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送り火 ー8月の星々ー

田舎の母からそうめんが届いた。

お盆の御供物にと送った葡萄のお返し。

一緒に入っていた短い手紙には

「花火をする人がいなくなって寂しい」と一言。

脳裏に浮かぶ送り火の夜。

稲藁を焚いた火の周りには静かに先祖を偲ぶ故郷の親兄弟。

とりどりの花火を手にはしゃぎ遊ぶ孫たちの歓声は

今年も聞こえない。



140文字小説コンテスト「月々の星々」応募作品。8月のお題は「遊」でした。

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