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 2016年の【マークスジャパン「AV出演強要」事件】に端を発する「社会問題」。

 元AV女優が引退後、婚約者に出演がバレて「強要だった」と言い訳した嘘……から始まった事実上の都市伝説である。

 数十年前というのであればまだしも、2016年以降などという近年においてそんなものはまず存在しないと言ってよい。 
 が、ポルノを敵視するフェミニストが執着しおり、彼女らの騒ぎを真に受けた一部マスコミによってもしばしば「問題」として取り上げられる。特に上記のマークスジャパン事件を騒ぎ立てた弁護士の伊藤和子と彼女の「人権団体」ヒューマンライツ・ナウ、他にPAPSなどのフェミニズム団体などが騒ぎ続けている。

 しかし実際は、そのような実態は皆無に等しい。

近年、AV業界に対する女性人権団体や人権派弁護士による攻撃が激しく、AVに強制出演させられたなどのニュースがよく見られます。

しかし、これらは今から20年ほど前までのAV業界では確かに見られたものの、今ではほとんどみられないものです。

ごく一部の悪質な業界関係者が、未だにそのような撮影を行なっているという噂を稀に耳にしますが、あくまでも「そのような“噂”を“ごく稀”に耳にする」くらいのものであり、例外中の例外と言ってよいでしょう。

AV業界ってホントに人権侵害が行われている?数々の批判の真相

「強要」の実態

 では「強要」と喧伝されたことがある個々の話の真相はどういうもので、それがなぜ強要だということになってしまったのか。
 幾つかに分けられる。

・AV出演が身内などにばれてしまった女性が、「あれは強要だった。好きで出たのではない」と言い訳をしていたケース。【マークスジャパン「AV出演強要」事件】が代表例。

・女優自身の本当の希望は「今後の販売・配信をやめてほしい」ということに過ぎなかったが、AV人権倫理機構による配信停止申請制度の発足前であったため、停止を要求する方便として強要を訴えるしかなかったケース。
 特にネットの本格普及前、AVは数年のサイクルで店舗から消え、長く残ることはなかった。それがネットの普及で半永久的にデータ販売が続くようになってしまったため、慌てて配信停止を求めた女優達がいたのである。
 現在は申請制度が完備されたため、強要を訴える必要もなくなっている。

・そもそも本人達すら問題を感じていないのに、フェミニズム活動家などが「洗脳されているのだ」「性虐待被害者や精神疾患者で判断能力がないのだ」「いわば社会による強要だ」と勝手に言っているだけのケース。
 もはや差別しているのは他でもない、フェミニズム活動家自身による女優達への悪質なレッテル貼りである。

 ちなみにこうしたフェミニストの言う「AV女優が複雑性PTSDで、トラウマの再演だ、本当の同意じゃない」などというのは、正統な精神医学会の見解ではなく、90年代にフェミニスト精神科医が言い出したトンデモ説に基づいている。

「強要」がない証拠

 AV出演強要の不存在は、第三者機関であるAV人権倫理機構の調査によって明らかになっている。例外は2018年の超特殊例のみである。
 AV人権倫理機構はそもそも【マークスジャパン「AV出演強要」事件】をきっかけに設立された調査機関から発展した組織であり、出演強要について調査することが使命であったと言ってもいい。

 2018年2月に発足した同機構は「配信停止申請」という制度を設けている、もちろん本人は嫌なのに強要されて出演したのであれば、配信してかまわないという道理はないから、この制度の網にかかってくるはずである。
 しかしそれでも強要のケースは発見できなかったのである。AV人権倫理機構の理事である桐蔭横浜大学の河合幹雄教授(法社会学)が解説している。

出演強要された女優がいれば、当然、作品を消してほしいので、停止申請が来ると予測していた。ところが、強要があったと主張されるケースは数えるほどしかなく、それら全てのケースについて検証したのだが、強要にあたるケースはなかなか見つからなかった。
マスコミで報じられた女優についても検証しようとしたが、そもそも彼女たちの誰一人、停止申請してこなかった。もちろん、こちらで検証は行ったが、出演強要に該当するケースはなかった。

