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訪日外国人にとってお買い得な日本 高品質・高価格から、高品質・低価格へ! いつか来た道・経済成長の王道!

はじめに

最近テレビ、Youtubeなどで、訪日外国人が日本の物価の安さ、特に外食の安さに驚き、大喜びしている様子をよく見ますね。

私はてっきり、数十年に渡るデフレで、日本の物価が諸外国に比べ、相対的に安くなったためだろうと考えていました。しかし、未だに「日本の物価は高い」という情報をネットで見かけることがあります。

少しデータ整理しておいたほうが良さそうですね。また国レベルの物価水準と言うより都市レベルでの物価水準が分かると良さそうです。

そこで「Numbeo(*1)」というサイトからデータを収集し、チャート化してみました。Numbeoは、セルビアのクラウドソーシング オンライン データベースでユーザーが国や都市間の生活費に関する情報を共有し、比較できるサイトです。あくまで情報源は各都市に住むユーザーの投稿ですので、厳密な正しさという面では万全とは言えないようですが、国別・都市別の物価水準を比較するには最適の情報源と思われます。

と言いますのは、統計データとして一般的に利用される公的な統計の場合、統計値の定義が国ごとにまちまちで単純比較が難しいことが少なくないからです。Numbeoという単一のプラットフォーム上で収集・集計されたデータなら、そのような非整合が無い分、「相互比較しやすいデータ」と言えるからです。

今回、Numbeoデータの中でも「生活費指数(Cost of Living Index)」「レストラン価格指数(Restaurant Price Index)」をチャート化しました。

「生活費指数(Cost of Living Index)」は食料品、レストラン、交通機関、公共料金などの消費財の価格を米ニューヨーク市の水準を100として指数化したものです。

「レストラン価格指数(Restaurant Price Index)」はレストランやバーでの食事や飲み物の価格を米ニューヨーク市の水準を100として指数化したものです。

「生活費指数(Cost of Living Index)」に加えて、「レストラン価格指数(Restaurant Price Index)」に注目したのは、観光客にとっては、レストランの料金が旅行コストに大きく影響すると考えたからです。

またテレビ等で訪日外国人観光客が外食料金の安さに驚いている様子が印象的で、データで検証すべきと考えたためです。

生活費指数:コロナ前後で大きな変化

データ分析して驚きました。2019年と2024年では大きく状況が変化していたためです。

まずは「生活費指数(Cost of Living Index)」について、2019年と2024年の比較を見て見ます。下のチャートは生活費指数が高い順に指数を表示するものです。

まず2019年のチャートを見て私は驚きました。「東京の物価水準が豪シドニーやロサンゼルスより高い」ことが示されているからです。未だに「日本の物価は高い」という情報をネットで見かけることがありますが、2019年のチャートはこれを裏付けています。

そして2024年のチャートを見ると、2019年とは全く状況が異なっています。東京の物価水準はロサンゼルス、豪シドニーは言うまでもなく、香港やソウルをも下回っています。

要因-1:急激な円安

2019年に対し、2024年は大きく円安が進んでいます。前の記事で掲載しましたドル円推移チャートを再掲します。2019年時点で110円程度だったドル円が、2024年では150円を超える水準に来ています。(5月1日現在約158円です!)

この円安により、日本の物価水準が相対的に大きく下落したと考えられます。

要因-2:日本の低いインフレ率

この円安に加え、米国をはじめとする諸外国では、コロナ禍が落ち着きを見せたとたんに大幅なインフレが進行しています。もちろん日本も同様ですが、元々デフレ基調だった日本は、諸外国に比べインフレ率は低い水準で推移しました。下のチャートはそれを示したものです。

日本のインフレ率は長期にわたって低いのですが、特に2021年~2022年の期間、諸外国に対し、かなり低いインフレ率にとどまっていました。諸外国における物価高騰に対し、日本の物価は穏やかな上昇に留まり、結果、両者の物価水準に大きな開きが生じたと考えられます。

補足:インフレ率と円安

日本の物価水準がコロナ前後で相対的に大きく下落した要因として、「要因-1:急激な円安」と「要因-2:日本の低いインフレ率」並列で挙げましたが、この2つには原因と結果の関係があります。

イメージ的には下図のような感じですね。

ここでは、詳細には触れませんが、円安・インフレ率は日本の観光業の今後に大きな影響がありますので、今後の記事でも触れてゆきたいと思っています。

レストラン価格指数:激安!

次にレストラン価格指数を見てゆきます。こちらはさらに凄いです。訪日外国人観光客が日本の外食の安さに驚くさまを裏付けるデータになっています。

上と同様に、2019年、2024年の順にチャートを掲載します。

レストラン価格に関しては、2019年時点で日本はニューヨークの半値レベルとかなり安かったようです。それが2024年になり、約1/3の水準。米国・豪州からの観光客から見て、日本の外食は驚くほど安いことが改めて確認できました。また、香港や韓国、台湾から観光客にとっても日本はより魅力的な旅行先になってきました。

観光産業の成長ポテンシャル

以前の記事で掲載したチャートを再掲します。

2019年まで順調に訪日観光客を増やしてきました。

そしてさらにコロナ禍明け、円安と低いインフレ率の結果、物価面でも旅行先としての日本の魅力が高まっています。従って、今後の成長ポテンシャルは凄まじいものがあると思われます。

急激な円安には、日本国民として、必ずしも心穏やかでいられない部分もありますが、日本の観光産業にとっては強烈な追い風であることは間違いありません。

これを好機と捉え、日本の観光産業が成長を遂げることで、為替相場を安定させたいものです。

日本が誇る観光地沖縄の影?

ところで、沖縄は誰からも愛される日本が誇る観光地です。美しい海を始めとする自然、独自の文化や史跡は人の心を掴んで放しません。

にも拘わらず、沖縄県民はその果実を享受できていないと聞きます。「ザル経済」問題と呼ばれているようです。

一見、大成功しているように見えて、地元は成功と認識していない? 気になりますね。明るいはずの日本の観光業の未来に「待ち受けている落とし穴」があるのでしょうか?

沖縄の問題については、追って研究してみたいと思います。

出典(*1)
https://www.numbeo.com/cost-of-living/

下のイラストは製造業で潤ったかつての日本のイメージです。工場の煙がやや苦い記憶を蘇らせます。観光で潤う近未来の日本が純粋に美しいものであって欲しいものです。

補足:
◇ 記事で使用されている図表はexcelまたはpythonコードで作成しています。
◇ 記事で使用されているイラストはDALL-E(chat-GPT)を利用し作成しています。


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