜けた後、中盤の頭あたりまで悪手を指さないようにする事。互角以上で中盤に入れれば良いのです。

3.中盤の指し手をプロに近づける。

そんな事できたら苦労しないよ! という声が聞こえてきそうですがそれもスルーします。

なにも完璧にプロの手を指せと言っているわけではないのです。同じような方針の手を指す事を目指します。

こういう局面では攻める、もしくは守る、囲いを整備する、厚みを作るなどです。正しい方向の手を指せるようになれば中盤で間違える事が少なくなります。いわゆる大局観というものですね。必ずしも妙手を指す必要はありません。

では具体的にどうやって正しい手を選べるようにするのか。

中盤の勉強法といえば棋譜並べや次の一手問題を解く、NHK杯などの対局を観戦するなどが思い浮かびますが、どれも有力だと思います。

しかし私が社会人という事もあり、棋譜並べや対局の観戦は時間がかかるのでなかなか手を付けづらいというのが現状です。時間のある方は上記の方法で中盤のみならず序盤~終盤までのプロの感覚を身につけていっても良いですね。

なので私はより中盤に焦点を当てて、次の一手問題を解く方法を取る事にしました。

全体の流れから正しい手を指すというよりは部分的に正しい手を身につける。

『身につける』のが目的なので最低でも本は2周するようにしています。

そんなにたくさんの問題を解いているわけではないので、本などのおすすめはできませんが自分のレベルに合った問題集を探しましょう。

1日に解く問題数ですが、私は1問だけ解くようにしています。なぜ1問だけかは後述するモチベーションの項目で詳しく書きたいと思います。

4.終盤力の強化

詰将棋を解く。以上!

……冗談は置いといて。

詰将棋は短手数と長手数に分かれますがそれぞれ得られる効果が変わるのは皆さんご存知かと思います。

短手数:詰みの形を覚える。

長手数:読みを鍛える。

それぞれの解く問題数も変わってきます。

短手数:素早く何問も解く。

長手数:1問をじっくり考えて解く。

詰将棋については今更解説するまでもないと思うので割愛させていただきます。

ちなみに私は3~7手の詰将棋を毎日1問解いています。なぜ1問だけかは次項で。

5.モチベーションの維持

さて、私が個人的に重要だと考えるのがこのモチベーションの維持です。

ここまで長々と書いてきましたが、将棋が強くなるために最も大事で、一番必要な事とは何でしょう?

正解は続ける事です。

将棋に限らず他のどんな趣味でも上達したいと思うのなら途中で辞めたらだめなのです。

『継続は力なり』とは言いますが、続けていれば必ず上達するというわけでもありません。しかし、当たり前ですが辞めてしまってはそれ以上進む事ができないのです。

では継続に必要なモチベーションはどのように維持していけばいいのでしょう?

まず次の一手や詰将棋は1問解けば良しとする事。

例えば、毎日次の一手問題を10問、詰将棋を10問解くぞ! と目標を決めて勉強を始めたとしましょう。

最初の数日間は続くと思いますが、何か用事等で1日の目標が達成出来なかった時、モチベーションはガクッと下がってしまいます。

そしてその日以降、達成出来なかった事実が事ある毎に頭をもたげ、「この前忙しくてできなかったし、今日もいいか」と勉強から遠ざかってしまうのです。

なので1日の目標は限りなく低く設定し、どんな時でも達成できるようにしてあげるのです。

そうすればモチベーションも維持されるし、時間に余裕がある時は2問3問と解き続けるだけで「あー今日めっちゃ勉強したわー」という状態になる事ができるのです。

なので私は前述した通り次の一手や詰将棋の1日に解く問題数を1問に設定しているのです。

次に実戦についてですが、将棋を指していて一番楽しい瞬間はいつでしょう?

人によって楽しみ方はそれぞれだと思いますが、多くの人は対局に勝った時が一番楽しいと感じる瞬間ではないでしょうか。特に格上の方に勝利した時なんかは何日もその対局を頭の中で振り返り、棋譜を眺めてはニヤニヤしていることでしょう。私がそうです。

では将棋を指していて一番楽しくない瞬間はいつでしょう?

それは対局に負けた時です。

序盤、中盤まで優勢で進めて、最後の最後で自分が悪手を指して逆転負け。そんな対局があった日には夜も眠れません。その悔しさは文字などでは言い表せない程です。

実戦はやはり楽しいのですが、ある意味諸刃の剣だと私は感じています。一つの対局でモチベーションが大きく揺れ動いていては安定して続けていく事が困難になります。

なので私は今、実戦をあまり指さないようにしています。勉強は詰将棋と次の一手オンリーです。

将棋を続けて行く上で、どこを本番に設定するかもモチベーションを維持する大事な要素になってきます。

私の場合だと指す将順位戦などのTwitter棋戦やリアルの大会を本番に設定しています。

なのでそれ以外のウォーズや24でどれほど負けようとそれは『練習』なのです。練習の対局なら局後に冷静に分析する事ができますし、野良の対局でモチベーションが左右される事もなくなります。

さらに実戦をなるべく指さないようにするとどうなるか。本番がめちゃくちゃ楽しみになります。もちろん緊張もしますが、「やっと対局ができる! 勉強の成果を確認できる!」と楽しさが勝ちます。

あと実戦をあまり指さなくなって気づいた事がもう一つあります。それは、自分の成長に気づけるようになった事です。

現代の将棋はウォーズなどのアプリが普及して成長が見えにくくなっているような気がします。自分と同じ段級位の相手でも棋力に幅があり、仮に自分が徐々に成長していっているとしても勝数が積み重なる事は少ないです。対局を本番のみに絞ることによって前回との成績を比較でき、成長を実感できるようになります。

実戦を減らし、設定した本番に向けて最低限の勉強を毎日続け、将棋のモチベーションを保ち続けていく。

地味ですが、これが私の考える、自分を分析して分かった私に一番合っている勉強法です。

ここまで読んでいただけた方がいらっしゃるかどうかはわかりませんが、長々とした乱文をお読みいただきありがとうございました。

ここに書いた事はあくまで私の主観的な考えなので間違いなどもあると思います。

しかし、例え間違いだとしても自分の頭で考えながら進んでいく事が成長に繋がると思っているので、これからもどんどん間違いながら前進して行く所存でございます。

それでは今回はこのあたりで。

また皆さんに私の文章が届けられる日を楽しみにしています。

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