「AV出演強要」は存在するのか? 多くの人が見落としている「本当の実態」

 最近では2022年、AV新法に反対する一部のフェミニストが「勉強会」や「デモ」と称して演説会を行っているが、その中で様々に挙げられた行為の中で実際に該当するものは一つもなかった。「お金がなかったから出演した、性搾取だ」「優しく話を聞いてくれた、洗脳の手段だ」といったもので茶を濁すのみである。
 果ては無理矢理持ち出した「AVデビューした後輩」の話が成功例でなにも同情点がなく、仕方ないので「出会った時には中1だった」という無関係の話で被害者ぶろうとしたものまであった。

 このグループには反ポルノのフェミニズム団体PAPSが関わっているのだが、彼らはウェブサイトでAV被害を募集し続けている
 にもかかわらず、こんなものまで持ち出すほどフェミニスト達は「AVの被害例」を見つけられていないのだ。

なぜ誰も強要しないのか

 強要が起こっていないことは分かった。
 しかし、なぜ起こらないのだろうか。

 第一に、明らかな犯罪であり、それをAVにして販売するということが自殺行為だからである。
 そもそも義務のない「何かを強要」すること自体が強要罪という犯罪の構成要件に引っかかる上、その過程も脅迫罪になる可能性が極めて高い。
 またそもそもAVになるような行為であるから、強要などすれば普通に現行法(強制わいせつ罪)で処罰可能である。これはAV人権倫理機構の代表理事である武蔵野美術大学の【志田陽子】教授もその見解を示している。

 実際にAV業界は、警察や人権団体などからあることないこと目を付けられているので、非常にコンプライアンスに対する警戒心が強くなっている。本人に幾らやる気があっても、父親が地方公務員(これが警察官の婉曲表現なのかどうかは不明)なので、波風を立てないように」という程度のことでお蔵入りになった事案があるほどである。
 強制わいせつなどというガチな犯罪に手を染めるわけがない。

 実際、迫真的なレイプ物『女犯』などを撮り、フェミニスト達に蛇蝎の如く憎悪されているバクシーシ山下監督は、著書【ひとはみな、ハダカになる。】で次のように述べている。

 だから、どんなものを撮る場合でも、どういう内容の撮影をするか、撮られる人にはあらかじめ説明をして了解をとります。撮影内容の、何がOKで何がNGなのか、撮られる女の人や、その人が所属しているプロダクションや事務所とも、きっちりとすりあわせをするのが基本であるわけです。

ひとはみな、ハダカになる。

  この本は2007年のものだが、その時代でもこのくらいは当然のようにやっているのである。

 第二に、強要の必要がないからである。
 現在ではAV業界のクリーン化や女優のイメージアップに伴い、AV女優になりたいという女性は、業界が欲しい女優の数よりはるかに多くいる。むしろなりたくてなれない人だって大勢いる、狭き門なのである。デビューしても過半数の女優は売れずに半年以内に引退してしまう(ということは「やめたいのに契約を盾に脅されて辞めさせてもらえなかった」というようなこともまず無いということである)。

 女優だけでなくAV自体も過当競争にある。
 近年、AVは年間3万本の新作が発売されている。
 強要の程度(本当に強要されているか、説得されて仕方なくといった程度の、普通は強要とは呼べないような「強要」か)ということを度外視しても、そもそも女優自身に全くやる気がない、仕方なく出演させられているという作品であれば、いきおいクオリティも低くなる。そんな作品が売れる可能性はゼロに近い。わざわざ費用と時間をかけてそんなものをリリースする意味がないのである。

 つまり製作会社側にも「強要によって女優を調達する」というモチベーションがまったく生まれていないのだ。

 第三に、AV出演はそれほどお手軽なものではない。
 個人が勝手にネットに上げる動画ならいざ知らず、会社としてAV撮影を安全かつ継続的に行うには、性感染症の検査をはじめとする安全策を取らなければならないし、それには女優の積極的な協力も必要になる。

AV女優月島さくら氏のツイート

 また契約自体も現在では手続きがかなり面倒かつ、高度な理解力を要するものになっており、これが実質的にも意欲や判断力の無い「騙されて」とか「流されて」来る女優がいない原因にもなっている。

【志田陽子】AV人権倫理機構理事長のツイート

 一部のAVの「お話の中で」やっているように、路上でナンパして即ハメというわけにはいかないのだ。


 ……そういうわけで現在、「AV出演の強要」という問題は事実としては発生していないのである。

参考リンク・資料:

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